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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第6章 びくびくお城の招待と新たな仲間?

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第004話 アリアと契約


 翌朝朝食を摂ってからレーディアさんツェツェーリアさんがアリアを引き取りに行く事になっている。俺も頼んで付いて行く事にした。

 ウチの村に似ているとは言ったけど、改めて見ると家は土壁が所々剥げてるし柵もボロい。村人の衰弱具合から考えると魔物に襲われたらヤバそうだ。マジで此処の領主ダメだな。

 そしてアリアの家も同じ様にボロかった。そこから両親が出て来て兄達だと思うが顔を覗かせている。アリア程じゃないけど他の村人並みには皆んなやつれているな。少しだけホッとした。

『何でじゃ?』

 アリアだけやつれてたら虐待にしても酷すぎるだろ。

『確かにの。しかしアリアが1番食べさせて貰えてないのは変わらんのじゃ』

 それな。まあ体が小さいから減らされるとか兄達に取られるとかは貧しい家じゃ良くあるんだけど、小さい妹に虚勢張って食わすくらいの度量は欲しいよな。

『流石シスコンなのじゃ』

 ねぇねは可愛いからなあ。

「何でだよ! アリアを売った金なら俺等の金だろ!!」

 ん?

「止めないか! この村では今までそうやって分けあって支えあって来たんだぞ!? 俺達もその恩恵を受けて来たんだ!!」

「でも親父! これだけあったら俺等だけなら町でだって暮らせるだろ!?」

「このっ! バカが!!」ゴンッ

「痛ってぇええーー! 何すんだよ親父!?」

 多分成人してるだろう長男が父親に食って掛かってる。妹を売った金で町で暮らすとかクズな事言ってるけど思ったより元気じゃないか。

 て言うかそれで町に住む事が出来ても生活費を稼ぐのは別だろうに、アホなのかな?


「ではこれでアリアの売買契約を終えました。ありがとうございます」

 村長が深々と頭を下げる。足に障害を持つ子供を村の為に高く買い取るんだから当たり前だろう。

 それに奴隷と言っても普通の雇用契約並みに緩い契約になってるしな。

「アリアには読み書き覚えさせてクランの運営の手伝いをして貰う予定だから安心しな」

「まあ私等はこれでも国有数の探索者クランだ。アンタ等に詰まんねえ嘘付く理由も無いしな」

 レーディアさん達が買った事になってるから家族が安心する様アリアをどう言う扱いをするか表向きの理由を説明していった。

 契約書も交わしてるし貴族とも仲の良い大所帯の組織なだけに信頼性も高いだろう。

 まあ実際にはビアンカお姉様に仕えている俺の手伝いになるだろうけど。

「はい、どうかアリアの事、宜しくお願いします」

 レーディアさんツェツェーリアさんに両親が涙ながらにお礼とアリアの事をお願いしている。


「アリア。元気にやるんだよ? ずっと祈ってるからね」

「うん、私じゃ(足の所為で)村を出て出稼ぎなんか出来ないし、その内売られる事は分かってたからね。良い人達の所に買われて良かったよ」

「ああ、……良さそうな人達で安心したよ」

「そうだね。そんな綺麗な服着せて貰って、何だか生き生きして見えるわ」

「えへへ、アイリスちゃんの服を着せて貰っちゃったんだ。似合う?」

「ああ、良く似合ってるよ。お嬢様みたいだね」

 アリアは今フリフリの可愛い服を着ている。ナージャさんが渡した物で、ちょっと大き目だけど似合っているとは思う。

 でもそのサイズが合う女の子は居なかったよね? ナージャさん、予知能力者かな?

『お主に着せるつもりだったんじゃろ?』

 ――マジかよ。イヤな真実に気付いてしまったな。


「ほらこの子がアイリスちゃんだよ? お友達になったの」

「ほう、こりゃ偉い可愛い子ちゃんだな。アリアを宜しくな」

「ん」コク

 アリアに紹介されたから初対面の相手なのに頑張ってレーディアさんの後ろから顔を出して挨拶した。

『……頑張って挨拶?』

 大人だからな? そのくらいの常識はあるのだよ。フフン。

『…………』

「もう仲良くなった子が居るなら確かに心配ないかもな」

「それでも心配するのが親ってもんでしょアンタ」

「確かにそうだな。ハッハッハ」

「読み書き覚えたら手紙書くね? 村長さんなら読めるから読んで貰ってよ」

「ははっ、そうだな。ずっと待ってるぞ」

「うん。私お父さんお母さんの子供で良かったよ? それに奴隷って言ってもご飯もいっぱい食べさせて貰えるし、普通に仲間として扱ってくれるって言われてるから心配ないよ?」

(多分、村の誰よりも贅沢な暮らしが出来そうだしね)

 明るく振るってるけどアリアも両親も泣いていて、流石の俺も貰い泣きしそうになってしまった。

『いやガッツリ泣いとるじゃろ。レーディアの背に顔を埋めてても分かるのじゃ』

 五月蝿いな。そこは見て見ぬふりしておけよ。


「んで? さっきから後ろでアリアを睨んでるのが居るんだけど、何か文句があるのかい?」

 ん? 何だ? レーディアさんの後ろからそっと顔を出して見る。

『あー、両親の後ろに居た兄達がアリアを睨み付けておったのじゃ』

 何で? 意味が分からん。ツェツェーリアさんを見ても不愉快そうにしてるしどうすれば良いんだ?

「何で奴隷になったアリアが俺等より良いモン着てるんだよ! おかしいだろこんなの!!」

「そっ、そうだ! 飯だっていっぱい食べられるって何だよそれ!?」

「サイズが合うのがアレ(アイリスの服)しか無いんだし、貴族の護衛に見窄らしい格好で居させられないだろ」

「と言うか私等の奴隷に文句があるってのは私等のモンにいちゃもん付けてるって事だよなあ? ケンカ売ってんなら買ってやるぞクソガキ共」

 村長や両親が止めるのも聞かずクズ兄達がアホな事を言って来た。ツェツェーリアさんは嫌悪感を露にしてレーディアさんはキレそうになってる。

 2人共大きな武器を持ってるしガタイが良いから凄い威圧感でクズ兄達はまっ青になって震えてる。


 ちょっとイザコザがあったけど、両親との挨拶を終えたアリアは幾分スッキリした様に見えた。今まで何も言えなかったクズ兄達をやり込めて貰えたのが嬉しかったそうだ。

 そりゃイジメられて何も思ってない筈ないもんな。

 帰り際、何時もご飯を分けてくれていたと言う隣りのおばさんにも挨拶した。

 抱きあって涙を流し、レーディアさん達にも頭を下げてアリアが恥ずかしそうに止めていた。

「アリアごめんな。ちゃんと守ってやれなくて」

「ううん。おばさんも生活苦しかった筈なのに、何時もご飯を分けてくれてありがとう」

「心配だけど、その子と一緒なら大事にして貰えそうだね」

「うん」

 2人して俺の方を見る。まあ雇い主になるからな。粗末な扱いなんてしないぞ。

『いや、同じ雇い主に仕える子供として見られとるんじゃろ』ボソッ



 別れを済ませて馬車に乗り込んで村を出る。アリアの両親に隣りのおばさんや村長達が見送りに来て頭を下げていたな。

 まあビアンカお姉様が居るから全員来てたんだけど。

 村を出てしばらくしてからアリアの足を回復魔法で治す事にする。

「大丈夫ですよ? アイリスちゃんは聖女様や天使ちゃん等と呼ばれて数多の人々の崇拝を受けている程ですから全く心配いりません」

 不安そうにしてるアリアをナージャさんが自信満々で励ましている。でも崇拝って何? 言われてる内容に俺が心配になるよ?


 アリアの治療は俺にはまだ難易度が高くリリィ頼りになってしまう。あの清浄過ぎる魔力の精神汚染に耐えないといけないのだ。

 はぁ~、……気が重い。

『精神汚染などしとらんと言うとろうに。本当に不敬な奴なのじゃ』

 良い歳したおっさんが周り全てに感謝して笑顔でクルクル踊り出しそうになるんだぞ? ――地獄絵図だろ。

『ナージャなら喜びそうじゃの』

 …………そうだね。

『そんなにイヤなら止めるかの?』

 むぅ~、アリアを見捨てるなんて事出来る訳ないだろ!

『こう言う所は素直なのに、何でリリィの魔力を受け入れられんのかの?』

 酸いも甘いも噛み分ける良い歳したおっさんが素直なだけで生きて行けると思うなよ?

『……さて、やるかの』

 ――ねぇ聞いてる?


 治療は恙無く終えた。目覚めたアリアは自分の状態を確認していると涙がポロポロと流れ落ちてくる。

「アリアちゃん大丈夫? まだ何処か痛かったりする?」

「ち、……違うんです。……右足と、左足が同じ様に動くんです。全然、痛くもないんですよ? ぐずっ」

 ナージャの声に答えるアリアだが涙が止まらない。

 アリアの右足の障害は生まれつきだった。そう言う障害は治る事はないと言うのが通説だ。

 まして貧しい村では治療を受ける事もままならない。

 心が折れそうになった時も何度もある。

 治る事を夢見なかった訳じゃない。

 それでも現実的じゃないのは分かってた。


 だからアイリスに足を治して貰えた事は勿論嬉しい。

 それによってハンデを抱えて仕事をする不安から解放されたのも嬉しい。

 ――けどそれよりも、奴隷に対して此処まで優しくしてくれる人達の仲間になれた事がアリアには何より嬉しかった。

(貴族のビアンカお嬢様も、聖女のアイリスちゃんも、私なんかに優しくしてくれる。此処でならちゃんと生きていけるかも知れない)

 アリアはアイリスに涙ながらにお礼を言い、それをアイリスは聖女の如き慈愛の笑みで宥めていた。

『――あっという間に聖女堕ちしたのじゃ』






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