第016話 サージェスの災難、後編
今度は傭兵ギルドでギルド長と副ギルド長との話し合いに参加かよ。帰してくれよーっ!
「成る程。ギルド長、それで動くと思いますか?」
「他にも色々してあるから動くしか無いわよ。まあ兵士も冒険者も言った8割も出れば良い方でしょうけどね」
「はい、しかし当初よりは全然マシですがそれで足りるのでしょうか?」
この町の兵士100人、冒険者250人傭兵50人くらいか、でも兵士も冒険者も質が低いからな。それに言っちゃ何だが傭兵だって数が少ないし、割と安全な地域だからか質だってそう高くはないんだよな。
エルビアの町も間に合うか分からんし。
「今回は数もそうだけどスピードの方を重視してるのよ。数が足りても間に合わなければ意味がないわ」
「それはそうですが」
「私だって此処を任されて1年、ただ時を過ごしていた訳じゃないわ。色々根回ししてこの時期に上級者を集めさせて貰ったし」
「っ……そうか。見知らぬ奴等が増えて来てたと思ってたら……。確かに上級者だと聞いたヤツも何人かいたな。そんな事までしてたのかギルド長」
思わず声を上げちまったがしかし驚いたぞ。俺達だけじゃなくレイク達もその1人って事か。
「でも本来ならもう少し余裕がある筈だったのよね」
「ああ、まさかゴブリンが西に流れて魔狼の縄張りを奪っていたとは思わなかった。そこまで調査出来ていればな」
人手不足の中、危険度の高いとされる所しか調査出来てなかったのが悔やまれる。
「それで、傭兵ギルドとしてはどう動きましょう」
「そうね。予定通りランク3以上に指名依頼。ランク2には支援物資の運搬依頼だけにして」
オイオイ冒険者にはランク2から強制依頼にさせといて傭兵はランク3から指名依頼かよ。
強制依頼は断れないんだぞ。冒険者には半人前から無理矢理駆り出させておいて傭兵は力のある奴等に任意で任せるなんて反感買うぞ。何考えてんだこの女!?
「全く、後1年早く赴任して来てたらもっとスマートに対処出来たのに」
「それでも何とか最悪の状況は避けられそうです」
「それもこれからよ。私は冒険者ギルドのギルド長を連れて現地に行くわ」
「町長は如何致しますか?」
「アレは要らないわ。土壇場どころか隙があれば逃げ出しそうだもの。皆の士気が乱れるわ」
「確かに、しかし大丈夫でしょうか。やはり私が行った方が……」
「あら、自信があるの?」
「……いえ、出過ぎた真似を」
「ふふっ、良いわ。そう言う判断が出来るようになったのも成長よ」
ギルド長自身が行くのかよ!? そして何する気だよ冒険者ギルドのギルド長まで巻き込んで!?
「……指揮権……か」
そう言や何でわざわざあのタイミングで貰ってたんだ? それを使うって事なんだろうけど……。おう、ちょっと口が滑ったら2人に注目されちまった。背中に嫌な汗をかいちまう。今日は厄日だな。
「ねえサージェス、生態系の維持って大変よね?」
こっちを試すような視線を向けて来たな。何だ? どう言う事だ? 生態系の維持って、……何が言いたい?
指揮権を貰って現地に向かうって事は、そこで強権を振るうって事、だよな? 冒険者ギルドのギルド長を連れてくって事は冒険者に対して何かさせるのは確定……か? そもそも今回の原因は冒険者による乱獲だし。
生態系の維持って今回のスタンピードを抑えるって事だよな? しかしそれだけで使うか? このギルド長が? もっと大きい、根本の原因から……、冒険者?
「冒険者の……間引き?」ゾワッ
口にした瞬間怖じ気が走った。まさかこの女、生態系を乱す冒険者をスタンピードを利用して減らそうってのか!? 冒険者を魔物と同じ扱いをするつもりかよ!!
「あらあら、怖い事考えるわねぇ。サージェスさんは」
「はい、そうですね」
「でもそれは効果的かも知れないわね? どうかしら、サージェスさんの案でやってみるって言うのは」
「ええ、大変よろしいかと思います」
「ちょっと待てぇっ!? それ俺の名前を使う気だろおおおーーっ!!!」
お前の案だろが! て言うかマジでそんな事する気か!? おっそろしいなこの女! このまま俺が主導してるかのようにする気か!?
「でもそんな恐ろしい事考えるなんて、貴方こっち側に来ない? 才能あるわ。推薦してあげるから」
「やっ、止めてくれっ! 胃が殺られるわっ!?」
ギルド長を連れて村に戻った俺は疲れた様を隠す事も出来ない程に疲弊したまま説明していった。
「一応、町長から冒険者ギルドのギルド長が指揮権を持って今回の件には当たる事になった(表向きはな)」
「へえ、じゃあ兵士と冒険者が全面協力する事になったのね」
「ああ」
流石にあの会話の中身までは言えんわな。一つ言われたのは冒険者ギルドのギルド長を全面に出すから自分の事は言うなって事だけだった。
と言うかあの女まともな口止めすらしなかったけど、俺の口から何か漏れたら全て俺に擦り付けるつもりじゃないだろうな。全く、どえらい悪事の片棒かつがされた気分だぜ。
「思い切ったけど冒険者ランク2ってまだ子供もいるんじゃないの?」
「ああ、子供は流石に除外したよ。来てないだろ?」
「へえ、……確かにね」
「ミリアーナ!」
ミリアーナを呼ぶ声がして村の入り口の方を見ると4人チームの中の女が手を振ってこっちに歩いて来た。
「? ……セラ、貴方も来たのね。随分早いじゃない」
「依頼で近くの村まで来ていてね。それを破棄してコッチに来たわ」
「そう、それじゃエルビアの町でどうなってるかは分からないか」
「エルビアの傭兵か?」
「まあね、それでそっちはどうなの?」
「ウチのギルド長が町長と冒険者ギルドのギルド長のケツを蹴っ飛ばして何とかね。後は時間勝負かな?」
「あの美人と噂のギルド長か」
「そうなのよ、何とか手を出せないかしら」
「お前止めろよな! 本気で命が幾つあっても足らんぞ!!」
「何でサージェスが青くなってるのよ。はあ、でも最近タチアナもマリーもマットとハリスと怪しくて私1人居辛いのよねー」
「あらあら、チーム内恋愛禁止じゃなかったの?」
「……守ると思う?」
「あははっ、ごめんごめん」
「お詫びにセラとそっちの女の子、チーム抜けて私と組もうか?」
「抜けないし組まないわよ」
「それじゃ今夜お詫びに私と寝ない?」
「何する気よ! 寝ないわよ全く。それで? その子は何処から攫って来たのよ。何か目が死んでるんだけど……」
「……ひゃっ、……何で……そこっ……。んっダメ……」
「いやー、振られてちょっと傷心で……。ああ〜アイリスちゃん反応可愛いなぁ、癒されるぅ」
その後も結局アイリスはめちゃくちゃにオモチャにされていた。
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