第025話 日常と後日談
帰りの馬車で褒美として貰ったお金を見たら金貨100枚、一千万イェン入っていた。あんなチンピラ4人ぶっ殺しただけで美味し過ぎる。
ダールトン様に頼んでそのまま商工ギルドに預けてもらった。
ねえねの借金に充てた金貨257枚には及ばないけど金貨140枚くらいになったか。傭兵を止めるまでに金貨300枚は欲しいから頑張らないとな。
ふふっ、でも思わず大金が入ったから気分が良い、夏休みに入ったらまた副都の迷宮に潜るのも良いな。
『うむうむ、身体強化魔法も使える様になったしの。それまでに更に使い熟しておくのじゃ』
うんうん、リィリもご機嫌で俺もご機嫌、この調子で行きたいね。
屋敷に帰ってビアンカはマーブルと話して若干本来の自分を取り戻していた。何時もの様に風呂上がりにアイリスのマッサージを受けて艶々の状態で報告を聞いている。
「成る程、では事前にダールトン様との話し通りになったのね?」
「ええ、大まかには、サルマトール侯爵が居たのも想定内でしたし」
「そうね、居た方が都合が良いと言っていたから良かったのよね?」
「はい、アルタード伯爵だけでは上に話しを通せるか不透明な所がありますから」
「んん〜、終わってみたら気楽なものだったわね。今まで考え過ぎたのかしら」
でもそうね。学院では微妙な立場だけど、アイリスちゃんのお陰でリアースレイ精霊王国の後ろ盾があると思われてるから遠巻きに見られてるだけで実害が無いと言えば無いし。それで良いって考えれば良いかしら?
「あっ、アイリスちゃんお風呂上がったの?」
「んゆっ」コクリ
アイリスのマッサージで髪肌艶々でご機嫌なナージャとミリアーナに侍女達が眠そうなアイリスを抱き上げて浴場から出て来ていた。
「もう眠そうね。アイリスちゃん今日はお姉様と寝るわよ」
「なりませんビアンカお嬢様! 何をおっしゃっているのですか!?」
「あらアリーニャもいたのね。貴女も艶々じゃない」
侍女長のアリーニャは確か40半ばだった筈、今は40前にも見える。アイリスちゃんのマッサージからは逃げられないわよねー?
「ありがとうございます。そうではなくお嬢様は貴族の令嬢と言う事を自覚しているんですか!? 男を寝室に招き入れるなんて何を考えているのですか!!」
「一緒にお風呂に入っていたアリーニャも大概じゃない?」
「そっ、それはそれ、これはこれです!」
「ちょっと後ろめたいんじゃない? 目が泳いでいるわよ。まあ良いわ、アイリスちゃん行くわよ」
騒ぐアリーニャにヒストロスまで来てお父様やお母様の名前を出して抗議して来たけど、寧ろ私からすれば自国でのんびりしてるお父様やお母様に言われたくないと言いたい。
私は敵国で命の危機を感じながら学院に通ってるのよ? それも継ぐ訳でもない領地の為に、私が一番貴族の義務を果たしているんじゃないかしら? 学院に行けばまたストレスの掛かる日々が続くんだからこれくらいの我儘は通させてよね。
まあナージャとミリアーナが混ざって来るのが分かっていたからだけど、そうじゃなきゃ流石にこんな大胆な事は出来ないわ。
それよりナージャが私は未成年だからミリアーナは安全って言っていたけど、成人したら私も手を出されるの!?
あれ? じゃあナージャはもう? 侍女達は!? って言ったら目を逸らされてしまったわ。身の危険を感じるけど藪蛇になりそうだから深く掘り下げなかったけど。
って言い争っている内にアイリスちゃん寝ちゃったわね。相変わらず寝付きが良いわよねこの子は。
アイリスちゃんを抱いて寝ると子供の頃にぬいぐるみを抱いて寝るより安心感? があるわね。心の栄養とでも言うのかしら、とても心地良いわ、日課にしましょう。
昨日寝落ちしそうになる前にビアンカお姉様が一緒に寝ようと言っていた気がする。色々と追い込まれてるのかもしれないな。
子供ながらに貴族の令嬢として振る舞わないといけないし。今回の食事会だってそうだし学院でも色々あるのかもしれない。――なあリリィ、心を回復? する様な魔法ってないのか?
『あるのじゃ、精神を回復させる魔法じゃな。心を穏やかにする回復魔法なのじゃ』
それ俺が使えるか?
『うーむ、……難しいかの。リリィが使うのを感じて覚えていけばいずれは出来るようになるかも知れんのじゃ』
んじゃリリィがビアンカお姉様に掛けてくれよ。
『うむ、では早速ビアンカの下に行くのじゃ』
待て待て、一緒に寝る場合だ。そして俺が寝た後でな? リリィの回復魔法にさらされたら俺がとてもじゃないけど寝付けないからな。
商工ギルドでは商工ギルド長ダールトンと傭兵ギルド長ゲルトランドが食事会について話し合いをしていた。
「土地の権利の購入ね。でも貴族からすりゃこのまま下火になるのを待ってるのが一番損はねえんじゃねえか?」
「下々の者達の評判など歯牙にも掛けない貴族が多いですからね。しかし反面、彼等は平民と揉めてる等と言う噂が立つのは嫌うでしょう」
「大勢で騒いでるからなぁ。口封じどころじゃねえだろうしな。フハハッ」
「現状貴族との我慢比べの状況ですかね」
「最悪は貴族派が愚王に陳情して平民を粛正なんて事にもなりかねねえんじゃねえか?」
「王都の経済を破綻させる事は私も望んでいませんが……、追い詰め過ぎればどうなるか。今後も注意が必要ですね」
「商業ギルドに神聖教会もどう動くか分かんねえしな! ガハハハハ」
「貴方は楽しそうですね」
「そりゃな、この国に来て30年くらいか? 歴代愚王の所為で中々やり辛かったが精霊の愛し子1人でここまで引っ掻き回されるなんて思わなかったからな」
「精霊の愛し子ではなくあの方の特殊性でしょう」
「分かってるよ、本国から精霊の愛し子を呼んでもこうはならなかっただろうしな」
「そんな事をしたら大問題ですよ。――精霊の愛し子に本来人間はいないのですから」
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