第019話 パジャマパーティーはまず恋ばな?
「女の子同士のパジャマパーティーなら恋バナは外せないわよね!」
何とかエリカちゃんを宥めたら今度はこんな事を言ってきた。まあ俺は男だから関係ないから気が楽だな。
ご飯を食べ終わって片付け、お菓子とジュースを持ってエリカちゃんの部屋に行って、ベッドと布団の上でお話しする。
「寝る時はベッドと床に布団を敷いて2人ずつで良いよね? エリカはアイリスちゃんと寝たいんだけど良い?」
「ふふっ、私は良いですよ。ホリーはどう?」
「うん、私も良いよ」
「やった! アイリスちゃん一緒に寝ようねえー?」
「んっ」コクリ
すっかり元気だな、ナージャさんとミリアーナもいるけど部屋が狭いから寝る時は別の部屋で寝るそうだ。
「でもエリカちゃん、2人は兎も角私は恋バナって言われても何も話す事なんて無いんだけど……」
「ホリー、私だってありませんよ?」
ホリーとフランがエリカちゃんを見る。観戦モードの俺も見る。
「うっ、エッ、エリカも無いわよそんなの!」
…………どうすんのコレ?
ホリー、フラン、エリカがそれぞれ顔を見合わせてからアイリス……をスルーしてナージャ……、から視線を逸らしてミリアーナを見た。
「あら私? ……んん〜そうねえ。私が皆んなくらいの頃だとぉ、あっそうだった、宿屋に可愛い女の子が働いていたのよね。それで酔った振りして介抱して貰う流れで部屋に引きずりこんで押し倒「止めなさい!」
「ちょっと何よ、ちゃんと最後には同意を貰ったから大丈「もう黙って下さいミリアーナ! 貴女は教育上悪過ぎます!!」
ナージャさんはミリアーナを引きずって部屋から出て行こうとして立ち止まった。
「それは良いとしてアイリスちゃんは兎も角何故私に聞かないのですか?」
「「「えっ!」」――ナージャさん、恋愛経験あるんですか!?」
「ありませんが何か?」
「「「………………」」」
「なら何で聞いたのよ。貴女子供狂いじゃない。聞いたホリー達が困惑してるわよ」
「いえ、女として引けなかったので」
て言うか俺は兎も角って何でだよ。
『あるのか?』
無いな。
『………………』ジト目
ナージャさんとミリアーナが出て行って何故か大人が俺1人だけ取り残されてしまったな。
『大人?』
「て言うかエリカちゃん、男の子に興味無いでしょう? 毎日鬱陶しいって言ってるじゃない」
「うっ、……だって仕方がないじゃない! 毎日毎日おんなじような言葉で口説いて来て本当に鬱陶しいんだもん!!」
「じゃあ何で恋バナなんて?」
「お約束でしょお約束!」
「「「「………………」」」」
「はあ、2人はまだ良いわよ。私の場合はエリカちゃんやフランを紹介しろって言われるんだよ? けど紹介なんて迷惑かけるだけだし、私が断ると罵声を浴びせて来るんだもん」
「何よそれ! エリカ聞いた事ないわよ!?」
「それは2人がいない時の話しだから。しかも大抵私、って言うより私の胸を見ながら怒鳴りつけて来るんだよ?」
「許せない! 誰よそれ! 貴族? 庶民?」
「ああイヤ、ミリアーナさんが何とかしてくれたから……」
「ミリアーナさんが? 意外ですね」
フランが首を傾げる。そうだよな、ホリーの侍女として学院に潜り込んでいるとは言え貴族の家臣のナージャさんなら兎も角、傭兵のミリアーナで上手く対処出来るのかね?
「あはは……、でも貴族の子息の時は本当に助かったんですよ。ハラハラしましたけど」
ホリーは困ったようにその時の事を話し出した。
「あらあら、貴方は人の胸を見て話せと教わったんですか? 何処の貴族家の教えなのでしょう」
「なっ、何だ貴様は!」
「侍女ですが? 見て分かりませんか?」
「わっ、私は貴族の子息だぞ!」
眼前に見せつけるように巨乳を持ち上げ腕を組んで頬に手を当てて挑発するミリアーナ。
「私の胸も話しませんよ? 全く、随分良い教育を受けているようですね」
「なっ、なっ」
貴族の子息はその胸に釘付けになりながら怒鳴り付けるがミリアーナは全く相手にしないで更に畳み掛けていった。
「女の子を怯えさせるのが貴方の口説き方なのですか? それともワザと嫌われようと? ああ、それなら納得です。今の言いようを聞けば皆んな貴方の事が嫌いになるでしょうね。ちゃんと伝えておきますよ?」
「そう言って私を引っ張って皆んなの所に、その男子はそれから見てないですね」
「……それ、大丈夫でしたの?」
「ナージャさんに報告したって言ってたから大丈夫だと思う」
「男って馬鹿よね。おっぱいおっぱいって赤ちゃんかって言うのよ気持ち悪い」
「全くです。アイリスちゃんを見習って欲しいですね」
おっぱいなぁ、流石に良い年のおっさんが子供のおっぱいに目を奪われたらヤバいだろ。ミリアーナ達のはお風呂で見慣れてるしな。
「ほんっと貴族からの誘いって無くならないわよね。断わり辛いから止めて欲しいのに」
「減っては来てるんだけどね」
「貴族の子息は一度ちゃんと断れば次からは声を掛けられても強引には来ないですから」
「フランの言う通り強引なのは減ったんだけどさぁ」
「無駄にプライド高いからねアイツ等。エリカ達に立て続けに振られて恥かきたくないんでしょ」
「まあそれもアイリスちゃんのお陰でビアンカ様の口添えが貰えたからなんだけどね」
「それが無かったら強引に言いなりにされてたかも知れなかったですし、感謝ですね」
「今は偶々会った風にして社交辞令として声を掛けたって事にしてるんですよね」
「うう〜、それでも面倒くさいし鬱陶しいのよー!」
「エリカちゃんが言いたくなるのも分かるけど、でも1番鬱陶しいのはあの2人でしょ?」
「イヤー! 言わないでー!!」
ホリーが困ったように言うとエリカちゃんが嫌そうな顔をして叫ぶ。エリカちゃんとフランにしつこく迫っている2人がいるのだ。
1人はすらっとした爽やかイケメン風のナルシスト、にこやかな笑顔でフランとエリカちゃんに声を掛けて来たんだよな。
「君達か、貴族の子息達に迫られている美少女達と言うのは、確かに美しい。私のハーレムに入れてあげよう」
「え? ……結構です」
「何、遠慮する必要はない。君達なら資格は充分だ」
「いえ、本当に要らないです」
「はっはっはっ、奥ゆかしいのは美徳だが行き過ぎれば他の女性に嫌味になるぞ」
毎回こんな感じでナルシス君の方は自分に酔っていて話しを聞かないのだ。
もう1人のおデブ君は超大国であるラージヒルド商業王国の権力者、商業ギルドの重役の子息と言う事で貴族よりも権力があって、自分が断られる筈が無いと思ってる馬鹿なのだ。
「君達のような美少女達は僕のような高貴な人間に囲われるべきなんだ」
「いえ結構です」
「何、欲しい物があれば何でも買ってやるぞ。はっはっはっ」
とコッチも毎回こんな感じで話しを聞かないし商工ギルドの敵対勢力だからリアースレイ精霊王国の圧力が効かないのも痛いのだ。
ナルシス君(仮)とおデブ君(仮)は当然反発した。しかしお互い言葉が通じない。片や自身の見た目が如何に優れているか説いて、片や出自を出して自身の方が相応しいとお互い相手に引くように説き伏せようとするのだ。
そしてある時ナルシス君(仮)が余りにもしつこいのでエリカちゃんがキレて「アイリスちゃんの方がずっとイケメンなんだからね! 私達はアイリスちゃんのハーレムなのよ!!」と爆弾発言をしてしまったのだ。
「何を言うんだ君達、良く見るんだ! 確かに顔は良いだろう。それは私も認めよう。しかし背が低過ぎる! 今は愛らしいで済むだろうが年を取って可愛いが抜けたら滑稽なだけだぞ!!」
誰が滑稽だ。
『(今も充分滑稽な存在だと思うがの)』
「良いのよ! アイリスちゃんは可愛い大人になって可愛いお爺ちゃんになるんだから!!」
しかしエリカちゃんも強かった。ナルシス君(仮)の言葉に負けず言い返していた。その後のナルシス君(仮)の俺に対する憎しみの目はイケメン(仮)では無かった。
そしておデブ君(仮)もエリカちゃんの爆弾発言で矛先が俺に向いてしまったのだ。
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