第018話 パジャマパーティーをしましょう
俺がナージャさんをジト目で見ているとホリーとフランがエリカちゃんを囲んでヒソヒソしだした。
「……だから……」「分かっ……、でも……」「もういっそ…………」
何だろって思ってたらエリカちゃんがキッと睨み付けて来てちょっと怖い。
「あの、……アイリスちゃん、その……助けてくれて、ありがと」
「あ……、……ん?」コテリ
真っ赤な顔で睨み付けてお礼? 何か裏があるのか??
「私達も、改めてありがとうアイリスちゃん」
「私もありがとうございますアイリスちゃん」
「んっ(何だコレ?)」コク
「ごめんねアイリスちゃん。エリカちゃんお礼言うの恥ずかしがっちゃって」
「て言うかエリカちゃん、……まるで睨み付けてるみたいでアイリスちゃん戸惑ってるわよ?」
「んなっ、なんて事言うのよフラン! ホリーもエリカは恥ずかしがってなんて無いんだからね!?」
エリカちゃんは照れ隠しなのか。フラン、ホリーに突撃してめちゃくちゃ揉み合っている。まあでも娘世代が仲良くしてるのは何か微笑ましいねえ。
『娘どころか結婚もしとらんじゃろ』
何かグサッと来た! ねぇねの娘と同世代だから良いの!!
「分かった! エリカちゃん分かったから!」
「だったら笑うなぁーー!!」
「ちょっ、やり過ぎエリカちゃん、アイリスちゃん止めてっ!?」
元気だなぁ。エリカちゃん今日休む必要本当にあったのかね? 少女達に割って入るのは気が進まないけど仕方がない、何とかエリカちゃんを後ろから引き剥がして静かにさせた。
それにしてもそんなに顔を赤くして暴れておいて、照れてないって無理があるんじゃないかな?
「ちょっと、アイリスちゃん手、手、エリカちゃんの胸触ってる!」
ん? おっと、取り敢えずお腹の方に移動、コレで良し。
ホリーとフランが俺をジッと見てるんだけど何で? 暴れたのはエリカちゃんだよ?? 首を傾げるとため息を吐かれた。
『……お主』ジト目
エリカちゃんは背が同じくらいなんだよな。親近感が湧いてるけど、うん、今のうちに頭でも撫でておくか、ヨシヨシ。
「「「………………」」」
「うう、おっぱい触られた。ねえコレ、エリカがアイリスちゃん叩いても許されるわよね」
「確かにそうだけど、一応恩人だし止めてあげて? 可哀想だよ」
「そうですね。本人何も分かってないみたいですし」
「それがムカつくのよ! エリカのおっぱい触っておいて何で無反応なのよ!?」
「「アイリスちゃんだからね」ですから」
「と言うか毎日ナージャさんミリアーナさんにあれだけ構われていたらねえ」
「うう、何か納得いかないけど、確かに子供を虐めるみたいな気分になりそう。また泣かれても嫌だし」
何で皆んなで見てくるんだろ? まあエリカちゃんは顔は赤いままだけど何とか落ち着いたみたいだ。やり過ぎて喧嘩別れしちゃう事もあるから良かった良かった。
『…………』
皆んなが落ち着いたようなのでお風呂に入ってから食堂に行く事になった。お風呂は1階に男女に分かれてる大浴場だけじゃなく家族用の風呂があるそうだ。それで皆んなで大浴場に行くと思ってたら俺だけ家族風呂に促された。
「アイリスちゃんを男湯に入れるなんて駄目よ。野獣の群れに入れるようなものでしょう」
まあ若い頃は男に襲われそうになった事もあるし、好き好んで男湯なんかに入ろうとは俺も思わんから良いけど。
『えっ? それじゃお主、女湯に入るつもりじゃったの!?』ドン引き
? ……そうだけど?? ビアンカお嬢様のお屋敷でもそうしてるじゃん。
ホリー達は大浴場の方に行くようだ。何故かミリアーナがどっちに行くか迷ってる。いやナージャさんも連れて女湯行けよ。
「……私はエリカちゃん達と入るわ。大丈夫、未成年の娘達には手は出さないから」
ミリアーナが暴走しないようにナージャさんをお目付け役に付けようとしたけど、この一言を信用してナージャさんは俺に付いた。風呂くらい1人で入れるのに。ナージャさんは子供好きだから子供達の方に行けば良いのにって言ったら「そうしてますよ」と言われた。
――意味が分からない。
『どうもお主が大泣きしてから完全に幼子扱いしてる様なのじゃな』
むうっ、遺憾。
お風呂上がりに皆んなで買ったパジャマをそれぞれ着て食堂に向かう。
「アイリスちゃんのパジャマ姿可愛いねえ。エリカ猫と熊で迷ってたんだけどアイリスちゃんなら納得だよ」
何を?
「エリカちゃんの熊さんも似合ってるわよ? ねえホリー?」
「フランの兎さんも似合ってるよ。て言うか私以外皆んな似合ってるよ」
「何よそんな乳してエリカが選んだ牛さんパジャマが似合わないって言うの!?」
「きゃあー、乳って言わないで〜!」
「もごもごっ!」
エリカちゃんはすっかり調子取り戻したみたいだな。何故かホリーに口を塞がれてるけど。
「まあまあ、牛さんパジャマも可愛いですよホリー。ねぇアイリスちゃん?」
「んっ」コクコク
「うう、でもこのイジりは……、て言うかそれで言ったらミリアーナさんの方が凄いのに……」
「私は20の大人よ? 貴女まだ成長期じゃない、一緒にしないの。それに私よりもっと凄い怪物もいるからねー」
シャルロッテさんの事だな。でも怪物って怒られるぞ?
食堂はバイキング形式、今回は弁当箱に好きな料理を入れて部屋に持って行く事になった。
「アイリスちゃん、ご飯ちゃんと食べないと駄目ですよ?」
むうっ。サラダを入れて弁当箱を半分埋めて閉じたらナージャさんにダメ出しされた。
「アイリスちゃんお腹空いてないの?」
「いえ、お菓子の為にお腹を空かせておきたいのでしょう」
何故分かる。
『何時もの事じゃからの』ジト目
仕方ないので渋々サラダに肉野菜炒めと麦ご飯を少し入れてエリカちゃんの家に戻った。
「バイキングって凄い豪華よね。選び放題食べ放題で無料なんでしょ?」
「まあ確かに料理の種類は豊富だし定期的に変わるから飽きは来ないわね。でも持ち帰りは人数分の弁当箱に入るだけって決まってるわよ? エリカは此処しか知らないから良く分からないけど、確かにママが豪華だって言ってたわね」
「ふう……、平民が外食だけで生活するのはお金が保たないんですよ? でも此処の人達は皆んな料理を作らずに生活出来てしまう。お風呂だって水を汲んで沸かさなくても入れてしまう。使用人を雇って生活しているようなものだもの。物凄く贅沢なんですよ」
「そうですねぇ。私もフランも個人経営の店だからお風呂だってたまにしか入れないし、こんな生活夢のまた夢だよ」
「ふふん、良いでしょう? ……でも1番贅沢なのは貴族家に仕えてるアイリスちゃんじゃない?」
「むう、……お菓子、出ない」
「お菓子禁止令は昨日アイリスちゃんがサロンで食べ過ぎたので、ご飯を食べられなかったのが原因でしょう」
「それでアイリスちゃんまた大泣きしちゃってビアンカお嬢様も辛そうだったよねぇ」
「ふふっ、アイリスちゃん可愛、可哀想でした、うふふ」
他人の不幸を何喜んでいるのか。ジト目でナージャさんとミリアーナを睨んだら笑顔で返された。そしてホリー達には何だか暖かい目で見られた。何で?
「全くナージャは、でもアイリスちゃんがふて寝してから皆んなでビアンカお嬢様を慰めたのよ?」
「アイリスちゃんは子供ねえ。エリカだってお菓子で泣いたりは……、しないわよ」
「今の間はしてるんじゃない? エリカちゃんも可愛いわねー」
「ちょっ、止めてミリアーナさん! て言うか何このおっぱい!? 反則よ!!」
ミリアーナがエリカちゃんの顔を胸に埋めて頭を撫でてる。俺も良くやられるんだよなぁ。そうするとナージャさんも対抗してくるけどナージャさんは胸が無いからなぁ。
と思ってたらナージャさんに抱き付かれ頭を撫でられた。でも何時もよりキツいんだけど?
「エリカはお菓子で泣いてはないの! それが原因でケンカになって泣いただけだもん!!」
「お菓子でケンカする時点でねえ?」
「あんまり変わらないかも?」
「むきぃーーっ! 何でよぉーーっ!!」
フランとホリーの同意を貰えなくてエリカちゃんが怒ってる。そう言うとこが子供っぽいんだよな。
『お主、他人の事良く言えるの』
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