第013話 遊んでもらう子供
最後にはエリックまで入って入れ替わり手合わせしていった。リズとラスト? まだ寝てるよ? て言うかアイツ等がいたらエリックとはやらないし。やれば絶対俺も相手させられて怪我させられるからな。
『結局全員にボコボコにされたのじゃ』
くっ、ねぇねの姿で言うなよな!
エリックとレイク達を恨みがましい目で見るけど、4人共俺を相手してる時は楽そうな上に楽しそうにしてるんだよな。それだけ相手になってないって事なんだろうけど、幾ら上級者相手でもショックだよ。
『と言うより若いオナゴとの対話に喜ぶ父か兄と言う感じじゃったがの』
スルースルー。何よりイヤなのが周りで見てる村人が皆んな俺を応援してるのが恥ずいんだよ? 大体何で皆んな俺だけちゃん付けなんだよ。
「付け焼き刃にしてはサマになっているじゃないか」
「――本当?」
横に来たエリックが話し掛けて来た。実感は持てなかったけどエリックはこう言う嘘は付かないからな、褒められると嬉しいもんだ。レイクも頷いてたし、ついつい笑顔になっちまうぜ。
「…………何故、目を逸らす?」
「ああ、いや違うんだ。余りに可愛い笑顔だったからな」
「そうですよ。流石にあんな笑顔を向けられたら直視出来ませんよ」
「………………男色?」
キモッ、ヤベェよコイツ等、思わず自分の体を抱きすくめて離れて怯えた目で2人を見てしまう。
「「断じて違う!」います!」
「うひぁっ!?」
その後必死に言い訳をしてくるから取り合えず納得した事にする。けど必死さが余計に怪しいんだよ?
『コヤツは本当に……』呆れ顔
「はあ……さて、俺はそろそろリズとラストを叩き起こしてくるか」
「俺達は村人の収穫の手伝いをするよ」
「そうか、なら午前中は俺達は村の中にいるから午後は交代しようぜ」
「そうだな、俺達のどっちかは村の中にいた方が良いだろうしな。アイリスさんはどうします?」
「休む、…………ボロボロ」
「おっ、……おう、……すまん」
「ちょっと張り切り過ぎましたかね」
また汗だくだ。体がダルいけど替えの服を借りて汗を流してから休憩をとらないと。
「――レイクはどう思う? アイツの細剣」
ヨロヨロ歩いて行くアイリスを見送りながら話し掛ける。
「まだ持ち替えて数日だったよな。センスは感じるかな? 力が無いか……れには合っていると思うよ」
お前また彼女って言おうとしただろ。まあ分かるけど、寝ただけであんなに若返って見えるとは思わなかったぜ。まあそれだけ不健康な生活を送ってたって事なんだろうけど。
「なんて言うか、自分の中で正解の形って言うのが朧げながら見えているって言うかな?」
「ああ、確かにそんな感じがするな。何か腑に落ちたよ。よっぽど合ってるのかね?」
「今回は女の子の乱入は無かったでしょ?」
「んっ、良かった」ニコニコ
毎回のように全裸女とかち合っていたからな。まぁ犯罪者扱いされない内に対応して貰えて良かったよ。
「ふふっ、それを良かったと言える男の娘はアイリスちゃんくらいかしらね?」
『全くじゃ、どうなっとるのじゃお主は』
いやいや、性犯罪者にされるかも知れない恐怖を考えろよ? て言うかユリカさん俺は子供じゃないからな? 立派なおっさんだぞ?
『立派な? おっさん??(実年齢を知っとるとちんちくりんな珍妙な生き物にしか思えんのじゃが?)』
浴場を借りてから村長宅で奥さんのユリカさんにお茶を貰って飲んでいる。また横になろうかと思ったけどお煎餅を出されたから受けておいた。
って言うか俺のちゃん付けこの人発信じゃないかな? 俺よりは年上っぽいけど、40過ぎくらい? でもだからって35のおっさんをちゃん付けは無いだろう。
その所為か10代20代の女達にまでちゃん呼ばわりされて困ってるんだよな。アレ絶対からかわれてるだろ。どう反応すれば良いのか分からないんだぞ?
「アイリスちゃんは男の人には興味ないの?」
「う??」コテリ
「あらあら、その様子だと無さそうね、残念」
いやいや、何言ってんだこの人!?
でも何かゾワゾウって来たぞ!? コレは良くない、何とか話題を変えよう。
「何で…………村、逃げない?」コテリ
「んん〜、そうね、村の人達も沢山残っているのに逃げられないわ。アイリスちゃん達もいるしね」
頭を撫でるな。俺はいざとなったら逃げるぞ? スタンピードが起きたらちゃんと皆んな逃げられるのかな?
その後少し話してから部屋に戻って横になった。夕方になると目が覚めて軽く走り込んでからレイク達ともう一度鍛練、浴場で汗を流して晩ご飯を食べてから今度は朝まで寝た。
「ふわぁ、……あふぅ」
「幾ら何でも寝過ぎじゃないか?」
家を出て井戸で顔を洗って目を覚ましていると、後ろからエリックが声を掛けてきた。しっかり目は覚めるんだけどなぁ。でも幾らでも寝れるし目覚めるたびに体の調子が良くなってく感じがするんだよな。
『まあ我が体調を調整して回復しとるからの』うんうん
「まあ俺から見ても調子良さそうに見えるけど、今日もこれから鍛練か?」
「んっ」コク
「じゃあまた皆んなでやるか?」
「いい……足手まとい」
「気を使い過ぎだろ。アイツ等がその程度でどうにかなるかよ。物足りなきゃ自分達で鍛練増やすだろうさ」
「むう、……相手になってない」
「いやいや、成長はしてるって。アイツ等は、リックとトマソンもそれなりの使い手だ。アイツ等相手にそう簡単に成果が感じられるかよ」
『うむ、確実に成長はしとるのじゃ。我が保証するのじゃ』
「まあ好きにしな。俺達は俺達で鍛練と畑仕事でも手伝ってるよ。――今度俺達の鍛練にも来るか?」
「いや、……怪我させられる」
何言ってんだコイツ、アイツ等が俺に手加減なんかするかよ。下手すりゃ大怪我させられるぞ。
「ははっ、本当にリズ達と合わないんだな」
「俺も、畑仕事……やる?」コテリ
「いやまあ、お前はその剣に慣れておいた方が良いんじゃないか?」
「…………ん」コクリ
まあそうだな、その後軽く走り込んで行く。何かまた体が軽く疲れにくくなってる気がする。
『我の調整が効いて来ているのであろう。体に溜まった毒素の排出や活性化が上手くいってる証拠なのじゃ。寝てばかりなのもその間にやっているからじゃな』
そうか、それだけでもこの剣は良い拾い物だったな。幾ら金を出しても健康なんて効果は得られないだろうし。
『むふふ、そうじゃろそうじゃろ』ドヤ顔
結局レイク達の鍛練に直接誘われて一緒にさせて貰う事になった。でもコッチは成果を全く感じられないんだよな。って言うかレイク達の微笑ましそうな顔がムカつく。
それに何で村人にまで同じように見られないとイケないんだよ。俺は傭兵に遊んでもらってる子供じゃないんだぞ? と思いつつも結局レイク達にはボロボロにされてしまった。
「ここまでにしましょうか。スタンピードが起きたら動けなくなりますし」
「……………………ん……」
返事する余裕もない。――なのに3人共涼しい顔しやがって。
『余裕があっても何時もと変わらん返事じゃろ』呆れ顔
「……間に合うと思うかレイク」
「エリックか。どうかな、スタンピードはもう何時起こってもおかしくないし」
「早ければ今日にも人は来るだろうが……」
「まとまった数が揃うのは2・3日は掛かるだろう。もたつけば更に時間が掛かるだろうしな」
「そうなると最悪だな。だがどうする? このままだと無駄死にさせられかねないぞ?」
「村人を避難させながら俺達も逃げるしかないだろ? どう攻めて来るか分からないし、臨機応変に行くしかないだろうがな」
「村人より俺達の命を優先するぞ?」
「ああ、分かってる。けどやれるだけはやるぞ」
「ああ」「勿論だ」
村人より自分達の命を優先する。これは傭兵ギルドの方針通りだ。戦える人間、それもハイランクとなれば貴重だからだ。戦えない人間の為に消費出来る人材じゃないと言う事だ。
恐らくレイク達は俺達なんかよりも厳しくその辺はギルドから言われてるんだろうな。
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