第013話 ある休日の……デート? アジトへ
「ナージャ! ミリアーナ! 乗れ!!」
「ヴェルン!?」
アイリスちゃん達が攫われた後、すぐにヴェルンが馬車にを操って来た。私達も乗り込むとすぐに走り出す。
「すみませんヴェルン! 失敗してしまいました!!」
「今は良い! それより後ろの荷物を少しずつ捨てて下さい。目印に使います」
ナージャは謝るけどあれだけ敵が来たらどうしようもなかったと思うんだよね。
「この馬車どうしたの?」
「緊急事態です、接収しました」
荷台を見ると食品でいっぱいだ。そっち関係の商人かね? ご愁傷様。
「ヴェルンはどうしてあそこに?」
「遠目から護衛をしていたのです。しかし間に合わなかった」
「申し訳ありません」
ヴェルンは悔しそうに歯軋りしてナージャはまた謝っている。
「うーん、けどアレはどうしようも無かったんじゃないかな? 数が多かったし統率も取れてたし、何か狙い打ちされた感じ?」
「最悪アイリスだけでも守れていれば良かったのです。その為の時間稼ぎも出来ていなかった」
「何よそれ! ヴェルンはあの子達は見捨てても良かったって言うの!?」
「アイリス込みで助けられるなら助けるべきでしょう」
それってアイリスちゃんの為なら見捨てても良いって事じゃない! 確かにアイリスちゃんは特別な力を持っているけど。
「ナージャも同じ考えなの?」
「――アイリスちゃんに何かあれば、リアースレイ精霊王国に私達の国が滅ぼされるかも知れません」
祈るように手を組んでいるナージャは顔が真っ青だ。ヴェルンの厳しい顔からも事態の深刻さが伺える。
「いやでも悪いのは誘拐犯でしょ? 犯人も犯罪もこの国の人間がこの国で起こしたんだから罰するならこの国になるんじゃないの?」
「それで済まされるか分からない相手なのですよ」
「……理不尽な。でもどうするの? このまま追って敵のアジトが分かっても数が違い過ぎるわよ?」
「共にいた傭兵に応援を頼みました。私達は応援が駆け付けるまで時間稼ぎです」
「……突入するって事は?」
「場合によっては」
あの数の敵がいたら自殺行為だろう。けど2人は貴族の家臣、覚悟は出来てるって事ね。
「はぁ、私まだ若いのに」
「ミリアーナ、……良いのですか?」
ナージャが覚悟を決めた強い目で聞いて来る。
「もし生き残れたら貴女の体で払ってもらうからね♪」
せめてあの子達だけでも助けたいわね。
馬車で30分程、何度か道を曲がりながらも漸く目的地に着いたようだ。
「おう、積荷は無事か?」
「ああ、上手くいったぞ」
「ん? 1人多いな」
「ターゲットの美少女2人に巨乳の少女はちゃんと攫って来たぞ。けど一緒にいたのが物凄い美少女でな。思わず攫って来ちまったよ。ガハハハハ」
ガハハハハじゃねえよ! それ間違いなく俺の事だよな!? 誰が美少女だ! ふざけんな!!
「お前等……」
「いやいや、それが本当にとんでもない美少女なんですよ! あんなの見た事ないですぜ!!」
「本当本当、俺なんて攫う時違う意味で緊張しちまったし」
「ほぅん、それなら高く売れるか?」
「間違いないっすね。出来たら自分が買いたいくらいですよ」
「よし奥に運んどけ、手ェ出すなよ」
「「「おう」」」
くそ、見知らぬおっさん共に美少女扱いされる攻撃を受けて無駄に精神がすり減らされたぜ。高度な嫌がらせしやがって。
『嫌がらせかのう?』
「(うおっ!?)」
いきなり誰かに持ち上げられて何処かに運ばれる。雑に運ぶなよ! てかこれ階段? 降ってるのか?
『うむ、地下なのじゃ』
「おい、離れてろ」
ガチャガチャ「ヒヒッ、お仲間が増えたぜぇ。仲良くなぁ?」
ドサッ、ドサドサッ「「きゃっ」」「「痛っ」」
痛てて、雑に下ろしやがってクソ。にしても仲間って他にも攫われたのがいるのか?
直ぐに静かになる中、暫くじっとしてたら自分の入れられた麻袋が解かれていった。
「アッ、アイリスちゃん!?」
「んっ、……マーブルお姉様?」コテ
学院でお菓子の部屋に誘ってくれたマーブルお姉様が目の前にいた。侍女さん2人もいて一緒に攫われたのか。いやでも貴族の令嬢だぞ? この誘拐犯グループ思ったより規模がデカい?
「ああ、そんなまさか、他の皆さんも……」
「落ち着いて下さいマーブルお嬢様」
「何で私達が誘拐なんて……」「うぅ……、お母さん……」
「もうっ、何なのよ何なのよ!」
フランとホリーが怯え泣いている。エリカちゃんも憤っているように見せているけど怯えが隠せていない。まあそれも当然か。辺りを見渡すと確かに地下らしく窓もない。そして此処は牢屋の中だ。
念の為ワンピースの中に隠していた精霊剣があるけど木の牢屋とは言え木は太いし、鍵も金属製だし頑丈そうで壊すのは時間が掛かりそうだ。誘拐犯の目がある中では無理だな。
『んにゃ、精霊剣の保有しとる魔力を使えばこの程度の木の柵くらい簡単に切れるのじゃ』
マジか!? ――いやでも誘拐犯共をどうにかしないと駄目だよな? 結構な数いたし。そう言やヴェルンさん達はどうなったか分かるか?
『ヴェルンとミリアーナは別れて建物の出入り口を張ってるのじゃ。ナージャはいないの、応援を呼んどるんじゃないかの』
撒かれずに此処まで来れたか。良かった。なら何もなければ時間は味方になりそうだな。敵ほどんな感じだ?
『階段を上がった1階に8人、2階に6人3階に3人なのじゃ』
やっぱり多いな、……それに地下牢の見張りに3人か。うーん、ヴェルンさん達が救出に動いた時にどう動くかが鍵かな? 皆んなが怪我しないようにしないと。
「アイリスちゃんその格好……」
「んと、……遊ばれた……」コテ
マーブルお姉様は麻袋から出た俺がワンピースを着させられていて驚愕させてしまったようだ。でも俺の趣味じゃないんだよ? そこだけは理解して貰わないとな。
そう思ってホリー達を見て誤解を解いて貰おうとしたけどまだ落ち着けてないようだ。
『むっ? 誰か降りて来るのじゃ』
「おお、やるではないか! コイツ等だコイツ等!! 良くやったぞお前達!」
「へへっ、苦労しましたよ。何せ貴族のご令嬢ですからね」
「高く買って下さいよ坊ちゃん」
「うむ、任せろ」
「やりましたねロブル様!」
「ざまあ見ろ、ロブル様を軽んじてるからだ!」
「ふふっ、そうだな。これからたっぷり調教してやるぞ、なあマーブル?」
降りて来たのは大人2人とマーブルお姉様と知り合いっぽい同年代くらいの男子達3人だ。何か因縁ありそうだな。
『お主も一応知り合いじゃぞ? マーブルと知り合った時に絡んでた奴等なのじゃ」
えっ? 俺会ってるの? コイツ等と?
「貴方達が犯人だったのね……、こんな無関係な人達まで巻き込んで……、こんな事をしてどう言う事になるか分かっているの!?」
「ああ、そのクソ生意気な性格を俺がしっかり調教してやるからな!? 従順になるまでしっかりとな! ふはははは!!」
クソ野郎だな、ガキ共とは言え流石に殺意が湧いてくる。て言うか何で人の事を見つめてんだコイツ等、気持ち悪い。
「ロブル様! この女もの凄く可愛いですよ!!」
「おっ、おう」
「この娘が予定に無かった娘ですよね? だったら俺達にもヤらせて下さいよロブル様」
「う、うむ。俺の後でなら良いだろう」
「「やった!」」
「キモっ」
ドン引きだよ! 女じゃないし! ワンピース着てるけど一度会ってんだから覚えておけよ!!
『お主も忘れておったではないか』
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