第012話 ある休日の……デート? 急襲
その後3人は下着コーナーに、流石に俺は入らない。……と思ってたらエリカちゃんに引っ張り込まれた。
「ほらアイリスちゃん一緒に選ぼうよ。可愛いのいっぱいあるよ?」
いや俺男なんですけど? 選んでどうするの? ホリーもフランも何か言ってよ!?
「アイリスちゃんコレは? アイリスちゃん猫さん好きですよね?」
「アイリスちゃんは何でも似合いそうですね」
何故受け入れる??
俺が履く訳ないだろが、と思ってたらナージャさんとミリアーナも参戦して来た。アホしかいないのか? 何で男の俺に女物の下着を着せようとするのか分からない。コイツ等脳がヤラれてるんじゃないの??
それから恐怖を感じながら今度は3人の下着を選ばされた。――軽い地獄だったよ?
『軽いのか……』呆れ顔
エリカちゃんに推されてホリーとフランも巻き込まれて恥ずかしそうだった。少女の好みなんて分からんのよ、……父親って本当大変。
『いや父親に下着を選ばせる少女はいないのじゃ』
何言ってんだよ。俺は選ばされたぞ? ホリーとフランだって結局俺が選んだ下着買ってたし。
全く、最後にはナージャさんとミリアーナの下着まで選ばされたし、子供は兎も角大人の女の下着まで選ばせるなんて少しは恥じらいを持って欲しいよ。はぁ疲れた………糖分が欲しいなぁ。
『お主は常に甘味を欲しておるじゃろ』
いや、今はマジで気疲れして甘いモノが欲しくなってんの!!
『おう、……それはすまんのじゃ』
因みに俺の女性用下着は買わなかった。けどナージャさんが男物で改造するらしい。
「色々参考になったのでアイリスちゃんに可愛い下着を作ってあげますからね」
望んでないよ??
買い物を済ませてフランの店を出た。けど俺はエリカちゃんと買ったワンピースを着させられたままなんだよ?
「はいアイリスちゃん、コレ欲しかったんでしょ?」
死んだ目でフランの店を出たらナージャさんがニコニコしながら猫のぬいぐるみを手渡して来た。
「さっきからジッと見てたもんねえ」
「……にゃあ」
思わず間抜けな声を上げてしまった。
正気かコイツ等? ナージャさんもミリアーナも何を言ってるのか。この2人は35歳のおっさんがぬいぐるみで喜ぶと本気で思っているのだろうか? しかし服を奢らせてしまった以上コレも受け入れるしかないのか。
「……ありがと」ボソッ
「いやぁん、顔を赤くしちゃってアイリスちゃん可愛いーっ」
「ふぅ、コレは眼福です」
そりゃ良い歳したおっさんがぬいぐるみ貰ってお礼言うなんて恥ずかしくて赤くもなるわ!!
「アイリスちゃんは可愛いのが好きなんですねえ」
「本当に、赤くなっちゃって可愛いです」
フランとホリーにまであらぬ誤解をされてしまった。耳まで熱くなってるのが分かる。もう涙目だよ!?
「くっ、ぬいぐるみ! エリカも欲しかったけどお小遣いが足りなかったのよね!! 今度必ず買うから皆んな付き合ってよね!?」
…………また付き合わされるのか。
「うーん、結構時間使っちゃったね。そろそろ甘いモノでも食べに行かない?」
「賛成!」
甘いモノと聞いて思わずズバッと手を上げる。
「ふふっ、アイリスちゃん急に元気になりましたね。ぬいぐるみを貰ってテンションが上がってるのかしら?」
「アイリスちゃんは甘いモノ好きだからねえ?」
「この間も甘いモノに釣られて先輩達に付いて行っちゃったもんね? 悪い人に騙されないか心配だよ。エリカだってもうちょっと考えるのに」
言いたい放題だなお前等。
『当然じゃろ』ジト目
フランとホリーに微笑まし気に見られエリカちゃんにまで困ったちゃん扱いされる。けど甘いモノが相手なら仕方がない。
実はあれからマーブルお姉様達がいる時に何度かお菓子を食べにサロンに行かせて貰っているのだ。アレは実に良い出会いだった。
エリカちゃんとペアルックで腕を組んで街中を歩く。甘味はデパートじゃない専門店で食べる事になった。
「2人共にっこにこですね」
「エリカちゃんは新しい服とペアルックが嬉しくてアイリスちゃんはぬいぐるみと甘いモノが嬉しいんでしょうね」
『まるでフランとホリーが保護者なのじゃ』ボソッ
大通りから脇道に入って行く。脇道って言っても王都、道も広く馬車も沢山走ってる。
エリカちゃんと腕を組みながら歩いていると横の馬車が止まって顔を隠した男達が降りて来た。
敵!? 咄嗟に精霊剣に手を掛けエリカちゃんを後ろに隠す。
「きゃっ!?」
しまった後ろからも!? 通行人に化けてた襲撃者がいてエリカちゃんが捕まってしまった! 男達に麻袋を被せられ持ち上げられている。――誘拐する気か!?
「何!? あんた達!!」
「ミリアーナ! 戦闘態勢!!」
ナージャさんとミリアーナは剣を抜いて牽制する。けどそっちにも通行人の中に襲撃者がいたらしくフランとホリーもエリカちゃんと同じように捕まってしまった。
「きゃあっ!!」
「助けてっ!!」
「フラン! ホリー!」
ミリアーナが叫び猛然と剣を振りナージャさんがそれをフォローして敵を攻め立てていく、けど更に後ろの馬車2台からも顔を隠した男達が出て来た。こんな街中で10人以上の誘拐犯!? 過剰過ぎるだろ! 顔を隠しているし用意周到だ、俺達が狙われたのか!?
「お前達動くな!!」
刃物をエリカちゃんが入った麻袋に突き付けられナージャさんミリアーナも身動きが取れなくなった。
「くっ、あんた達こんな事してただで済むと思ってるの!?」
ミリアーナがイライラして叫ぶけど敵は無視して何故か俺も攫おうとして来る。
「「アイリスちゃん!!」」
多勢に無勢、人質を取られて身動きが取れないまま俺も麻袋に入れられてそのまま馬車に詰め込まれ走り出してしまった。
「何なの? 何なの!? エリカをどうするの!?」
「うるせぇ! 動くな、黙ってろ、ぶっ殺すぞ!?」
「ひっ! 〜〜〜うぅ……何なのよぅ、ひっく、うう」
エリカちゃんが声を押し殺して泣いている。フランとホリーは静かだ。相手もこれくらいなら許容してるか。
「上手くいったな」
「余裕余裕、コレでまた大金が入るな」
「まだ終わってない、警戒を続けろ」
「分かってるよ。チッ、偉そうに」
馬車の中、麻袋は口を紐で縛られてるようだ。荷台の中、何人かの男達が話してるのが聞こえる。
どうするか、精霊剣ごと麻袋に入れられたから精霊剣はそのまま持ってる。精霊剣を使えば袋から出る事は出来る。けどナージャさん達は追い付けないだろうし、……敵のアジトに着く前に打って出た方が良いか?
『ぬっ? フランとホリーは別の馬車に乗せられておるのじゃ。エリカは一緒じゃが上手く切り抜けてもフランとホリーはどうなるか分からんのじゃ』
リリィか!? リリィがいるのは大きなアドバンテージだな。しかしそうなるとどうするか。
『先頭の馬車には御者も含めて敵は6人、真ん中のこの馬車は同じく御者を含めて4人、後ろのフラン、ホリーを乗せた馬車も同じく4人いるのじゃ』
……多い、保身だけ考えれば1人で逃げ出したい所だけど子供達を残すのはな。傭兵としては罪ではないけど蔑まれる行為だ。
それにそんな事をすれば俺は一応貴族の家臣って事になってるからビアンカお嬢様に恥を掛かせる事になるかも知れない。
その処罰で処刑とか……、無いよな? ありそうで怖い。誘拐したって事はアジトに着いてすぐ殺されるって事は無いんじゃないか? ……けど女の子を狙った誘拐ならその場で手を出される可能性もあるか。
ナージャさん達も追ってるとは思うけど見失ってしまう可能性もある。
うーん、命を奪われないならあの子達が手を出されるのは許容するとしても、来るか分からない助けを待つ事は出来ないな。
『お主、女子が体を汚されるのは軽くないぞ?』
分かってるけど命には変えられないだろ?
『それで自死する者も少なくないと言うがの』
じゃあどうすんだよ?
『リリィに聞かれても知らんのじゃ』
案も無いなら余計な事言うなよな、時間も無いってのに。
――ううん、イラついてるのが分かる。こう言う時こそ落ち付かないと。馬車3台も使っての犯行なんて大掛かり過ぎるし手際も良過ぎだ。大商会や貴族絡みの大掛かりな犯罪だろう。
となると欲望に流されて商品に手を出す可能性は低いんじゃないか?
『まあ買い手がその場にいなければ多分すぐに害される事もないかもの』
……でも多分なんだよなぁ。
『しかしお主も貴族と揉めとるから私怨で皆が巻き込まれた可能性もあるんじゃないかの?』
嫌な事言うなよな。向こうが悪いとは言え理屈が通らないのが貴族だからな。可能性が無いとは言えないんだよなぁ。
『じゃからあの子等を見捨てる等と考えるでないぞ?』
そこに行き着く訳ね。
『おっ、馬車が追って来とるのじゃ。アレはヴェルンにナージャ、ミリアーナかの』
おお、本当に!? 希望が見えて来たか!
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