第011話 ある休日の……デート? フランの洋服店
「さて、次はフランのお店ね。エリカの店に無い可愛い服とやらを見せてもらいましょうか」
「ふふっ、では行きましょうか」
大通りに戻ってデパートとは反対の方に5分程行くとフランの店に着いた。3階建ての石造りの建物で格子状の壁から中が覗けるけど女の子しかいない。
――此処に入るの? 俺も?
『何を今更そんな事で躊躇っておるのじゃ?』
あっ、良く見るとお父さんらしい人もいるな。そっか、娘に連れられたお父さん的な感じで入れば良いか。
『………………』
「ただいまお母さん」
「あらお帰りなさい、来たのね。ゆっくり見ていってね。ふふっ、皆んな可愛いらしい娘達ね。これからも娘と仲良くして下さいね」
「「はい」」「んっ」コク
フランの母親か、ゆるふわ系な雰囲気で如何にもフランの母親って感じがするな。けど何で俺の所でジッと視線を止めて頷いてるんだろ?
まさか可愛らしいに俺は入ってないよな? 千歩譲って子供だと見ても俺は男だぞ?
「くうぅっ、可愛い服が揃ってるじゃない! これっ、リボンがいっぱい! 可愛いわね!!」
エリカちゃんがはしゃいでるなぁ。まあ俺の目から見ても確かにデパートのエリカちゃんの店より可愛いのが揃ってるのが分かるからな。可愛い女性服専門店ってとこか。――何で俺はこんな所に居るのだろうか。
「まあまあ、エリカちゃんに似合いそうな服いっぱいありますよ?」
「そうですね。コレなんかもフリフリで可愛いくてエリカちゃんに似合いそうです」
「くっ、エリカこう言うお店がやりたかった……、って高っ! えっ? 何この値段2万5千イェン? これも3万!?」
「ちょっ、エリカちゃん? あんまり高いとか言うのは」
「うっ、そうだった! ごめんフラン!」
「あはは……」
エリカが騒ぐのをホリーが止めてフランが苦笑いしてる。
けど騒ぐのも無理は無いかな。エリカちゃんの店は1着1万イェンくらいだから倍以上してるんだから。まあパッと見ても凝った作りしてるのが分かるし正当な値付けなんだろうけど。
エリカちゃんも次々服を取っては自分に当ててはしゃいでいるしな。
「ちょっと、フランは自分の店だから分かるけどホリーももうちょっと興味持ちなさいよ!」
「いやぁ、ちょっと私には可愛い過ぎて似合いそうもないしぃ」
「もおーっ、それならエリカが似合うの探してあげる!」
「ええ〜っ!?」
エリカちゃんは生き生きしてるなぁ。店が服屋だしこう言うのが好きなんだろう。ホリーは自分に自信が無いからか恥ずかしがって困惑してる。フランは一歩引いてニコニコして他人事のように見てるだけだ。
「フランとアイリスちゃんもだからね!」
「「えっ!?」」
飛び火した!?
「いえエリカちゃん? 此処は私のお店だしわざわざ選んで貰わなくても大丈夫ですよ?」
あっ、フラン1人逃げる気だ。
「何言ってるのよ。その服大人し過ぎるでしょ? フランはちゃんと可愛い服持って無いんじゃない!? エリカが選んであげるわよ!」
「僕、……男」
フランは撃沈したけど俺は巻き込まれないぞ。何せ男物の服なんて此処には売ってないんだからな、ふはははは!
「大丈夫、エリカがちゃんと似合うの選ぶから! ……ってアイリスちゃんは何でも似合うか」
いやいや、似合う似合わないとかじゃなく女物の服を着るのがおかしいんだよ? て言うか何でホリーもフランもそこは納得してんの??
そしてナージャさんとミリアーナ、お前等もだよ? 頬を赤らめてニヤニヤして、何かキモいんだけど??
その後1時間、着せ替え人形にされた。何故かホリーとフランまで俺を着せ替える側に回って逃げやがった。
くたびれて死んだ目になってされるがままになっていると、娘に連れ回されくたびれたおっさんが目に入る。――シンパシーを感じるね?
『向こうは欠片も感じてないじゃろうがな』ボソッ
「あっ、コレ可愛い!」
エリカちゃんがワンピースを手に取って固まった。
クリーム色のワンピースで前と袖に赤いリボン型のボタン、後ろの腰の部分に大きなリボンとリボンだらけのワンピースだ。気に入ったのかな? まあエリカちゃんには似合いそうだ。
「おおー、可愛いね。エリカちゃん似合いそう、私には着れないけど」
「私もちょっと、可愛い過ぎですね」
「なっ、何よー、こんなの着れるの今だけなんだからね! 大人になったら余計着れないんだからもったいないでしょ!?」
まだ2人にも着せようとしていたか。俺は無駄な抵抗はしないのだ。子供3人にナージャさんにミリアーナまで敵に回って勝てる訳が無い。
服一枚に5万イェン、此処の物価でも普通の服なら5枚買えるわ! フランとホリーは値段を言い訳にして逃げた。フランは自分の家の店なのに!
そして何故か俺の服をナージャさんとミリアーナが買うと言う。馬鹿じゃないの? 5万だぞ5万??
エリカちゃんが赤いリボン増し増しのクリーム色のワンピース、俺が色違いの若草色のワンピースでホリーとフランに着替えさせられた。
「本来着替えは侍女の仕事ですが今回は譲りますわ」
ナージャさんが何を言っているのか分からない。
ご機嫌で腕を組んでくるエリカちゃんに娘に振り回される父親の気分を味合わされる俺、……親って大変だなぁ。
『………………』
そしてその格好のまま皆んなで2階へ。パジャマパーティーするからパジャマを買うって、パジャマパーティーって何?
で、パジャマの方は……、こっちも可愛いのが多いな。って2階半分女性下着コーナじゃん、来させんなこんな所。
「アイリスちゃんそっちは女物の下着コーナーだよ、……興味あるの?」
「……無い」
エリカちゃんがニヤニヤしながら聞いて来たけどジト目で返した。無理矢理引っ張って来ておいて何を言うのか。
「あれ? そう言えばアイリスちゃんの下着って男物?? 似合わないんだけど?」
当たり前だろ。何を言うのか。
「アイリスちゃんの下着は私が可愛く改造しております」
「ナージャさんってそんな事も出来るの!?」
「アイリスちゃんの為なら造作もありません」
ホリーとフランの問いに自慢気に無い胸を張って答えてるナージャさん。いや俺の為になってないよ!? て言うか何してんの??
俺は取り敢えずズボンを脱いで確認、――しようとして皆んなに止められた。
「ちょっ、アイリスちゃんいきなり脱ぎ出して何してんの!?」
「んっ、確認」
「何の!? て言うか幾ら何でも羞恥心が欠けてない??」
「めっ! ですよアイリスちゃん? こんな所で脱いではいけません!」
最近はずっとナージャさんに着替えさせられて下着なんて見てもいなかったんだもん。皆んなに叱られては仕方がない、後で確認しよう。
『コヤツは本当に……』ジト目
「ねえねえ、パジャマこの動物柄で合わせない? エリカこのクマさんが良い!」
「えっ、あっ、うん、良いんじゃない?」
「もうっ、ホリー達もちゃんと選んでよね! 今夜パジャマパーティーするんだから!!」
「うっ、分かってるよ。フランとアイリスちゃんも何が良い?」
――もう何でも良いわ。女子供に振り回されて疲れ果てたよ。
『寧ろお主も振り回す側じゃろ』ボソッ
ぼうっと周りを見渡すとぬいぐるみが目に入る、こんなモンも売ってるのか。
「…………ふう」
『何じゃ、ぬいぐるみが欲しいのか?』
そんな訳ないだろ。コレ抱いて寝たらナージャさん達を避けられるかなって。抱き付かれるのはまあ良いんだけど、寝るまではしゃぐから相手するのも疲れるんだよ。
『女避けか、まあ無理じゃろな』
………………だよな。
「フランは兎さんが良いんじゃない? 何か品があるから」
「そうですか? ふふっ、ありがとう、エリカちゃんがそう言うなら兎にしましょうか」
「ホリーは……牛ね、大きいから」
「なっ、何がっ!?」
「うん? 言って良いの?」
「いっ、いや言わないで。分かってるから!」
「ふぅん、分かってるんだぁ」
ホリーは胸を抑えて縮こまってる。こう言うイジりが苦手みたいなんだよな。エリカちゃんは意地の悪そうな笑みを浮かべて揶揄ってるけど嫉妬もあるのか、たまにちょっと過激になる時があるんだよな。
まあ大抵フランが間に入って俺は傍観者だ。普段からナージャさんとミリアーナの間に入らされて面倒な目に遭ってるんだ、避けられるのなら避けるのだ。――因みに俺は猫のパジャマになった。
パジャマは3万イェンかぁ、皆んなお金あるなあ。まあ学院に通うのはそこそこの金持ち以上だからな。
コレも俺の分は何故かナージャさんとミリアーナが出してくれた。1番年上の俺が奢られてる事に何も思わない訳でもないけど、将来の為にも無駄遣いは出来ないから有り難く受け入れる。これも俺の処世術だな。
『普通ならクズの紐なのじゃがのぅ』ボソッ
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