第010話 ある休日の……デート? ホリーの雑貨店
デパートの4階に上がって行って、雑貨コーナーを抜けて本屋に入ると有料の読書コーナーでフランを見つけた。
「フランー、アイリスちゃん来たから行くわよー!」
「ちょっ、エリカちゃんシー! 読書コーナーは静かにしないと怒られちゃうよ」
「あっと、ごめんごめん」
フランが支払いを終えてやって来る。侍女を連れてるのは俺だけか。
「こんにちはアイリスちゃん。それがアイリスちゃんの私服ですか、可愛いらしいですね」
「んっ、……やっぱり」
男らしい格好が良かったのに大丈夫だって押し切られてこの服装になっちゃったんだ。
半眼でナージャさんを睨み付けるけどニコニコ返された、むう。
「お昼どうする? 下にする? 上に行く?」
「上、行く」
「アイリスちゃんは上のスイーツが食べたいんでしょ? まあエリカもそうだけど」
その通り、1階の食堂は甘いモノが出ないんだよ? 買う所はあるんだけどな。
「でもスイーツは後にしませんか? 今は軽く食事をとって甘いのはおやつにしません?」
ぬぬ、フランめ、どっちでも食べるに決まってるだろ。
「ああ確かに、それも良いかも知れませんね。ここでスイーツまで食べちゃうと後で美味しく食べられないかも」
「もう、フランもホリーも私達は女の子なんだよ? スイーツは別腹なのよ、ねえアイリスちゃん!?」
「男の子、……でも同意」コクコク
『自分で男の子って言ったのじゃ』ジト目
何とか別腹で押し切った、ふっふっふっ、5階食堂に参りまぁーす。
5階は高級な食堂街になっているからか昼前でもそこまで混まないようだ。酒屋とお酒を飲めるバー、それに甘いモノも食べられる食堂とスイーツの専門店がある。専門店も気になるけど今日は食事もとるから食堂だ。
サラダにトマトとポテトのピザをエリカと分ける事にした。やっぱりスイーツ前に一人前は多いからね。
「アイリスちゃんあーん」
「あーん、んく、もぐもぐ」
エリカちゃんがおふざけでピザを手に取って食べさせて来た。これはお返ししないと駄目だろうか? ――キラキラした目を向けられる。明らかに期待してるな。手に取るように分かるぞ。
「……エリカちゃん、あーん」
「あーん、んふふ、美味し」
ご機嫌な様子のエリカちゃんと食べさせ合ってると対面のホリーとフランがこっちを見ながらコソコソ話してる、なんだろ?
「やりますねエリカちゃん」ボソッ
「私達はパスタですから、流石にパスタでアレは無理です」ボソッ
「でもアイリスちゃんは何も分かってなさそうですよ?」ボソッ
「ふふっ、でもエリカちゃんは確信犯ですわ。侮れませんね」ボソッ
チラッと隣りの席のナージャさんとミリアーナを見ると俺達を見てニヤニヤしてる。ナージャさんは幼い子が、ミリアーナは女の子が好きだからなぁ。エリカちゃんに迷惑かけなきゃ良いけど。
『どの口で言っとるのか』呆れ目
「もーも♪ もーも♪ もーものクレープ♪ もーものクレープ♪」
「アイリスちゃん静かに食べましょうね?」
おっと、無意識に体を揺らしながら歌ってたようだ。フランに注意されてしまった。いかんいかん、良い大人なのに少し子供のような真似をしてしまったかな。
『……手遅れなのじゃ。……何もかも』遠い目
何かリリィが疲れたように呟いているな。この桃のクレープと言うヤツは中々深い味わいなのだ。シャコシャコつるんってヤツだな。
「アイリスちゃんあーん」
「あーん、もぐもぐ」
エリカはイチゴのクレープを選んでいてそれも一口くれた。
「美味し? アイリスちゃん」
「んっ」コク
同じスイーツ好きとして返さねばな。
「あーん」
「えへへ、あーん、んっ……美味しい。ありがとアイリスちゃん」
この後も交換しながら食べた。エリカちゃんもだけど前に座っているホリーとフランもニコニコ見てる。皆んなニコニコしていてなんだかこう言うのも良いな。
『………………』
「ねえ見て見て、なんだか微笑ましいわね」
「ミリアーナ顔、抑えて下さい。欲情してますわよ」
「おっと、イケない。ってナージャも顔に出てるじゃない」
「私は純粋に微笑ましく思っているだけですが、貴女は違うでしょう? 仕事中ですからね?」
「分かってるわよ、もう固いんだからナージャは」
食事を終えた後、デパートを出てホリーの雑貨店に向かった。徒歩で5分程、大通りからは外れるけどデパートの近くなので人通りは多い、まあ休日と言うのもあるのかな?
ホリーの雑貨店は3階立ての煉瓦造りの1階が店舗になっていて台所用品や石鹸とか色々あった。
「まあぁ、可愛い娘達ばっかりねえ!? 私はホリーの母親よ、皆んなこの娘と仲良くしてくれてありがとうね」
確かにフランもエリカもオーク君に見初められるくらいだからな、学院でもトップクラスだろう。
『可愛い娘にお主も入っているようじゃがの』
何言ってんだお前は? 時々リリィは意味が分からん事を口走るよな。
「まぁね、エリカ達は可愛いもん。アイリスちゃんなんて別格だし」
コイツも何を言ってるのか。男で可愛いが許されるのは子供だけだろ。
『その子供に見えとるんじゃよなあ』ボソッ
「ホリーも可愛いですよね」
「うう、止めて下さいフラン。惨めになるから」
「? 惨め??」コテン
「……私は皆んなみたいに可愛くないから、側にいて良いのかなって」
「良いに決まってるじゃない! 大体男共が私達を見る時なんて大抵ホリーの無駄にデカいもげちゃえば良い胸を見てから私達の顔を見てるのよ! ホリーも充分目を引いてるから自信持ちなさいよね!」
「エッ、エリカちゃん!? こっ、こんな所が目を引いても自信なんて持てないわよぉ」
ホリーが両手で胸を押さえて小さくなってる。
「何言ってんだいこの娘は。アンタは不細工な訳じゃないんだしその胸だって立派な女の武器なんだよ!? 自信持ちなさいな!」
「うう、お母さんまで……」
「済まないね、この娘はアンタ等が可愛い過ぎちまって気後れしてるのさ。気にせず振り回して慣れさせてやっておくれよ」
ホリーのお母さんはホリーを強化したような人で太めの体に爆乳を携えている。サバサバして人の良さそうな感じの人だな。
胸の大きさだけならミリアーナクラスだ。
「そうですね。それに1番見られているのは男のアイリスちゃんですから、自信を無くすと言う意味では私達3人共失くしてしまいますわ」
「アイリスちゃんはおかしいのよ! 何かキラキラしてるって言うか庇護欲をそそられるって言うか、可愛い過ぎて目を逸らせないのよ!」
「エリカちゃんに言われるのですから相当ですわね」
「どっ、どう言う意味よフラン!」
「エリカちゃんも(言動が幼くて)庇護欲をそそられるタイプですから」
「そっ、そう。まあエリカは可愛いから仕方がないわよね!」
ホリーの雑貨店を皆んなで見回しているとその一角、文房具コーナーに行くと可愛い文具が沢山あって皆んなが食い付いた。
「ねえねえこの動物消しゴムセット、皆んなで買って分けない?」
「良いですね、何の動物にしましょう?」
エリカが提案してフランが同意した。動物消しゴムセットは色んな動物のセットと1つの動物の色んなポーズのセットの2種類あって同じ動物の消しゴムを分けるようだ。
皆んな可愛いのが好きだなあ。
『お主も人の事言えんじゃろ。なんせリリィのこの姿も精霊剣が可愛くなってるのもお主の趣向なのじゃからの』
…………。
「エリカは猫か犬が良いかな。アイリスちゃんはどれが良い?」
「……猫」
『ほらの』
リリィうるさい。可愛い動物しか居ないんだから当然そうなるだろ!?
「私も猫で良いですわ」
「私もです」
エリカが黒猫を選んで俺は眠そうにして顔を拭いている茶色に黒のまだら模様を選んだ。
「ではホリーさん、私はこの白猫でよろしいですか?」
「良いですね。可愛いくて品がありそうでフランっぽいです。では私はこの黄色の猫をもらいますね」
「はい、一個200イェンだよ。はい丁度だね、またおいで。ホリー、帰りは遅くならない様にね」
「はぁい、行って来まぁーす」
「「「お邪魔しましたー」」」
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