第007話 日常的学院生活、前編
「ふう」
学院に通い始めて1ヶ月か、教室から空を見上げると飛空艇が飛んでいるのが見える。空を船が飛ぶなんてなぁ。既に日常になった非常識な光景に改めて思いを馳せる。一度は乗ってみたいとは思うけど、商工ギルドの何とかが言ってたんだけど。
『ダールトンなのじゃ』
俺だけなら乗れるらしいけどビアンカお嬢様を置いて1人で乗るのは子供がはしゃいでるみたいで嫌なんだよな。
『今更じゃないかの(コヤツの認識はどうなっとるのじゃ?)』
「――まあ出来るならねぇねと乗ってみたいしな」
元気でやってるかなねぇね。手紙では娘のユミルと元気にやってるらしいし両親達とも合流したそうだから一安心。なんだけど、会いたいなぁ。
『仕方が無かろう、移動にひと月近く掛かるんじゃからの。向こうもお主に会えんのじゃ、お主が我慢出来んでどうするのじゃ(まあ妹の方は此奴を心配で目が離せないと言う感じで見ておったのじゃがな)』
分かってるよー。ちょっと言ってみただけだもん。
『(だもんて、周りの子等に精神年齢引っ張られとりゃせんか?)お主アレじゃな、シスコンじゃな』
「んあ?」
『実の妹に執着し過ぎなのじゃ』
ねぇねは可愛いからなぁ。
『………………………』ジト目
でも後10ヶ月もあるんだよなぁ。くうっ、…………長いよ、泣きそう。
学院生活も慣れて来た。けど何故か周りが落ち着かない。問題のある教師が見つかってころころ入れ替わったりしてるからな。例年の事ではないらしい。
「多分アイリスちゃん絡みだと思いますわ」
「エリカもそう思うー」
フランとエリカが悪ふざけて俺の所為にして来るが、学院が風通し良くなるなら良い事なんだろうな。
「おっ、可愛い娘達だな」
「おお〜、本当だ。おいお前等1年だろ? ちょっと付き合えよ」
「良い事教えてやるからよ?」
剣術の授業で移動してる時にフラン達がガラの悪そうな上級生の男子達に絡まれた。まあ3人共目を引くからな、集まってたらこう言う事もあるか。
「いえ、これから授業ですので」
「良いから良いから、ほらこっち来いよ」
「この娘胸デケェ〜」
「イヤッ、ちょっ、痛いです」
「うへへ、この娘は小っちゃくて可愛いな」
「うわっ、キモっ」
「んだとぉ、生意気だぞ!」
「きゃっ!」
エリカちゃんがドン引きしたら相手が脅してきた。子供同士の事とは言え流石に止めない訳にはいかないか。
「止める、……駄目」
て言うか3人共侍女を連れてるし貴族なんだろうけど侍女も止めろよな。
「ああっ! 引っ込んでろどチビが!!」
「ナイトでも気取ってるのかクソガキ」
「俺等の方が頼りになるぜ? お前等もこんなちびっ子に守ってもらいたくねえだろ? ギャハハハハ」
ブチ殺してやろうかクソガキ共。
「オラどけっ!」
ドン! 「痛っ!」トスン
「「「アイリスちゃん!?」」」
絡んでた馬鹿の1人に突き飛ばされて転んじまった。クソ、油断した、格好悪い。
「そこまでにして下さいますか?」
ナージャさんがいつの間にか俺の前に出て剣に手をかけ牽制してる。むむむ、このままじゃ守られてるだけのひ弱なお坊ちゃんみたいで格好悪いぞ。
「チッ、貴族でもねえ癖に入ってくんな貧乳女! そいつは庶民なんだろうが!!」
立ち上がりながらナージャさんを見ると……うん、笑顔が怖いね。
「ロブル様、…………」
クソガキの侍女が俺を見ながら何かクソガキに話してる。
「テメェも貴族の令嬢の愛人だからって調子に乗ってんなよ? 劣等国の爵位なんて何の意味もねえんだからな!!」
「? ……愛人??」コテ
何言ってんだこのクソガキ。大体何だよそれ?? ……えっと、……ビアンカお嬢様の愛人って事?? 俺が?
「一部でそのような誹謗中傷があるようですね」
困惑してるとナージャさんが教えてくれた。イヤそれ不味くない? 良く分からんけどビアンカお嬢様が婚約とかする時変な噂とかあったら不味いだろ。俺の所為にされないよね?
「もう良いから女残してどっか行けや!!」
おっと、また突き飛ばそうとしてきたから手で払った。貴族の子息相手だし殴り飛ばす訳にはいかないかも知れないしな。
いやオーク君の時は怒られなかったし大丈夫か。寧ろ舐められたままだとビアンカお嬢様の立場を悪くするらしいし、ヤっちゃおう。
「このクソガキ!」
今度は頭を掴みかかってきたからまた手で払ってそいつの足を踏みつけて胸を押して転ばせた。
「うおっ!?」ずでん!
て言うか何で俺はこんなクソガキ共にチビだのガキだの言われなきゃイケないんだよ。幾ら相手が子供だからって流石にムカついて来たぞ。
「コイツ!」
ってもう1人がいきなり殴り掛かって来た。
バキッ! 「あっ」
思わず躱しざまカウンターで顎先を殴っちゃった。まあ殴り掛かって来たんだから殴られて当然か。
良い所に入ったからかそのまま崩れ落ちて倒れたけど、どうしようかな。残った1人をチラッと見ると身構えられた。そんなビビらなくても何もして来なければ子供相手に何もしないぞ?
「なっ、何だ貴様! こんな真似してタダで済むと思ってるのか!? 俺達は貴族なんだぞ!?」
「そっ、そうだ! 絶対に許さんぞ貴様等!!」
いや侍女の影から言われても、しかしどうやっておさめるかね。
「ん?」
「むっ、胸の大きさなんて関係ないですよナージャさん」
「ホリーがそれ言っちゃダメよ! アンタ巨乳じゃない!?」
ナージャさんとホリー達が俺達をそっちのけで騒いでた。
『ああ〜、貧乳呼ばわりにショックを受けた様なのじゃ』
(くっ、貧乳貧乳貧乳……、こんなクソガキ共にまで好かれたいとは思ってないわよ! でもね! 私だって胸が大きければ愛らしい子供達にいっぱい好かれてる筈(幻想)なのに、って思うとこの小憎らしいクソガキ共をぶち殺したくなるのを抑えるのが大変なのよ!)
「大丈夫?」コテリ
余りの悔しさに俯いてしまっていたらアイリスちゃんが心配して顔を覗き込んで来た。
うっ、何て愛らしいお顔なんでしょう。
「ナッ、ナージャさんアイリスちゃん苦しそうです! 離してあげて!」
はっ!!
ホリーさんの声に気づいて意識を戻すとアイリスちゃんに抱き締められていた。……じゃなくて私がアイリスちゃんを抱き、……締めていたようです。
愛らしさで私の意識を奪うなんてアイリスちゃん、恐ろしい子です。
「良いからもう離しなさいよ!」
おっと、私とした事がイケません。結局3人の少女達に無理矢理引き剥がされてしまいました。
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