第011話 村人と話し合い
「おお、アイリスさん大丈夫ですか?」
村に戻ると村長が駆け寄って来る。聞くのは俺だけか? あの奥さんに感化されてないか?
『いやお主レイクに抱っこされとるからの? 普通に心配されるのじゃ』
ああそっか、でも足が遅いって言うから仕方がないだろ。
「大丈夫だ。急いだだけで誰も怪我もして無い」
俺を抱き上げたまま説明するレイク、もう降ろして良いんだぞ?
「それは良かったです。それで、サージェスさんから伝言があるんですが、二手に分かれてシラルとエルビアの町に応援を頼むそうです」
「ふっ、――流石だな」
エリックとレイク達が関心してる。
「――あの、そこまで悪い事態になっているのでしょうか……」
村長が青い顔をして神妙に聞いてくる。何度も説明するのも面倒だから村の主だった面子を集めて話していく事になった。話しを聞くにつれ空気が重くなっていく。皆んなざわつき混乱し頭を抱えていっている。
「取り敢えず戦えない子供達は避難して貰うとして、……後はどうする?」
レイク、……それさっきエリックが言ってたヤツだろ? 考えるのを放棄するなよ、脳筋疑惑が確定するぞ。
『お主がそれを言うか』ジト目
俺は考えるのは放棄して無いぞ? 発言するのは放棄する事もあるけど。
『それでは結局意味が無いのじゃ』やれやれ
「村の大人達は武器になりそうな物を確認して手入れをしてくれ。それと今から常時見張りを森側に立てて何かあればすぐに知らせてくれ。俺達は武具の手入れをしたらそれぞれ仮眠を取っていく」
「あの、出来れば戦う力のある者達以外は避難させたいんですが……」
「その気持ちは分かるがな。それが出来る程の余裕が無いのが現状だ」
エリックが発言して村人も話し合っていく。どうでも良いからさっさと汗を流して休みたい。このままじゃ風邪ひきそうだ。
『ならばお主も参加して決める事を決めて、話し合いを終わらせれば良いのじゃ』
むう。
「女や年寄りも避難したって良いだろ!」
「魔物が来たら盾にするつもりじゃないだろうな!」
ああ〜、なんか熱くなってきてるな。コレ長引くんじゃないかな? イヤだなぁ。
「冒険者なんて命を懸けてなんぼだろ! なのにいざとなると逃げ出す奴等ばっかりだ!!」
「アタシ等は傭兵だって言ってんでしょうが!!」
「冒険者と一緒にすんな! エリックっ、こんな奴等の為に残ってやる必要ねえよ! さっさと帰ろうぜ!!」
「やっぱり逃げるんじゃないか!」
「何だと!!」
「止めろお前達!」
「そうだ、熱くなり過ぎだ。これでは話し合いにならないぞ」
エリックと村長が何とかまとめようとしてるけどどうにも止まらない。レイク達は俺と同じように静観の構えだし。ああ〜早くゆっくりしたい。
「「アイリス」さん」
「ふぇっ!?」
「何かありませんか?」
「これじゃ話し合いにならない。お前からなんか言ってくれよ」
いや何で俺? て言うかエリックと村長だけじゃなく、何で皆んな俺を見てるの??
『そりゃお主から始まった事だからじゃろ? 村長ともエリックとも仲が良いようじゃしの』
俺そんなポジションだったの? て言うか仲良くないし! 村長とは会ったばっかだし! エリックと仲良かったらリズ達に絡まれるから町じゃ距離置いてるんだぞ?
『お主今更それか……、まあ兎に角何か話さんか。話しが進まんぞ?』
うええっ!? 急にそんな事言われても困る! どっ、どうすんの!? 皆んなの注目が、視線が、――沈黙が痛いんだけど!?
「――あ、あうぅ、……お、おち……おち……落ちちゅく!」
「「「………………」」」
かっ、噛んじまったぁああーーーーっ!!
「――そう、ですね。先程の村人の発言はただの侮辱になります。代わって謝罪します、すみません」
「コッチこそ言い過ぎた。それで……あー、女と年寄りの避難だけどそうだな。ゴブリンが来た時に逃げられそうにない奴等は避難して、それ以外は残って欲しい。これからドンドン応援が来るけど食事の心配がある。それを助けて欲しい。勿論ゴブリンが来たら真っ先に逃げて良いよう人が来たら説得させて貰おう」
「そうだな、それは俺達が話そう」
「ああ、何とか説得してみよう」
リズ達が何か言いそうになったけどエリックとレイク達が同意したから我慢したようだ。
――て言うか村長とエリックが普通に話しを進めてる。俺要らなかったじゃん。コイツら実は俺をおちょくってただけなんじゃないだろうな?
『いや、お主の一言でクールダウン出来て話しが出来るようになったのじゃ』
何で俺が噛んだらクールダウンするんだよ! 皆んな呆れてたろ!? リズとラストですら憐れんで絡んで来なかったし。
『それが良かったんじゃろ。まあ怪我の功名じゃの』
怪我した(噛んだ)のは俺だけだけど??
何かモヤモヤするがその後細かい話しを詰めてから解散した。やっと汗を流せる。村の女達に断って浴場を借りる。男女別に作っておけば良いのにと思ってしまうな。まあ村には贅沢過ぎるか。
ついでに防具の手入れもしてしまおう。と言っても水拭きしてから乾拭きして油を塗っていくくらいだけど。
「ちょっと、何でアンタが此処にいるのよ!」
大声を聞いて振り向くとリズが全裸で叫んでた。いや前隠せよ。呆れたような目で見ていると慌ててタオルで前を隠した。
「ちゃんと、……断った」
これ以上騒がれて痴漢騒ぎにならないように平静を装って無実を訴える。
「わっ、私は女性の時間って聞いて来たんだからね! 男なら外でしなさいよね!」
「いや」フルフル
それで俺の所為にされてもな。それと人目があるしこんな冬場で外は死ぬぞ? 全く、もうすぐ終わるからちょっと待ってろよな。
「くっ、このっ!(人の裸見てその反応はどうなのよ!)」
「んっ?」
「何でもない、コッチ見んな!」
そう言うお前はコッチを見てないか? 刺すような視線を感じるんだけど? 居心地が悪くなって急いで出て行った。
『確かに見ておったがお主の枯れっぷりに自尊心が傷つけられたようじゃったぞ?』
何だよそれ、見たら殺されそうだしどうしろって言うんだよ。――ってそうか、女だし体でも褒めれば良かったのか。
『……止めておくのじゃ。死にたく無いのならの』呆れ顔
「あっ、アイリスちゃん大丈夫ですか? あの人止める間もなく入って行っちゃって……」
「大声が聞こえたと思ったら静かになるしどうしようかって……」
「……だいじょぶ……」
浴場を出ると村の女達が待っていた。あのアホ何が時間を聞いただ。皆んなに迷惑掛けてるじゃないか。
それにしても何でちゃん?? 君達まだ若いよね? ハタチ前に見える娘達にちゃん付けされるってどうなの? 俺35歳、君達俺の娘でもおかしくないんだよ?
その後村長宅に入ったが、村長が傭兵の中で唯一の女だったリズも村長宅に誘ってしまっていた。追い出されそうになったけどエリックが遠慮して結局そのまま俺が泊まる事になった。
あぁ、疲れる。村長夫妻と食事を摂るも何故か向かいに村長、俺の隣に奥さんが来て居心地が悪い。夫婦で隣同士に座れよ、て言うか寧ろ1人で食べたいわ。
「ふふっ、懐かしいわね貴方。子供と住んでいた頃を思い出すわ」
「ああ、そうだな」
大人だって言うに、チラッと奥さんのユリカさんを見るけど有無を言わさぬ笑顔で機嫌が良さそうだ。俺は大人だからな。空気を読んで受け入れてやるくらいの度量は見せてやろう。
『お主ビビっとりゃせんか?』
黙れ駄剣。
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