第030話 幕間 コレットチーム、方針
「何だい? 恩返しなんて言っておいて口だけだったのかい?」
「いやいや、私達も本気だったけどね? 実力が伴わないから夢みたいなものだったのよ? タニアさんの冒険者チームはこの町に残るらしいけど話しがついていてビックリしたんだからね!? 一気に現実味を帯びちゃって気持ちが追いついてないのよ!?」
「ああ、そりゃ悪かったね」
「コレット慌てすぎ」
「そうよ、まだランク2になったばかりじゃない。最短でも後3ヶ月は先の話しでしょ? そもそも私達の実力が付かないとランク3には上がれないしねえ?」
「大丈夫だよ。3人共筋は悪くない、真面目に鍛練してるし後足りないのは実戦だね」
「うっ、実戦……、魔物と……か」
スタンピードの時に何も出来なかった上にルルが死にかけて……、アイリスちゃんに助けて貰ったけど苦手意識が出来ちゃったみたい。
「まあこればっかりは慣れるしかないね。で、どんな依頼を受けるつもりなんだい?」
「まだ決めて無いです。タニアさんとも相談したくて……」
「ああ、確かに初めての外の依頼ならアタシもいた方が安全だね。それなら慣れるまでは一緒に出来るようにしようか」
「ああっ! ありがとうございます!」
「やったあコレット! これで安心だね!?」
「ん、良かった」
「ははっ、一応同じチームなんだ。そんな遠慮なんかしないで良いよ。それに3人との実戦での連携も試しておきたかったしね」
翌朝寮を出て皆んなと合流、今日はタニアさんと一緒だ。魔物相手の依頼があれば受ける事になるかも知れないから緊張して余り寝られなかったのよね。寝不足で大丈夫かな。
「ようタニア、今日は嬢ちゃん等の引率か?」
「ランドか。ふっ、この娘等ならランク2に上がったよ。まあまだ一人前とは言えないけど、アタシがお守りをするような関係じゃないんだよ」
「ほう? いやそうかそうか! まあ俺等もランク2に上がったし嬢ちゃん等が上がるのも当然か」
ランドさん達は元ランク3の冒険者で4人チームを組んでいて私達と同じタイミング、スタンピードの件を機に傭兵ギルドに鞍替えした人達だ。ギリ30歳台でまだオジサンじゃないって言ってたけど14歳の私達からすれば十分オジサンだ。
まあ35歳のアイリスちゃんは私達と同年代か下にも見えるけどノーカンで良いでしょアレは。
ランドさん達はサージェスさんって言う魔物の生態調査専門の傭兵チームに師事していて、その人達がいる町とこの町を行き来しながら色々学んでいるそうだ。
そのサージェスさん達はシーラさんから色んな所に出張させられて同じような指導をしているそう。スタンピードの時にも会ったけど今も何か凄く疲れてそうなのよね。……大丈夫かなあの人達。
「そうだ。町の外の依頼を受けるんなら俺等の依頼を手伝わないか? タニアが来てくれりゃ俺等も安心だしな」
「危険な依頼なら無理だよ? この娘等を危険に晒すような事はしたくない」
「いや危険は……、低いと思ってる。冬にゴブリン共のスタンピードが起こっただろ? 彼処の再調査だ。先月にも行ってゴブリンを間引いてるからそこまで増えてるとは思えない、多分安全だ」
「魔物相手に絶対安全なんてある訳ないか。まあそう言う話しなら確かに危険は低そうだ。どうする? アタシは金次第で受けても良いと思うけど」
結局その依頼を受ける事になっちゃった。ゴブリンはスタンピードの件から苦手意識があったのに……、まあだからこそ苦手克服の為にタニアさんも勧めてるんだろうけど。
そうして傭兵ギルドの鍛練場そばに馬車が2台停めてあって、そこにもう1チーム見知った顔が揃っていた。
「あれ? アタシ等だけじゃないのかい?」
「タニアか、お前達も誘われたのか」
「エリックさん達もランドさん達の依頼に同行するんですか?」
エリックさん達は4人パーティで世話焼きのエリックさんが問題児3人を引き取ってまとめあげてるチームだ。アイリスちゃんもエリックさんには一時期色々お世話になっていたらしい。
アイリスちゃんを傭兵ギルドに誘ったのもこの人で、アイリスちゃんに私達の事を頼まれていたらしくて色々と気遣ってくれている良い人だ。
「はあ、何だよつまんねえ依頼だと思ってたら子守りまでさせられるのかよ」
「私は好きにさせて貰うわよ。子守りの依頼なんて受けて無いんだからタダ働きなんてごめんよ」
「……自衛も出来ないのなら依頼を受けるべきではないでしょうけどね」
リズさんとラストさんは姉弟でやんちゃな姉弟と言う感じで、クリスさんは一見大人しめなんだけどどうやらエリックさんに片思いみたいで近づく女の子には冷たいのだ。
でも14歳の私達からすればエリックさんはイケてるおじさんって感じで恋愛対象じゃないのにね。クリスさんも告白しちゃえば良いのに、でもエリックさんの気持ちが分からないのよね。
良い年齢だし相手なら幾らでもいそうなのにそう言った噂を聞かないから男色だの幼女趣味だのと言う噂をたてる人達もいるんだよ? 本人は知ってるのかな?
「アタシが守るから問題ないよ。アンタ等よりアタシの方が強いしね。この娘等だってある程度自衛出来るくらいにはなってるしな」
「……っち、そうかよ!」
ラストさんが悔しそうにタニアさんを睨み付ける、けどタニアさんは気にしていないようだ。私達はタニアさんも含めエリックさんと何度か手合わせをしていた。リズさん達は手加減出来ないので外されてたけど。
エリックさんはランク5、スタンピードの時に助っ人で来ていたランク6のレイクさんを除けばこの町で最高位の傭兵だ。けどタニアさんには惜敗していた。
タニアさんが言うにはエリックさんとの実力は殆ど変わらないそうだけど。
でも町1番の実力者が私達のチームに入ってくれたって事なのよね。そう思うと足手まといになってちゃ駄目だって焦りが出ちゃう。頑張らないと。
「馬車が2台って私達が乗るんじゃなかったのかあ」
馬車はランドさんのチームが御者をして荷物を運ぶようだ。荷物は……ブロック? コの字型をした変わったブロックが2台の馬車に沢山乗っている。魔物の調査に必要なのかな?
「はっ、ランク2風情が何言ってんだ。身の程を知れよな」
「全くよ、馬鹿じゃないの?」
「むっ、そう言う2人もランク4なのに歩きじゃない。ああ、身の程を知ってるから歩いてるのね。流石ですねー?」
「テメー喧嘩売ってんのか!? 買ってやんぞ!」
「そうね、身の程知らずのお馬鹿には教育が必要よね?」
うわぁ……いきなり喧嘩ムードに。て言うかラビィ、格上相手なんだからもうちょっと遠慮してよね! 私もエリックさん以外の3人は苦手……って言うかもうぶっちゃけ嫌いなんだけど。
「そうかい? そんじゃお馬鹿姉弟をアタシが教育してやろうかね」
「「うっ」」
タニアさんがバキバキ拳を鳴らして凄むと流石にやんちゃお馬鹿な2人も目を反らして離れて行った。
「タニアさんすみません」
「いやコレットが謝る事じゃないよ。でもラビィは反省しな。言葉1つで恨まれる事もあるんだからね」
「うっ、……はぁい。すみません」
「ラビィもお馬鹿」
「ちょっ、ルルまで! もうっ! 悪かったわよ! ちょっとムカついて我慢出来なかったのよ」
「タニア、それに他の皆んなもすまんな。ほら、お前達も謝れ」
暫くしたらエリックさんが姉弟を連れて来た。あっちも説教していたみたいだ。けど反省してるようには見えない。
「ちっ、何で俺等が、あのガキが生意気な事抜かしたからだろが」
「そうよ。寧ろそっちが謝るべきでしょ!?」
「相手は成人もしてない子供だぞ? 良い大人が一々突っ掛かるなよ。恥ずかしいとは思わないのか?」
「「ぐっ………………悪かったな」わね」
そんな睨み付けながら言われても怖いんだけど? そしてタニアさんに言われてラビィも渋々謝らされた。ラビィも心臓強いわね。何かやんちゃ姉弟と似たモノを感じるわ。
あっ、3人共舌出しあって挑発してる。もう子供じゃん! って姉弟がエリックさんに頭を叩かれた。ラビィもタニアさんにデコピンされて額を押さえている。
お互い一応もう1度厳しく言っておくけどまた何か絡むようなら教えてくれと言われた。先が思いやられるわ。寧ろもう関わりたくないんだけど?
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