氷の国へ
スキー場で自分を助けてくれた彼への想いが止まらずにあふれだしている。
「彼に再び会いたい」という気持ちが大きくなっている。
イェテイから人間の男と化した彼はいったい何者なんだろう。周りに話しても夢でもみたのだろうと信じてもらえない。
一緒にスキー場へ行った友人は、私が学生時代から付き合っていた彼氏に失恋をしたからおかしくなったのだろうと思っている。実はこのスキー旅行に来る少し前に私は彼氏にふられてかなり落ち込んでいた。それをみかねた友人が気晴らしにこの旅行に誘ってくれたのだ。元彼とは結婚の話も出ていたが、私の家が貧乏で彼の家が金持ちで、家同士のことが合わなくて、彼氏が見合いで同じ位の金持ちの家庭のお嬢さんとの結婚を決めたということで、彼氏に会いに行ったら彼氏に罵倒されて別れた。
しかし、今の私の心の中はイェテイが全てを占めている。イェテイが姿を変えた人間の姿の彼に会いたくてたまらない。
元彼?そんな人いたっけ?
私は自宅のアパートの前に小さな雪だるまを作った。それだけではあきたらず、雪だるまが入る小さなかまくらも作った。かまくらの中に自分が作った雪だるまを入れた。これで雪だるまも寒くない。
明日から仕事を探さないと…。
そう。私は元彼と結婚すると思ってて仕事も辞めていた。
父も母も落ち込む私に何も言わない。
私は静かに窓から降り注ぐ雪を眺めた後、眠りについた。
夢の中で、私は先ほど作ったかまくらに入った雪だるまにかまくらの中に招待されていた。
「そんなにあの人に会いたい?」
雪だるまはそう私に聞いてきた。
「会いたい!!あの人に、イェテイさんに会いたい!!」
私はそう叫んだ。
夢から覚めると、そこは氷の国だった。




