高齢不思議さん
遡りますこと二年前、勤めている会社での健康診断をすませた後、七十を過ぎた女性が結果について何故か私に聞いてきました。
診断結果表を手にし私のもとへ来ました。
「〇〇さん(私の名前です)は体重どれくらい?」
大きい声で私に聞きます。
体重とは重さです。
重さを言えるわけがありません。
「体重は日々変化しますから、なんとも言えません……」
角がたたない答え方をしました。
不思議さんはまたもや大声で言います。
「変わるの?
私ね、体重60ちょいあるんよ!
〇〇さん(私の事です)は、1日何回トイレ行くん?」
耳を疑う質問です。
私は暫く黙っていました。
不思議さんは真顔で私を見ます。
(この人、答え待ってんの⁉私のトイレ回数、待ってる?)
仕方なく返答します。
「トイレの回数変わりますし、数えてません」
「かぞえへんの?
私ね、1日トイレ50回くらい行くんよ‼」
声大きい‼
(この人なんなん?
何で、私の事聞くん?)
健康診断の後だからといって、私と不思議さんとの体は無関係です。
私は聞いてみました。
「それは何の為に聞くんですか?」
「私はいつも、そのくらいやから!」
せやから、なんで私に聞くかっていう質問をしているんです!
また、こんな事もありました。
不思議さんはある日、点字タイルの上に物を置いており、先輩に注意されたそうです。
聞かされたのは次の台詞です。
「点字タイルの上に物を置いたらあかんよ」
「点字タイルって何ですか?」
先輩は絶句したそうです。
続いての言葉に、更なる驚きです。
「私ね、それ、足拭くモンと思ていました‼」
同じ職場の人たちは苦笑いで、私は無表情でした。
私も時々色々やらかしますが、不思議さんとはやらかし方の舞台が違います。
ある日も何気ない事を聞かれました。
「休みの日、何してんの⁉」
「本を読んでいます」
「どんな本?」
「ファンタジーです」
「ファンタジーってどんなん?」
え?と思いました。
不思議さんは続けます。
「私ね、ミステリー好きなんよ‼」
私に云わせれば、あなたがミステリーですよ。