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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

華麗な家令は微かに笑う

作者: 猫舌

 有能な家令はお嬢様を幸せにしたい。

 変装OK、潜入OK、武闘派のナイスミドル家令からの、屑男へのざまあ後の翌朝、お嬢様宛の手紙。

 親愛なるお嬢様へ


 この手紙をお嬢様が読んでいらっしゃる時には、お嬢様が家督を恙無く継承される王命を受けられたあとでしょう。


 お嬢様は私が常々体を大切にと申し上げても、深夜まで領民の為と仕事をされていらした。


 メアリが起こすまではいつも眠りが深かったですね。


 お嬢様に気づかれずに私がお暇の準備をするのは容易でしたが、今後はお仕事を調整してお早めに御休みになられますように。


 さて、お嬢様。


 先の貴族学校の卒業パーティーにおいて、あの男の鳩尾に叩きこんだ拳については素晴らしいものでした。


 貴族の義務を放棄し、王都の別邸で酒と遊興三昧であった貴女の後見人の男。


 成人の資格を得るまでと先王の定めた親族ながら、本当に人間の屑でしたね。


 ご両親である伯爵様がたが旅行先で遭難、所在不明との報告が王宮に届いてすぐに、別邸に乗り込んできたばかりか、お嬢様を貴族学校の寮に追い出したあの男。


 本当に無能でした。


 お嬢様が既に貴族学校の卒業単位を取得済みであることも、寮にいかずに直ちに領民のため領地の本邸に戻られたことも最後まで気づきませんでしたね。


 まあ私も深夜に本邸を前触れも無く訪れた者が何者かと玄関の扉を開ければ、制服姿のお嬢様が立っていたときは少々驚きましたが。


 さて、お嬢様。

 私は少し暇をいただきます。


 この1年間、お嬢様は周囲の者が驚くほどに立派に領政を行いました。 


 別邸のあの男が使い込んだ資産を補ってさらに、領地は発展し、領民は健やかに平穏な生活を営んでいます。


 私が支える必要は当面ないと愚考いたします。


 先王についてはお嬢様の代わりに私が昨日の夜に平手打ちを数発見舞っておきました。


 現王は手を叩いて喜び、大笑いしていました。


 あの男は、お嬢様には今後一切関わらないことを保証いたします。 


 ところでお嬢様。


 貴族学校の卒業パーティーに際して、給仕に扮した私に気がついた者がおりました。


 お嬢様があの男を床に沈めていなければ、私が陰に引きずり込もうとしていたのですが、動こうとする私の腕に触れた者がいたのです。


 お嬢様は気がついていましたでしょうか?


 お嬢様の1つ年下の貴族学校の後輩君が、見事に給仕に扮していた事を。


 あの珍事の後に、お嬢様の側で警戒心を滲ませていました。


 お嬢様に冷やしたハンカチを持参した給仕です。


 彼は既に貴族学校の卒業単位を取得済みです。

 

 で、私の代役の家令です。


 驚きましたか? 


 1年間お嬢様と彼とで立派に領民と領地を支えてくださいませ。


 ええ、1年です。


 私は少々雑事をこなす必要があるのです。

 終わりましたらまた家令を勤めてまいります。


 もし何かお困りの際には、封筒に私の名前を書いた便箋を入れて封蝋を施し、投函してくださいね。


 長文失礼いたしました。




 追伸

 公爵様は彼の当家への婿入りを許可済みです。

 1年後、お嬢様のご両親【遠い島国の海賊を制圧してのんびり生活していた】と共に領地に帰還するのだった。

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