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悪役令嬢な日々  作者: 伊勢エビ23
9/10

帰れませんわ

「ねぇ、お姉ちゃん。わたしはいつお家に帰るの?」


私は今から、この子に大切で残酷な事を教えなければいけない。

この世界に転生した人、全員に関わる問題だ。



「帰れないの」

「え?」

「元の世界には戻れないの」

「うそっ!」


この世界に転生した人は誰も帰れていない。

空間魔法や魔道具で試してはいるが、全てこの世界のどこかに転移するのみだ。

仮説では元の世界へ戻るゲートを作る魔力は、この世界全ての魔力でも足りないと言われている。

残酷なことなのでこの研究成果は隠しているが。


「やだ!帰るの!」

「もえちゃん、ごめんなさい。もうお家には帰れないの」

「やだぁ!帰るもん!」


次の瞬間、ピンク色のドアが現れた。

もえちゃんはそれを潜るが、ただ通り抜けただけだ。


「帰る!帰るの!」

「もえちゃん!落ち着いて私の話を」

「やだ!お姉ちゃん嫌い!」


現れたタンスや机等、空から降ってくるのを避けながらもえちゃんに近づく。

今のあの子は、どうすればいいのか分からないのだろう。

私は味方だと教えてあげなければ。


「聞いてもえちゃん!帰れないのは悲しいことだけど!でも、」

「やだやだやだ!!私帰る!お家に帰るの!」


次の瞬間、私ともえちゃんの上空に大きな影が現れた。

それは凄い勢いで落下してくる!


「身体強化!!」

「ひぃ!?」


大きな何かを咄嗟に受け止める。

反応が遅れて片膝を着いてしまった。この体制では持ち上げる事は叶わないだろう。

筋肉に魔力で外付けの骨子を作り、エネルギーを魔力で伝達させ、肉体のリミッターを魔力を使い強制的に解除する。

この魔力の使い方では直ぐに魔力を使い尽くすであろう。

着地地点に大岩を作って支えにした方が、何倍も良かっただろう。

しかし、間に合わないと思った瞬間、咄嗟にもえちゃんを守る動きをしてしまった。


「お姉ちゃん!?」

「大丈夫だ、よ。だから、早く逃げて!」

「やだ!お姉ちゃん潰れちゃうよ!」


私に抱きついて離れないもえちゃん。

もう駄目かもしれない。

なら言えなかった事でも伝えておこう。


「もえちゃん、ごめんなさい。皆も帰れないの。でも、いい人達だから」

「お姉ちゃん?」

「前の友達とは会えない、けど、でも私が、新しい友達じゃ、ダメかな」

「っ!」


もう魔力が残り少ない。

風の魔法でもえちゃんだけでも吹き飛ばして範囲外に出さなければ。


「やだ、お姉ちゃん死んじゃいや!」

「もえちゃん、ありがとう。さよなら」

「ダメ!!」


次の瞬間、上からの重圧が消えてバランスが崩れ倒れてしまった。

すぐさま立ち上がり周りを確認すると、上にはもう何も無かった。

代わりに10メートル先に現代的な一軒家が建っている。

先ほどまで私が支えていたのは家だったらしい。

レベル上げしていて正解だった。


「お姉ちゃん、ごめんなさい」

「私もごめんなさい、大事な話をしていなかったわ」

「お姉ちゃん悪くないもん!」

「もえちゃんも悪くないわ、おあいこね」

「ふふっ!」


ようやく笑ってくれた。

この笑みを守るため、保護プロジェクトをやっているのだ。

悪役令嬢冥利に尽きる。


この後、殿下にばれて怒られるのは別の話だ。

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