最年少ですわ
朝、殿下のもとに向かうと、
「おーじ様おーじ様!遊ぼ!」
「カトレア嬢、落ち着いて下さい」
殿下に抱きつくカトレア様の姿が。
どうやらカトレア様も転生者になったようね。
「カトレア様、殿下、いや王子様から離れて下さい」
「やー」
「お菓子あげますよ」
「お菓子!?」
とっさに離れるカトレア様、やはり幼子のようですわ。
「お菓子がある部屋に行きましょうね。殿下私はこれで」
「な、一緒に登校は」
「この子は時間がかかりますから、では失礼します」
こちらを見る殿下は、寂しそうに見える。
私の願望も入っているかもしれない。
カトレア様を持っていた飴で引き寄せつつ、テラスへ向かった。
「これ美味しいね!」
「ゆっくり食べて下さいね」
ケーキを食べる所作はカトレア様のままのようだ。
おそらく身体が覚えてるのだろう。
「お名前を教えてください」
「名前を聞く時は、自分から言わないとダメなんだよ!」
「そうですね、失礼しました。私はフリーナ エメラルダと申します」
「私は玉木 萌!」
「そう、私は17歳だけど萌様はいくつ?」
「7歳!」
思わず天を仰ぐ。
今まで最低でも中学生だったのに、最年少を大幅更新だ。
授業や常識を学び直すのは大変だろう。
まさか本当にあれを使うことになるとは。
「もえちゃん、一緒に新しい世界についてお勉強しましょう」
「ここのこと?」
「ええ、日本とは違って色々なルールがあるの」
「お勉強いや!」
ふいとそっぽを向くもえちゃん。
やはり今までの方々と違い、感情的だ。
「でもこれはアニメですよ?」
「え、アニメ!?」
途端に目を輝かせ、こちらを見るもえちゃん。
そう、口頭や書類での説明で嫌がる方の為にと、絵が描ける方々に私監修のアニメを作らせていたのです。
作っている間に皆様のテンションが振り切って無駄すぎるほどのクオリティになってしまいましたが。
さっそく取り込んでいたアニメを再生して、暫く鑑賞してもらいましょう。
流石に詰め込みすぎましたね。
3時間後の私はそんなふうに思いながらスタッフロールを眺めていると、
「私魔法使いになれるの!?」
「ええ、カトレア様は以前、現在ともに魔力がありますから」
「魔法使いたい!」
「ええ、ではくんれ、いえ運動場に行きましょうか」
「うん!」
よし、食い付いた!
現在転生者は留学生等を除き、全員日本人。
現代日本で魔法に憧れを持つ方が多いのだ。
魔法を使う事で、ここが異世界だと自覚してもらわなければ。
1k㎡の魔法で強化された訓練所に来た私達は、さっそく魔法を教えることにする。ちゃんと聞いてくれるといいのだが。
「魔法は魔力っていうのを使うの。使いすぎは疲れるから気をつけてね」
「分かった!」
後はイメージ補強の詠唱や、魔力残留による疲労の感覚を教えればと考えていたら、
「変身!」
ポンと間の抜けた音とともに煙が立ち上る。
煙が晴れた後、ピンクと白を基調とした子供が好きそうな魔女の姿になったもえちゃんが居た。
…どうして高難易度の着替え魔法を!
着ている服の削除、魔力による服の作成、一定の空間に指定して出し、間違えれば全裸になって立ち尽くす魔法をこんなにも容易く行うとは。
どうやら久しぶりの天才が現れたらしい。
鑑定の結果、創造魔法が新しく追加されたようです。
魔力で物質を創造するというものです。
内部構造の分からない車まで、完璧に再現できるのは本当に天才だろう。
「やった!楽しい!」
これからの事を思い、頭を抱えてしまった。




