見学ですわ
「影に聞いたぞ、何故影を使わない」
「パニック状態の、方に、見知らぬ人が近づいて、良くなるわけがありませんわ」
「しかし、フリーナが怪我でもしたらどうする。そんなに俺を不安にしたいのか?」
「それこそ、影が居ます。死ななければ、直せるでしょう」
「しかしだな」
「わかりました、わかりましたから、離して下さいませ!」
ずっと殿下の腕の中で、抱きしめられながら聞かされているのだ。
往来でイケメンにそんな事されて、羞恥しないほど私の肝は座ってない!
「お姉ちゃんと王子様は仲良しなの?」
「その通りだ。よく出来たな」
「えへへ」
現れたのはもえちゃんだ。
私が昨日の件で怒られたのに、本人はにこやかだ。
まぁ、泣いているよりはいいでしょう。
「人前ではフリーナさんとお呼び下さい」
「あ、お上品ごっこだね。分かりましたフリーナさん」
貴族社会のルールはもう遊びの一部とする事にした。
後で難しいと文句が出そうだが、そこはどうにか耐えてもらうしかない。
「約束通り、今までやってきた事思い出して書いてきたかしら?」
「うん、じゃなくてはい。てんせー前と萌の記憶書きました!」
これで良い。
私が気になった質問も全部書いているようだ。
気になる点と言えば、
「乙女ゲームを知らない?」
「う、はい。分からないです」
今回が初の事例だ。
誰もが殿下がヒーローで、私が悪役令嬢として登場する乙女ゲームをプレイした事があった。
しかも、触れてからおよそ3ヶ月辺りで転生する事が多いと統計が出ているのだ。
それに殿下を王子様と認識していたのだから、知識としてはあるはずなのだが。
「どうして殿下、王子様の事を知っていたのかしら?」
「おねーちゃ、姉が、王子様とお姫様が写ってるゲームのケースを見せてくれたの」
「ケース?ゲームは見てないの?」
「見てないよ、です。姉が楽しそうに話してるのを聞いてただけです」
いよいよ、基準は甘くなったらしい。
中身を知らずとも殿下が、簡単な内容さえ分かれば転生の対象になるなんて。
また、プロジェクトの改善が必要だろう。
「おね、フリーナさん。やっぱり知らないこと知っているの気持ち悪い、です」
「知識ズレね。特にもえちゃんは年齢が大分違うから余計辛いでしょうね」
「まだ割り算習って無かったのに、出来るの。それにお父様とお父さんがいて、どっちもお父さんなんだもん。わかんないよ!」
「大丈夫、ゆっくりと慣れていきましょう。後でお友達も紹介してあげるから」
「ぐすん」
泣き掛けのもえちゃんを慰めていると、殿下から肩を叩かれた。
一体なんの用だろうか?
「そろそろ鐘がなるぞ、完璧な悪役令嬢なら遅刻はしないはずだな?」
「もえちゃん、学校行きましょうね」
そういえば通学路だった。
もう大分人が少なくなっている。
急がなければ。
もえちゃんは同じクラスの転生者に面倒を見るようお願いした。
転生型が完全上書きタイプじゃなくて良かった。
もえちゃんは、記憶受け継ぎ型だろう。
他にも知識譲渡型、複数人格型等有るが今はいいだろう。
もえちゃんの新しい人生が幸福でありますように。




