昔は天国、今は地獄
目が覚めると自分の部屋で眠っていた。
「いつからこんなに辛くなったのかな、、」
智弘はそう呟いた。
明日は学校に行きたくない。
…………………………………………………………………………
智弘は現在中学1年絶賛不登校気味である。
ただ小学生の智弘はここまでひどく学校が嫌いではなかった。
小学生の友達はたくさんいるそして小学生の時は何より全てが楽しかった。
中学校に入った途端一気に辛くなった。勉強は分からない、同級生にもいじめられる。そして友達がいない。
こんなところ何が楽しいんだ?入学して1ヶ月で感じた
確かに智弘には目に余る行動があるのは事実。
人の言うことを聞かない、人に暴言などをする。
ただ智弘にとってはどうすればいいか分からない状態であった。智弘の意見を聞いて欲しい、仲良くなりたい。だが全て空回りになってしまい結局は怒られてしまう。
こんな日が2ヶ月続きクラスの同級生や先生に問題児として定着したある日一人の同級生が「臭!」と智弘に言った。最初は気づかなかったが智弘は相当臭いらしい。
それからあっという間に、クラスメイトが近づいて来なくなった。時には「智弘が来ると気持ち悪くなるから来ないで」と言われ、ついには体を壊してしまった。
幸い胃腸炎程度で終わったが、それから学校には行けなくなった。
「僕はもう学校なんか嫌い昔なんてすごく楽しかったのに」
智弘は次第にそう思ってしまった。
小学生の智弘は活発で誰とも仲良くなりほとんどのクラスメイトが友達だった。
だか、小学5年の時に転校になり、別の学校に移ると
最初はあまり仲良くなれなかったが、6年生の時は楽しく過ごせていた。
今はどうだ?誰も友達ではない、それよりか近づかないで欲しい、そんなの何も楽しくない!!
この時の智弘はもう正常な判断をできない状態であった
転校すればいいものの2年生になれば良くなると自分に言い聞かせていたが、他の先生の勧めで校外学習は行くことになった。ハイキングやカレーを作った。智弘にとっては久しぶりに学校が楽しいと感じ、浮かれていたが、ある同級生の話を聞いた
「智弘って臭いやつ知ってる?」
「あぁ知ってる不登校だったやつでしょ」
「そいつさ校外学習だけ来てズルくねぇ?」
「確かにあんなやつ邪魔だわ」
智弘は一瞬何が起こったか分からなかった。
一心不乱に走って走って誰もいないところで泣いた。
「ここは地獄だ、、もう俺は死にたい」
ここから智弘は地獄に堕ちていくようだった。
家に帰り両親に全てを話した。
両親はものすごく怒って学校に問い合わせた。
後々分かったことだが、不登校だった理由は担任はわかっていたはずなのに両親に言っていなかったらしい。
そのことで両親は激怒し校長まで追い詰めた。
だが結局は何も解決せず、別室登校になった。
学校からの帰り道智弘はこう言った
「明日も学校に行きたくない」
…………………………………………………………………………
智弘は中学2年生になった。
まだ別室登校である。ただ事態はどんどん悪化していくようだった。智弘はもう生きることに対して何も感じなくなった。それどころかもう死にたいと思う日が日に日に増している。
父親は心配で病院に連れて行った。最初は小児科に行ったが、原因がわからず、精神科に行って原因が分かった。
「これは統合失調症ですね」
最初はよくわからないが、精神病としては代表的なものらしい。それから薬の副作用との戦いだった。
幻覚や幻聴などがあったため強い薬を出されて、日に日に太っていった。智弘は元々痩せていたが、3ヶ月で15キロも増えてしまい、それに幻覚や幻聴は止まらない時には胸にナイフが刺さっていたりした。特にひどかったのが、幻聴の症状でクラスメイトからの悪口や罵倒だ。
「臭いから来ないで!!」
「修学旅行だけ来るのズルくない?」
「お前だけ休んでいるのうらやましいね!」
「早く死ねばいいのに!!」
「早く死ねばいいのに!」
「早く死ねばいい、、」
「早く死ね、、、」
「早く死、、、」
こんな生活が続くと学校どころではなくなり次第にリストカットなどをするようになった。
両親は精神科に入院させた方がいいと思い、色々な病院を探した。ただこれでも軽いほうなので入らせてもらえなかったらしい。
そんな生活を続けていたある日、僕はマンションの屋上に立っていた。「これから俺は死ぬんだ」と自分に言い聞かせて動かない足なんとか前へ送る。そして神様に頼んだ。「来世はもっといい人生を送らせてください」と
…………………………………………………………………………
気がついたら病院で寝ていた。ただ目立った外傷はなかった。
看護師さんから聞いたのだが、あの後マンションの屋上で立ちすくんでいるところを近所の人が発見して両親と共に病院に来て入院が決まったと言っていた。
俺はその記憶がなくなって全く思い出せない。
そこからの入院生活は中々酷であった。まず病室にテレビなどはなくひたすら暇だった。僕の場合医療保護入院っていう。入院だったから病室の外に出るには主治医の許可が必要だったが
そんな簡単に許可は出ない。だから1ヶ月もテレビや本などが見れなかった。さらに一週間に一回しかお風呂に入らせてもらえなく、浴室も共用だったからおじさんが5、6人ぐらいで、
その中でお風呂すると相当気持ち悪い。
俺は思った「昔は楽しかったのになぜ今はこんなに辛いのだろう今は地獄だ」
俺は何が間違えたことをしたかと思い昔を思い出してみた。
…………………………………………………………………………
俺は小学6年生の時ある女の子を俺はいじめていた。その子は周りの女の子と違って少し顔が綺麗ではなかっただから他のクラスメイトと一緒になっていじめていた。例えばブスやばい菌扱いなんて毎日していた。
そんなことを思い出して俺は罰が当たったと思った。そんな時主治医から本や漫画は見ていいと許可され、初めてみた漫画が、聲の形だった。これで俺は分かった。俺は罰を受けなくてはいけない人間なのだと。
そしてこれからの俺はもっと人に対して優しく、思いやりを持たなくてはいけない。だから俺はずっと今の現状を人のせいにしていた。
智弘目の前は一気に明るくなった。肩の力がふっと抜け
「俺、まだ生きてみようかな、、、」
そう思った智弘だが、これは智弘の地獄にとってはまだ序章に過ぎない。
昔と言う天国、今と言う地獄
第一部 完