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1918

『トミノの地獄』の新解釈は私に希望をくれた。


地獄に墜ちる…


この絶対的に最悪な場面でも、主人公の気持ちの持ち方で一気にジャンルを変えてしまえることを。


恐怖に落ち込めばホラーだけれど、

自ら並々ならない決意と共に墜ちるなら、バトルアクションになり、

科学的に解明しようと考えればSFになる。


主人公の気の持ちようで、読者をどのジャンルにもつれて行けるのだ。


が、それは新規(さら)の話であって、既に何万字かを書いている場合は除かれる。

『パラサイト』は、昆虫サスペンスであって、『トミノの地獄』の都市伝説と共に行方不明だった妻が甦って復讐を果たす…

みたいな話だった。


完結をめざして公募に投稿した手前、書き続けるしかなかった。

『トミノの地獄』を不気味な都市伝説から離せたとして、7年前に失踪した妻は復讐のためにスタンバってる。

彼女にしてみれば、都市伝説がどうだろうと関係ない。

裏切った亭主に復習する事に変更はない。


ついでに、都市伝説を消してしまうと、別のつながりが必要になる。


今になって思うと…この時点で、『トミノの地獄』自体を物語から離脱させればシンプルに良かった気がする。

それでなくとも、7年前が2012年だから、マヤ歴やら、マラキやら、遺伝子治療やら、何やらかにやら…話題はつきなかったからだ。


が、私は、トミノと地獄を巡り続ける選択をした。

それは…ある意味、何か、得体の知れないものに取り憑かれていたのかもしれない。


2019年の夏ホラーで『トミノの地獄』を扱えず、苦肉の策で、マグレガー・メイザースを扱った辺りから、もう、呪われていたのかもしれない。


前に、挿し絵まで書いて、メイザースとクロウリーについて書いたけれど、そう、2019年は『砂金』の出版百周年で、その前の年、2018年はメイザースの没後100年だった。


ラノベの世界では、何となく、弟子のクロウリーの方が魔術が強い扱いになっているが、それは、クロウリーがメイザースの秘術を暴露本と言う形でパクリ出版をし、挙げ句、1917年、メイザースをモデルにした悪役の登場する『moon child』と言う魔術アクション作品を世に出したからだ。

現在では、当たり前のようにラノベに溢れるオカルト・マジックバトルものの元祖、とも言える作品だ。

彼は、実在するオカルティストの有名人を模倣したキャラを使い、作品を作ったために、それは人気を博した。


今では、ムーン・チャイルドに、クロウリーのラノベ作品を思う人も少ないが、出版当初、悪役としてモデルにされたメイザースは、変な注目を受けて腹が立ったに違いない。


その翌年、メイザースはフランスで息を引き取る。

原因は、定かではないが、スペイン風邪によるものだと、何かで読んだ。


私は、このエピソードを使い、夏ホラーの病院ものを作った。

それは、意図しなくてもとてもドラマチックに話が進む。

なにしろ、1918年11月は第一次世界大戦の終結した月であり、メイザースの亡くなった月でもあるのだから。


この時のメイザースは、それほど、いい待遇ではなかったらしい。

かつての愛弟子に、自分の技をパクられ、晩年にはラノベの悪役にされ、パリの片隅で亡くなるメイザースは、どんな気持ちだったのだろうか…


それは分からないけれど、そこから100年目。

2018年、奇しくも、クロウリーの著作権が切れるのだ。


メイザースの、いまわの(きわ)の呪いが発動でもしたように、私は、彼らのその先を追っかける文章をネットに投稿し続け…


この、どう考えても接点が無さそうな西条八十とマグレガー・メイザースをパリで出会わせるのだ。


そう、西条八十はパリに留学していた。

『砂金』を発表する1年前の1918年に!


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