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番外悪霊終

「さあ、もういくからっ。」

私は、ごねる山臥を引っ張る。

まるでキツネにつままれたような気持ちになる。


席をたった克也は、いつもの腰の低い奴に変わっていて、コーラを持ってくると座って一気に飲み干した。

そして、フリードリンクのみでは高すぎる、二千円をテーブルに置くと、

「俺、明日早いんで。」

と、帰っていった。


勝手な奴だと思ったが、奢ってくれたので酷くも言えない。


それに、私も、もう帰りたいと思っていた。

時刻は23時。


山臥も自宅につく頃には、30分は過ぎてるだろうから、あとは自分でなんとかしてもらおう。


私は会計を済ませ、ごねる山臥を車に乗せた。


エンジンをかけると、山臥は酔っぱらってヨレヨレになりながらも、

「じゃあ、ドライブしよう。ここからは俺の奢りだ。いい店があるんだ。」

と、イケメン風味に口説いてくる。

「行かないよ。もう、大丈夫だよ。幽霊なんて。いいじゃん。おんなのゆうれいでしょ?」

「ああ。」

山臥、眉をあげて、なんか、アピールする。

「美人なんでしょ?」

少しムカつきながら問いただす。

「堀の深い、ハーフ美人だね。」

山臥、嬉しそう。

「じゃあ、いいじゃん。」

私は、イライラしてきてサイドブレーキを解除する。

と、サイドブレーキを握る私の手を山臥が軽く握る。

はあっ(;゜ロ゜)


少し怒りが混じりながら睨むと、山臥は、口説き文句でも言うように私に囁いてきた。

「悪いけど、憑かれてるのは、君だよ。」


え?


山臥の言葉で、何か、見ようとしてなかった何かを感じて不安になる。

が、一呼吸おいて、1度サイドブレーキを戻して気持ちを入れ換える。


山臥はさみしがりやで、解散の時はあのて、このてでごねるのだ。

そんなものに惑わされてる場合じゃない。

私だって、忙しいんだから…


私は、バックミラーを直しながら、精神を統一する。

コイツを送って、うちに帰って、話をまとめなくては!


気持ちを変えようと考えた私は、バックミラーに写る後部席に心臓が止まりそうになった。


長い髪の赤いワンピースの女が座って見えたのだ。

恐怖が込み上げたが、それは一瞬で、気持ちを落ち着けようとバッグからハンカチを取り出そうとした…

そのとき、細かいキラキラした物がハンカチにまとわりついているのに気がついた。


その一部をつまんでみた。

それは、青い石の破片で、見た途端、ずいぶん前に無くしたソーダライトの輝石の一部だと分かった。


それは、土産屋で買ったお土産の石で、確か、災難避けのお守りだったはずだ。


恐怖が込み上げてきた。

私は、黙って車を降りると、自動販売機から、ジュースを2つ買った。


空は美しい星空だった。

あらぬところから小石が現れたら、呪いを疑いなさい。


昔読んだ物語の一説を思い出した。


深い恐怖と一緒に合点がいった。


ベールフェゴール

彼は、人間の前に現れるときは女性の姿になると言う。


どうも、本当に何かを呼んでしまったらしい。

まあ、ベールフェゴールなんて、大物ではないとは思うが。


仕方ない。


私は車へと歩き出した。

車に乗ると、山臥に言った。

「これから、コンビニ行って、キャンプ場にいこう。確か、流星群を星好きが観測してるはずだから。」

そう、今日は、ペルセウス流星群の極大期。

夏休みの子供たちもキャンプ場で星を観察してるはずだ。


そして、あそこなら、火が使える。

それに、山臥もいる。

こう見えて、こう言う問題は役にたつ。

「かしこまりぃ。」

山臥の軽い挨拶を聞きながら、私は、シートベルトを閉め直す。


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