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8話俺の研究

「それじゃ、俺の研究を話そう。」

克也は、ドラマに登場する学者のように高らかに宣言した。


ドラマでは、それを拝聴する相手役は(°∇°;)みたいな顔で、その場を盛り上げるのだろうが、私は、役者のスキルは無いので、なんだか、場違いな照れ笑いを缶コーヒーで隠しながらヤレヤレ始まる…と、思っていた。


克也は、そんな私より、自分の素晴らしい研究を披露できる事に酔っていた。

そして、ふっ…と、ニヒルに笑い、気持ちを切り替えて話始めた。


「俺は、最近、全国の神社に行ってる。」

「え?なんか、怪しい組織と戦ってるんじゃなかったの?」

私の脳裏にフレミングの法則みたいなポーズで右手を振り回しながら、なんか、組織の中堅に嫌がらせされてるような話を思い出した。

克也が止まった…

しまった(>_<)


私は、自分の口の軽さを呪い、時が戻ってくれないかなんて、馬鹿げたことを切望した。


時を止めるスキルは私には無かった。


が、缶コーヒーは、克也の気持ちを上向きにするパワーを持ち合わせていた。

克也はコーヒーをグイッと飲み、そして、トレンディドラマの業界の人のような、謎の自信で私を見下したようにこう言った。


「ああ、あれ、あれは君たちを守るための方便(ほうべん)なんだ。実は、ネットで言い合いをしてね、少し脅されてたんだ。」

克也は、事も無げにまともな台詞をサラリと言った。

が、話がまともすぎて逆に疑いたくなる。

気持ちが顔に出たのだろうか?

克也は、からかようにこう言った。

「まさか、秘密組織なんて、本気で信じていないだろ?」



腹が立った…が、グッと我慢した。

今は謎の組織より、蒟蒻。コンニャクなんだから。

閉館まであと10分。

謎の組織の課長っぽい立場の人が特定したという、克也の住所も電話番号も…私には分からないのだ。


ここで、あの台詞の真意を聞かなくては!

それが、どんなにしょーもない答えだったとしてもっ。


腹に力を込め、私は、言霊使いの様に質問に念を込める。


「もちろん、そんな事はどうでもいいわ。で、どうやって群馬にコンニャクをもって行くの?」

私は言霊使いではない。が、私の発した言葉は、図書館から出てきた最後の利用者と共に、克也を慌てさせた。


克也は私からノートとペンを借りて茨城から横浜辺りの地図を書きながら話始めた。


「最近、俺は日本中の神社をめぐっている。」

「神社?」

「ああ、日本の神社の歴史は古く、神社が出来る前から聖域だった…俺は、その証拠を探してるんだ。」

克也の話を聞きながら、私は、奈良の酒船石とかを思い出した。

「うん、凄いね。で、」

「茨城にも神社を巡っている。有名なところからマイナーな神社まで。現場を歩いて探すんだが、ある神社で、昔の地図を見せてもらった事がある。」

克也は、そういいながら、自分で書いた地図の東京から群馬の辺りに線を書く。

「どうも、関東から群馬の辺りは昔海で、長い川があったらしいんだよ。」

「(°∇°;)……まじ?」

「だから、君の話、あり得るかもしれないよ。

小彦名命の伝説のように、ガガイモの実のような、小さな舟に乗せられたコンニャクの種芋が海から川へと流れて、群馬で芽を出したかもしれないね。」


ええっ…( ̄□||||!!

なんか、凄い!


と、当時の私は歓喜した。今考えると、そんな、余計なエピソードを混ぜなければ、今ごろ、評価がどうあれ、終わったに違いない。

が、その時は、私は長い長い物語の設定の迷路を脱出した気がした。


そして、凄く嬉しくなった。

「凄いよ、かっちゃん!これ、ミステリーまがじん『みい・ムー』に投稿できるよっ。」

私は感動してそう言った。

ミステリーまがじん『みい・ムー』は、昔からある不思議な話を集めた雑誌で、遠い昔、ミステリーの公募をしていた。


私も、あそこに投稿する事に憧れたことがある。


小説と違って、ミステリー大賞は、現実の話で勝負しなくてはいけないから、絶対、無理だと思っていた。

が、この2年、ノストラダムスの昔の本とかを読み返し、結構、勢いで書いても行けるんじゃないか?なんて考えたりした。


常世信仰とウィルス、それと戦う秦氏と聖徳太子…

それらのロマンが、走馬灯のようにグルングルン頭をめぐる。


主人公の三角関係も、浮気の話もすっかり忘れて飛鳥時代に気持ちがとんだ。

「ああ…悪い、俺、世の中に研究を公表する気はないんだ。

でも…今の話は、使っても構わないよ。協力はいつでもするよ。」

克也のコメントに図書館の終了のアナウンスが被って聞こえた。


私は暗い冬の夕暮れにコートのフードをかぶり帰り支度をした。

「分かった。じゃ、私、この話が終わったら、かっちゃんの話を書くよ。

そして、お金になったら、名古屋で高級和牛を土産にするね。」


当時、本気で数千円は稼げると信じていた。

和牛どころか…あめ玉一個も難しいんだけど。




そうして、現在、2023年…

『パラサイト』は去年完結させた。

夢見たような結末ではないけれど…

夢は叶わなかったけど…

泣いてる時間は私には無い。

約束通り、お迎えが来る前に、かっちゃん、アンタの話をミステリー雑誌の読者投稿に…送り出してあげるよ。


七転八倒の『パラサイト』のネタを使って、知名度とスキルアップしてさ。





そんな、小さな夢を見た。



私は再び、『パラサイト』の参考資料を手にした。

2012年マヤ歴滅亡の本


今度こそ。ノストラダムスと作家人生にけりをつけるのだ。


ページを開いた。

しょっぱながら、終末を警告する謎の音について書かれていた。


アポカリプスサウンド…

この世の終わりを告げる音がそう呼ばれたのは

マヤ歴が終わると言われる1年前。2011年ウクライナのキエフから…と、書かれていた。



嫌な予感が胸に込み上げてくる…


新時代の幕開けは、どっちだ?!


最後まで読んでくれてありがとう。

そして、内容がわかづらいかもしれません。

私も、これを書くまで、こんなに内容が変わっていたとは思ってなかったので。


今回、参考資料としてムースペシャル 決定版 2012年マヤ予言の謎 を使いました。

久しぶりに探し、そして、内容にギョッとなったり、余計な時間がかかってしまいました。


なんか、色々 すいません(⌒-⌒; )

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