表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/258

番外悪霊25

アガサ・クリスティが…『オリエント急行殺人事件』を引っ提げて参戦(○_○)!!


ああ…嫌な予感がしてきた。

私は完結できる作品と、どんどん謎が増えてカオスになる作品がある。


『パラサイト』を書いていた時の記憶がよみがえる…

あれも、結構、迷い、謎を置いたまま完結させた…

誰も、それに文句をつける読者(ひと)は居なかったが、評価も増えなかった。

あの時と同じ、沼に引きずり込まれる感じが肌を撫でる。



「解決編を改編しろ、って、滅茶苦茶言いますな!」

今度の乱歩は関西風味にブチキレていた。

どうも、ミステリーの女王クリスティの新作と『悪霊』の内容がかぶる恐れがあるらしい。


「恐れってなんですか?むこうさんの作品、内容を把握してるんでしょうね?」

不機嫌な乱歩に担当がびびりながらなだめる。

「まあ、落ち着いてください。あっ、珈琲おかわりお願いします。」

担当は、ウエートレスを呼び止め、少し高めの喫茶店で打ち合わせをして良かったと思った。

髭を生やした上品で武骨な紳士。

いくら立腹したとしても、乱歩先生も暴れたりはしないだろう。


少しオトナな艶っぽいウエートレスの笑顔に、乱歩先生もクールダウンする。



「相手の内容も不明なのに、盗作扱いは…無茶苦茶やないか。」

少し声を落として、独り言のように乱歩先生はぼやく。

「確かに、そうですが、向こうもあの事件に着想を得て、しかも、被害者が年配女性。複数の傷が残されているらしいんですよ。」

担当は、難しい顔でそう言った。

普通なら…これくらいの類似で内容変更なんて頼みはしない。が、こちらは、江戸川乱歩、凱旋での密室殺人で宣伝している。

あとから、クリスティの作品との類似が酷くて、読者から盗作疑惑なんて出ようものなら、雑誌も先生も傷がつく。

「ほぅ…アガサ女史も、良いとこ目をつけますなぁ。」

少し落ち着いた乱歩先生は、クリスティの新作に興味を持ち始める。

「向こうは列車での殺人事件…らしいです。」

「ほぅ…走行中の列車なら、確かに、密室とも言えますな。」

何か、考え始めた乱歩先生の言葉が標準語に変わり、冷静になったのを悟って、担当もほっとため息をつく。

「いえ、雪で電車が、森で止まる…見たいです。」

「なるほど、周辺を雪で覆い、列車内で殺人をおかすわけか。」

乱歩先生の頭の中に、日本の鉄道が浮かぶ。

自分が作るとしたら…どの路線で作ろうか?

「そういうわけで、少し、様子見をする事になったのですよ。出来れば…先生には被らない結末を…ですね、考えていただけましたら、ありがたく…」

「無理や!」

乱歩先生は、即答し、おかわりの珈琲をもらい、ケーキの追加を頼んだ。





関西弁…難しいわ…


自分の空想にツッコミをいれてると、山臥が口を開いた。


「すごいこじつけだな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ