番外悪霊24
リンドバーグ愛児誘拐事件…
なんとなく、記憶がある。
多分、『みぃ・ムー』にも記事が出た記憶がある。
興味がわいてきた。
チャールズ・リンドバーグは、アメリカのパイロット。
1927年ニューヨーク・パリ間を無着陸単独飛行に成功した。
『翼よ、あれがパリの灯だ。』
と、言う名言を残したと父に自慢されたが、現在は言ってない説が強いと聞いたことがある。
ただ、同名の映画が上映されたのは事実である。
1957年上映された映画でリンドバーグ役をしたのは、ジェームズ・スチュワート。
ハンサムで、善良なアメリカ人を演じた彼のキラー・スマイルも手伝い、リンドバーグは格好よくてハンサムで良い者のイメージが張り付いていた。
が、実際のリンドバーグには、華やかな履歴に並び、謎の事件が影をつけるのだ。
1932年3月の事だ。リンドバーグ家の1歳8ヶ月の長男が誘拐され、身代金の要求がされた。
リンドバーグは身代金を支払ったようだが、長男のチャールズJr.は、白骨死体で見つかる。
Jr.は、1階より上の部屋に居たようで、犯人は梯子を使ってJr.を誘拐したらしい。
身代金の支払いを命じる犯人からの手紙には、犯人の目印の『謎のマーク』が記されていた。
後に、ハウプトマンと言う人物が犯人として逮捕され、彼は無罪を主張するものも、1936年死刑が執行された。
「確かに、凄いわね(-_-;)
上階、梯子、謎のマーク…『悪霊』を微妙に思い起こさせるわ。」
私は事件を調べながら唸る。
1932年と言うのも憎い。
情報伝達が遅かった時代、海外のニュースが日本に広く伝わるには、一年くらい前の方が納得できる。
「でも、このエピソードでは、密室殺人にはならないわ。」
私は『悪霊』の倉の中で殺された姉崎夫人を思い出した。
全裸で、細かい傷をつけられながら、出欠多量で亡くなった。
梯子を使って子供を誘拐するのとは、難易度が違う。
「が、このエピソードで完全犯罪をやってのけた作家はいる。」
克也はふふんと笑い、少し私を焦らしながら答えを言った。
「アガサ・クリスティだ。」
Σ( ̄□ ̄)!アガサ・クリスティ…『オリエント急行殺人事件』のモデルですって!
段々、収集がつかなくなる展開に混乱しながら、1934年発表された『オリエント急行殺人事件』と、『悪霊』の事件が似ていた場合、編集者は大混乱したのでは無いかと想像した。
リンドバーグの事件では、登場しない死体の細かい傷…
なぜ、乱歩とアガサはそんな風に事件を解釈したのだろうか?
いや、乱歩がリンドバーグの事件をモデルにしたかは分からない。
あくまで、克也のざれ言なのだ。




