7話水路
私の頭は混乱していた。
今、こうして書いてると…情けなくなるが、まあ、仕方ない。
当時の私の頭の中では、果てしない古代の世界が回っていたのだ。
肉食の繭を作る生物…これを寄生蜂にした。
だから、ウイルスを調べることになった。
寄生蜂は、宿主に卵を植え付け、そして、ウイルスもそこに注入する。
これによって、宿主の免疫が幼虫に攻撃しないようにするのだ。
私は、そんなウイルスから、常世信仰に浮かれる人達をみた。
なにか、幻覚を見せるウイルスに蚕の幼虫が感染していたとしたら…
私は、太秦と常世信仰との長い物語をみた。
7世紀から8世紀頃、世界は混乱していた。
流行り病が蔓延していた。
その辺りから、長い物語の世界観が出来始めていた。
思えば、これを切り離しさえすれば、物語の迷路に迷うことも無かったかもしれない。
でも、三角関係の夫婦をそっちのけで、私は、この壮大な話を追いかけた。
私は、コンニャクで有名な群馬県辺りに、大陸とは違う蒟蒻の伝来があったんじゃないか、と、考えた。
ラピタ人を探していて、丸太をくりぬいて船作ったことを知った。
そんなとき、私は、別の話の資料で虚舟というものを知った。
私は話した。ある、1つの可能性について。
「でね、そんな時、虚舟の記事を見たんだ。」
虚舟とは、どんぶり型の謎の舟で、常陸国…茨城件の辺りに出現したものが有名だ。
UFOが好きな克也は、虚舟のワードだけで、全てを把握したようだった。
私は、話を続けた。
「よく、あの虚舟はUFOと比べられるけれど、私、丸太舟じゃないかと思うの…小彦名命の乗り物と同じ。縄文人は、南の島と交流合ったとか…土器が出土したりするんだよ。
海流に乗って、茨城までたどり着けるなら、群馬までコンニャクがやって来てもいいと思うんだよ。
でも、茨城から群馬へたどり着くのが大変なんだよ…(>_<。)」
克也は、私の長い話を黙って聞いていた。
海の隣接していない群馬に、どうやって蒟蒻がたどり着けるのか…
私は、川を遡る事を考えてると言った。
しかし、群馬まで、自生するのは物凄い長い道のりを越えなければいけないし、コンニャクを食品加工するのは難しい。
人の流れに連れて行かれると言うのは難しい。
そんな話をしていると、克也が( ̄ー+ ̄)フッと、不適に笑った。
「いや、水路、イケるかもしれないよ。」
克也はそう言って話始めた。