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19話舞踏会

昭和の少女漫画には、少し昔の西洋の物語が多かった。

一説には、敗戦した日本人に西洋人の良いイメージを植え付ける陰謀だとか。

80年代、サイバーパンクと洗脳が流行ったときは、なんだか納得していたが、そんな方法、効果があったのかは謎だ。


が、西洋の美しいお姫様には憧れた。


そして、ドレスを着て王子さまとダンス。


美しいワルツが流れるなかで踊るダンス…

これが無いと、昭和の少女漫画が語れないわ。


私はGHQに洗脳されたのだろうか…否。

大体、クラッシックなんて好きじゃなかった。

それに、耳にする機会が無かった。

踊るなら、曲はもっと、華やかで軽快な…『ラストダンスは私に』を。

歌手は越地吹雪さんで。

ラジオで流れる曲に合わせ、畳の部屋で腰を揺らしながら夢想する…少女時代、既に、日本の国技『魔改造』が炸裂する。


マッカーサーの思惑は知らないが、舞踏会の美しい幻想は、少女時代の夢と共に胸に仕舞われ、その記憶は、小さな田舎の町の片隅で胸のオルゴールを開く度に私をときめかせる…20世紀の技術なら、それで終わる妄想だった。



が、21世紀、いきなりぶり返した少女趣味に翻弄されながら、ネットで小説を書き出した私はそれが迷宮の落とし穴になった。


ヴィーナオーパンバルなんて、使いなれない用語を良くも思い出したものだと思う。


少女漫画の世界では、貴族と言えば、必ず舞踏会に行っていた気がするが、思い返せば、ヴィーナオーパンバルなんて、題材にされた漫画の記憶はない。

脳内BGMが越地吹雪さんの時点で、記憶を疑えばよかった気がするが、


何が引きガネにせよ、これは魔法の呪文なのだ。


『18才で貴族の娘は社交界にデビューするの。美しい銀のティアラを髪に。

生涯、一度だけ、身に付ける事が許される、純白のドレスを着て。愛しい人にエスコートされてオペラ座で踊るのよ。』



このセリフ…それは、私の心に美しい絹のハンカチに包まれるように仕舞われて、そんなものと縁遠い生涯を終えようとする私の初の少女小説を唯一飾る美しいシュチエーションだったのだから。


今、思えば、なんか、生きいそいでいた気がする。

舞踏会とか、少女漫画とか、背伸びをしてたんだと思うわ。


でも、普通なら、少し、イタイ文章と共に、同じ時代、少女だった誰かの、ちょっぴり苦味の入った評価と笑いで終わる物語になるのではないだろうか?


もともと、自分に無いものだから憧れるのだ。

私は美しいドレスやイケメンを探す代わりに、ヴィーナオーパンバルを調べ、それが、わりと新しいことに気がついた。


1877年が、第1回の開催らしかった。

年号だけを見てる分には、なんの事か、わからないだろう。

私だって、 分かっていたら、あんなふうに突っ走ったりしなかった。


1877年…マリーアントワネットも、王妃の近衛兵団も歴史の闇に消えていた。


そうして、その、7年前、1870年には、フランスが…ベルサイユ宮殿はドイツ帝国に陥落した…


マリーが華やかなドレスで行き来した、鏡のまで、ヤツらは銃剣を突き上げてドイツの勝利を叫んでいた。


雲行きが段々怪しくなってくる。

と、同時に、主人公の少女の生年月日が決まった。

1870年。大阪万博から100年前に決めた。

何しろ、ふふつ戦争がなくっても、その前のヨーロッパは混乱していたし、ヴィーナオーパンバルの開催は1977年なんだから。

ドイツの勝利と共に、少し、安定した時代を選んだつもりだった…


そうして、主人公のメアリーは1870年に生まれ、その流れで、彼女のデビューする年が決まる。

1888年…その冬の舞踏会に向けて、ドレスもダンスもメアリーは整えていただろう。

私の話では、ヴィーナオーパンバルの時に、赤の錬金ジュツシに騙されて魔法技師にされる…ハードモードな展開だったが、歴史はその上をいった。


初代ドイツ皇帝ヴィルヘイム1世が崩御されたのだ。


メアリーのダンスの相手、フランクは軍人なので、キャッキャうふふと遊んでいる場合じゃなくなるし、

赤い錬金ジュツシにつれて行かれたファンタジーをフランクはドイツと政治で考え始める。


もうっ、なにがなんだか…


しかし…これが、本当に世紀のミステリーの入口だった


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