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タナトスとロマンス


 1999年 人類は滅亡しなかった。それどころか、仲良くなった。

私の友人は私の元から消えてゆき、終末予言と共に恋を成就させていった。

 まあ、人類は滅亡はしなかったけれど、私の懐は度重なる御祝儀に壊滅寸前になった。


 グランドクロスは、地球にはそれほど作用しなかったが、男女の距離を空隙に近づけた。

 そして、様々な奇跡が起こる。

 いろんな敵対していた国が、一時的に仲良くなった。あの頃は、地球が壊れることも、文明が無くなることも、怖いことで必死で守ろうとしていた気がする。恐怖の大王が降ってきたのかは知らないし、アンゴルモアの大王が蘇ったのかは知らない。でも、あの頃、将来の叡智に任せようと政治家が言って棚上げした色々は、結局、何も解決しないまま、こうして2025年になってしまった。


 まあ、あの色々を思えば、ここまで生きられたのは、儲け物のような気もしてくるが、それでは小説にはならないし、剛が夢に出てきたくらいなんだから、すんなり滅亡することはないんだと思う。


 調べると、2025年は滅亡ネタがわいていた。

 が、大概は7月に何かが起こるというものだった。

 克也は、八月の惑星パレードの話をした。だから、7月の滅亡説を否定しているとも言える。

 まあ、2012年には、我が家が崩壊するとか、ありがた迷惑な長文の警告メールをくれて間違ってるんだから、信ぴょう性なんて無愛とは思うんだけれど。


 何があるのか知らないけれど、とりあえず、調べるとこにした。


 この話を書くことになったのは、フランシスコ法王の崩御の知らせと剛の夢を見たからだ。

 そして、冥王星の宮移転と、アメリカ大統領選挙。ドイツの政治の混乱。


 色々とあるけれど、みんな不思議と星占いと関係がある。

 何か、見つけろ、と言われている気もする。


 私が気になっていたのは、法王の崩御とヒトラーの誕生日についてだった。

 ノストラダムスを追いかけていた私は、ヒトラーの事も調べるはめになっていた。だから、フランシスコ法王が亡くなったのが、4月21日というところに反応した。ヒトラーの誕生日と一日違い。

 逆に言えば、ヒトラーの誕生日までは法王として職務を果たしていらしたのだ。

 これが不気味に感じる人は、私だけではないと思う。なぜなら、今年、2025年はヒトラーがナチスを復活させた1925年から丁度、100年目に当たるのだから。

 しかも、フランシスコ法王も、健在とまでは言えない状態だった。2月には入院し、一度は重篤な状態に陥り、そこから、復活祭のカウントが始まる春分あたりに奇跡の回復、そこからの激務。

 そして、復活祭を全うして、静かに亡くなられたのだ。

 そう、4月20日。奇しくもヒトラーの誕生日に今年は当たっていた。


 私は、ヒトラーの誕生日がこの日だとは思っていない。

 それは、ネットでヒトラーの正確なホロスコープが出回っているのを見たからだ。

 それは、きっちり牡牛座の0度。つまり、1番はじめを示していた。

 こんな偶然、ありえないと思った。

 アドルフ・ヒトラーはオーストリアの私生児として生まれた。

 アポロが月に人類を誘った、そんな時代にホロスコープの正確性を調べるためにクラスメイトや自分の誕生日の情報を収集していた私ですら、生年月日はわかっても、誕生時間を調べるのは難しかった。

 私は昭和の日本人である。

 そう、世界的に誇れる『母子手帳』を持たされた、そんな几帳面な民族に生まれても、なかなか生まれた時間なんて分からなかったんだから、19世紀に生まれはヒトラーが、それを知っている事も、時間がはっきりしている事も、怪しいと感じていた。

 それに、昭和のオカルト雑誌にもヒトラーが『牡羊座』と表記しているものもあった。それが誤字かも知れないが、そう信じる人がいるくらい、曖昧なもののように感じた。

 ついでに、ヒトラーにはお抱えの占星術師がいた。

 カールという名の男である。つまり、このカールが、政治的にいい日をでっち上げたんじゃないかと考えたのだ。


 さて、ここで問題がある。


 仮に私がこの説で作品を書くとしたら、なぜ、彼はヒトラーの誕生日を4月20日に決めたのか。その理由だ。


 カールはオカルトを真面目に研究している人らしかった。それは当時のナチスの人たちもそうだったと思う。

 だから、ちゃんと理由があるはずなのだ。

 

 私は、つい最近まで、ヒトラーは牡羊座だと信じていた。

 牡羊座は12星座の始めの星座で軍人の星、リーダーシップのある星座だと言われていた。

 お釈迦様も、イエス様も4月に生まれたと言われていた。ダヴィンチだってそうだし、チャップリンもそうだった。

 こんな凄い面々のいる牡羊座の方が、なんだかいい気がしたのだった。

 

 が、カールは違ったんだと思う。カールが本当の生年月日を改竄したかは謎だけれど、私の物語のカールはとにかく、生年月日に意味づけをして、ナチスの党員とヒトラーを納得させなければならない。


 一日で、愛されキャラか、リダーシップか、キャラが大きく変わるんだから、それは考える。

 この時代、ドイツは占星術が流行っていたそうだから、簡単な12星座の情報なら、みんな知っていたと仮定する。

 普通なら、たとえ、本当に牡牛座に生まれようと、一日ずらして牡羊座にしたいところである。


 これが悩みどころだった。で、色々とゆるゆると調べた。

で、ドイツの気候をはじめに考えた。

ヒトラーは4月30日 ワルギブスの日に自害した。と、言われている。

ワルギブスは魔女が集まるとか言われているようだけれど、北に位置する北欧では、3月の春分より、1ヶ月遅れるこの辺りの方が、春の始まりという雰囲気があるんだと思った。

 ついでに4月23日には、騎士で労働者の守護聖人 ゲオルギウスの日がある。この辺りのお祭り気分を政治利用しようとしたんじゃないか、なんて考えた。


 が、だとしたら、フランシスコ法王は21日にこの世をさった意味はあるのだろうか?

 そんなことをぼんやりと考えていた。

 マラキの予言の最後の法王と言われ、コンクラーベにサン・ピエトロ寺院に2回も雷が落ちたり、少し前には火球がロシアに落ちたりと、大変な始まりだった法王の、なんとも意味深なこの世の去り方に、何か意味づけをしたくなるのは仕方ない。と、思う。


 ナチスがヒトラーを中心に復活した100年目のヒトラーの誕生日に復活祭が丁度あたり、そして、一度は命の危険も心配された法王が、春分から復活祭の1ヶ月を奇跡のように働き始めるのだから。


 アメリカ大統領は、世界に向けて厳しく大胆な政策を打ち出していた。

 そして、ヨーロッパとの間に軋轢ができ、ドイツがフランスの核の傘に入ったと、そんなニュースが流れていた。


 本来なら、これを追いかけるところを、突然の克也の登場に乱された。

 そして、色々と調べていると、フランシスコ法王が亡くなった4月21日もまた記念日だった。


 4月21日 それはローマの建国記念日なんだそうだ。

 


 

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