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 ああ、なんだか思い出してきた。月の引力はとニュートリノがどうたらとか聞いたことがある。

 が、克也の情報源のネットでは否定の文章から始まったいた。

 月の引力くらいでは、地球を大きく動かすような地震なんて無理なようだった。

 「大体、見かけの惑星直列で地震、おきたりするの?」

私は克也に聞いた。克也はふっ、と、昭和の俳優のようにニヒルに笑う。

「別に、大地を轟かすのは引力や重力だけではないさ。夜空に輝くその姿で人心を動かすことが可能だから。」

は?ポエム?ポエムきた???克也のセリフに頭がシェイクされる。

「なんなの、藪から棒に?」

『藪から棒』なんて、久しぶりに口にした。克也は混乱する私を気にせずに話を続ける。

「地球の姿を変えるのは、自然だけではないという事だよ。」

「は?なにそれ、もしかして、まだ、地震発生装置が登場するの?」

と、言いながら、2012年の克也の活動を思い出していた。

この頃の、どうにもならない災害と不景気は、剛を軽い鬱状態に引き込み、克也を風水の世界へと誘った。

 この頃あたりから、小さなフリマは激減した。その上、手作りの作品は出品が不可能な会場が増え、手作りフリマは専門のフリマへと進化していった。

 私のような、不用品を使う手作りは、もう、出品の機会を失っていった。


 小説のフリマに出品出来たら、その作品のサービスに、売れ残ったネックレスや指輪をつけよう。何か、素敵な物語をアクセサリーにつけて。


 私がファンタジーにこだわる理由の一つだった。

でも、その、売れる完結作品が現在でもない。悲しい。


 「人工地震なんて、もう古いです。」

「え?人工地震とかって、トレンドで廃れたり、流行ったりするものなの⁉︎」

思わず叫んだ。克也は平成の業界人がファッションを語るように人工地震を扱う。

「当たり前ですよ。日々、技術は進んでいるんです。」

克也、正論を発すると胡散臭さが倍増するのは何故だろう?

「そうだけど…」

その技術はSF的なものだろうか、それとも、動画配信のものだろうか?

「もう、人類は最終段階に進んでいるんですよ!人工地震なんて使わなくても、人類は滅びてしまうのです。」

克也言い切った。その時、私はエントランスを通った婦人の存在に気をとられて驚くタイミングを逃してしまう。

 物語だったら、ここはサブキャラの魅せどころの驚きシーンを作らなきゃいけないところなのに、現実はそうそう、あんなシーンにならない。


 こういうシーンは舞台が大事だな。


様々なオカルト物語を思い出した。こういう、クライマックスを語る舞台。

1番に想い出したのは居酒屋だった。次に、事務所。自動車の中、敵のアジト。

 この場所に連れてゆくところから物語を作らないといけないのか。

ミステリーもなかなか難しい。そして、現実はこんな図書館のエントランスとか、電線の工事の人が働いてるその下とかで陰謀は語られる。

 スマートスピーカーで盗聴しなくても、全てがつまびらかになるのが田舎の良いところであり、辛いところである。


 「卯月さん?」

「あ、っ」

いかん、私は背筋を伸ばした。

 

 

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