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裏切り者


 「8月に惑星がパレードしたからってどうだって言うのよ。」

私はぼやくように克也に言った。

 全く、もう、そんな都市伝説に騙されたりはしないわ。大体、ローマじゃコンクラーベが始まって、新しい法王が選出される。5月には。

 だから、フランシスコ法王は最後の法王ではない。フランシスコを名のった最初の法王になるはずだ。

「ふっ、惑星は、思ってるより人類に影響を及ぼしてるんですよ。例えば、月の動きと地震は関係があると言われている。」

克也は悠々と言ってのけた。

「は?だからって、惑星直列は関係ないでしょ?惑星の重力なんて、地球に影響を及ぼせるほどは強くはないはず。」

と、言った私の横で小さな私が『裏切り者!』と叫んだ。

 『惑星の重力は地球に影響するんだもん。レビーの脅威を忘れたの?』

小さな私が叫び上げる。

「ふっ、卯月さん、それなら、検索してみるといい。思いがけない発見がそこにあるハズだから。」

克也、根拠をネットに丸投げしやがった。と、呆れながら、空想の小さな私の講義のついて考える。

 レビーの脅威ってなんだろう?

克也を見てると19世紀の魔術師を思い出す。一時期、レヴィー聖人とか言ってハマっていた。なんとなく、気になって調べてみる。

 

エリファス・レヴィー 19世紀の詩人 隠秘学者。


 そこまでは、よくみる情報だ、が、その下にある彼の経歴に頭を撃たれた気持ちになる。

 彼は聖母マリアと社会主義と黙示録、その後のユートピアの詩を作ってカトリック界からハブられたようなのだ。


 聖母マリア、黙示録


 ここに来て、今までぼんやりと抱えていた違和感がストンと落ちた気がした。

 キリスト教、特にカトリックでは、女性の予言を認めてないと聞いたことがあったからだ。が、聖アグネスとかカ聖タリナとか、女性の聖人もいるからなんだか気にしてなかったけれど、なんだか、怪しい雰囲気が漂う。

 レヴィーはその後、イギリスの作家リットンと仲良くなり、そして、薔薇十字団と関わるようになったらしい。


 ブルワー・エドワード=リットン 『来るべき種族』を執筆したイギリスの作家。その名前には記憶があった。

 1918年創設されたブリル教会の事を。

 

 『人間じゃないよ!流れ星のことだよ。』と、子供の私が叫んだ。その後を続くように克也が私をみる。

「何を調べているの?」

と、聞かれて思わず

「流れ星のレヴィー」

と答えた。克也は不思議そうな顔をしてから、少し間をおいて

「ああ、シュウメイカー・レヴィ彗星の事ですか?」

と言ってから、木星の重力と惑星と地球の影響についての、ありがたい話を昔の事を思い出しながら聞いていた。


 1982年 惑星直列の話をテレビで見てクラスの知識マウントくんと言いあった事を思い出した。やつは言った。

「木星がどれだけ離れていると思ってるんだよ。そんな遠くの惑星の重力なんて地球に影響するわけないでしょ?」

奴のなんか、インテリワードの文句を私は論破出来なかった。

でも、当時、ラジオで木星の音を聞くのが流行っていて、私は木星の影響を信じていた。

 その、私のモヤモヤをスカッと解決したのがシュウメイカー・レヴィ彗星だった。木星の重力は確かに地球を守っていたのだった。


 あんなエピソードも忘れてしまっていたのか。


なんだか寂しくなりながら、惑星直列を検索した。

すると、驚愕の真実が並んでいた。


惑星直列、なんか多くね?

 

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