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まとめ


 穏やかに休みの夜はふけて行く。

気がつくと深夜になっていた。カタカタとタイプする音がヘットフォンをしていても聞こえてくる。

 深い田舎の夜の静けさの中、私の部屋は雑然と平積みされた本と、その精霊が騒がしく話している。


 「やっぱり、名前に意味あったじゃない!フランシスコ。清貧である事を示すために選ばれたんだと思うもん。」

私はメフィストを見る。

「そうですか?まあ、どうでもいいですが…結局、人類滅亡なんて信じてませんよね?」

メフィストの言葉に少し考える。

「うん。まあ、1999年7月より何にも感じないわ。あれから、2012年、そして、フランシスコ法王が決まる時の方が、色々と考えたもん。」

私はその時を思い出していた。


 2012年はマヤ暦の終わりということで騒がれていた。

 その前の年から日本はさまざまな震災もあったし、ミツバチが急にいなくなったり、それより何より、不景気で仕事がなくて、本当に怖かった。

 それに比べれば、平穏である。2020年の剛のぼやきに胸が苦しかったあの頃から、随分と穏やかになってきた気がする。


 確かに、復活祭の事とかは不安でもあるけれど、そこに奇跡があるとすれば、神さまはいるって事だから。


「そうだね。とても静かだね。」

その声に驚いてキーを止めた。メイザースだ。

「あら、どうしたの?」

朝から登場してなかったメイザーズを見る。1917年クロウリーのラノベで悪役にされてから、彼は悪役か、イマイチなイメージのキャラクターに描かれやすいけれど私のメイザースは穏やかなイケメン紳士である。

「面白そうな話をしているから、混ぜてもらおうと思ってね。」

と本の山に上品に座る。その上品な姿に感動しながら、私はキーボードを打ち始める。

「うん。なんだか興味深かった。フランシスコの意味なんて、考えたこと無かったし。勉強になったよ。」

私は1000年前のさまざまな登場人物に想いを馳せる。

「で、マラキの予言は外れる、と、そう思うのかね?」

メイザースの穏やかな質問の口調を聞きながら、いつの間にかメフィストが消えている事に気がついた。

「外れるも何も、ここまで、当たっている設定でしょ?フランシスコ猊下はわからないけれど。」

キーを打つ。マラキの予言の最後の法王と言われたフランシスコ法王のコンクラーベを思い出す。あの時は、少し前に隕石がロシアに落下したり、その前にはサン・ピエトロ大聖堂に雷が落ちたり、なんだか不穏な幕開けだった。


 あの時、確かにいろんな事を考えた。

 でも、そこから、神に召されるそのギリギリまで活動をしたフランシスコ法王はすごいと思う。

 

「貴女は、マラキの予言をどう捉えているのかね?」

メイザースの言葉に、私への批判を感じる。が、気にしない。

「1000年あたりの話だから、まあ、正確には200年近く誤差はあるけれど、キリがいいから後の1000年の法王を予想したんだと思った。

 私、ノストラダムスの予言も悲観的には考えてなかったの。だって、子供の頃って、すごく嫌なことが起こるから、数十年先なんて考えられなかったもん。むしろ、そんな先がある事に夢を感じたわ。」

そう、未来を描くのは簡単そうで難しい。しかも、人の気持ちをよくも悪くも動かすようなそんな未来は。

 あんまり悲観的だと、誰も見たくなくなるし、本が売れないから、いい感じに希望も入れて、爽快な破壊願望の解消を入れて書くのは本当に難しい。

 私だって、ここから1000年後までの天皇の予言なんて、冗談でも書けない。不敬なのもあるけれど、いい加減でも思いつかない。

「キリが良いか。貴女らしい。」

とメイザースは笑った。少し。ウケたのが嬉しかった。

「うん。そして、マラキの予言は良い感じに2000年初頭で予言の法王を埋めてるし。凄いと思う。最後の法王はペトロってあるけれど、これって、初代のローマ法王のことでしょ?だから、新しい一千年がやってくるって、そんな意味だと思ったんだ。」

うん、これでまとめよう。


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