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 ザビエル…

 ザビエルって、フランシスコだったんだ。


 なんだか、モヤモヤする。そんなにフランシスコばかりでどうするんだろう?全く、面倒臭い。


 「さあさ、そんな金にならない話なんて、うっちゃって華麗で楽しい異世界恋愛の世界を書きましょうよぅ。」

メフィストが急かす。まあ、その方がいいとは思うけれど、でも、書き始めたんだからなんかオチをつけないと未完が増える。


 ふと、『トミノの地獄』を思い出した。

作者の西條八十先生はこの詩の解説を公表しないまま亡くなられた。

だからこそ、音読すると死ぬなんて不気味な都市伝説がネットで出回ったのだ。

 それにしても、この詩にはパンデミックが関連する。

 確か、都市伝説がネットに出回るのは2004年と言われている。

 この頃、SARSが話題だった。そして、翌年、2005年にヨハネパウロ2世が崩御された。

 ヨハネパウロ2世は、ファティマの予言と関係の深い法王様だった。

 80年代に暗殺未遂事件があり、その襲撃が聖母が出現した日と同じく5月13日だったので、聖母の加護を感謝してヨハネ・パウロ2世はファティマに巡礼している。ファティマの予言を公表したのもこの法王様である。

 そんな法王様が崩御されたのが2005年4月…春に亡くなっている。

 

 それから、時が進んだ2019年、不思議な流感の噂がネットに流れ始めるのだ。日本では『トミノの地獄』の発表から100年目だからなのか、ネットであの都市伝説がちらほらと発信されていた。


 「やっぱり、『トミノの地獄』はスペイン風邪とファティマの予言がモチーフだった気がする。」

私は苦々しく未完の自作を思い出していた。

 当時、この説を使って格好良く物語を締められる予定だった。

 この詩の発表は1919年5月で、その年の4月4日にファティマの予言を受けた少年、フランシスコが亡くなるのだから。

 この事実と共に、不思議な余韻を残して私のミステリーは完結するはずだったのに!

「いけませんね、現在は流感に特定の地域や人種を想起させる表現は使わないようにしようとしているようですよ。

 それに、スペインから発病したわけではありませんからね、

 現在では始まりはアメリカ、と、言われています。」

メフィストが面倒くさそうに言う。

「アメリカ…」

何かが繋がる予感に、思わず声が漏れた。


初のアメリカからの法王 フランシスコ

ファティマの予言に フランシスコ


「また、考えるぅ。いいですか、ファティマはポルトガル領ですよ、スペインではありませんからね。関連付けて考えると、笑われますから。」

メフィストはマジレスをする。

「わかってるわよ。フランシスコなんて、いっぱいいるんでしょ?サンフランシスコもサン・フランシスコ。なんでしょ?みんな、フランシスコが好きなんだよね?」

私の頭の中ではチャイナタウンが踊っている。

もう、どうしていいのかわからないけれど、オチはつけたい。

モヤモヤする中、静かに足長効果のポーズで座っていた本の妖精が立ち上がったΣ(゜д゜lll)


 「そうですね。確かに、この名前はありふれたはいます。が、名前には名付けた人の心が宿るのです。

 ヒロシという名の人物はたくさんいますが、しかし、昭和生まれがほとんではありませんか?

 フランシスコという名前にも、一定の法則はありますよ。

 例えば、今回、話題のフランシスコ。ファティマの…フランシスコ・マルト以外はイエズス会と関係があります。」

本の精霊がキリッとそう言い放った。

 

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