13話ホロスコープ
子供の頃、良く占いをした。
オカルトブームでもあったけど、ロマンチックな夢の世界を見ていたかったからかもしれない。
とくに、星占いは女児用の可愛らしい少女とギリシアの美しい女の人の絵に彩られ、西洋にかぶれていた私達の心を鷲掴みにした。
少女時代の星占いは、未来の恋と共に、甘く美しい夢の世界を作り出していた。
星は何でも知っていた。
将来の恋人
未来の家庭
生まれる前の自分の生涯についてまで。
今考えると、星と未来を覗いた少女全員にもれなく素敵な旦那様がついてくるなんて、ゲームのような展開はあるわけは無いのだが、貪欲な少女時代。
誰もが、与えられた王子様の容姿やスペックを気にして、現れないなんて夢にも思わなかった。
と、同時に、ノストラダムスと占星術にも夢中になった。
ノストラダムスは、占星術で滅亡を予知したらしいが、少女風味の星占いでの私の未来は、地味だけど友達のように気の合う旦那と子供に囲まれ、前世の善行により、少々腐った物を食べても食あたりはしないと言う、ありがたいがロマンチックではない能力をもらって幸せに暮らす、らしかった。
こんな矛盾した世界観を本のジャンルと共に仕訳しながら、子供時代は過ぎていった。
12星座の伝説や、惑星について詳しくはなったが、天文学として披露できるほどの知識もなく、
チチウス&ボーデの言いたいことは理解できなかった。
ただ、これだけは覚えている。
『惑星の位置は、数学で特定できる。チチウス・ボーデの法則により、第10番惑星の出現は予言されているのだ。』
みたいな、なんかオカルト・ロマンな迷言を。
現在、ネットを探しても、そんな記事に当たらなかった…
あれは、図書館で見た白昼夢なのだろうか…
ミステリーの種は、どこにでも落ちていて、そんな昭和のロマンは、令和の現在、思い返すと、マティーニのように思い出と言う甘い香りと、真実と言う苦味を含みながら、飲めば強烈なアルコールに意識を失いそうになる。
昭和の時代、ボイジャーと共に夢見た太陽系は遥かに遠く、二時間ドラマでイケメン俳優が活躍して完結できる距離にあった。
2012年、ボイジャーはせいかん空間に移動し、木星で宇宙戦争が勃発しても、苦みばしったナイスミドルなヒーローでは、木星に到着する頃には、すっかり年をとっていることを私に実感させた。
老いた自分と、星の闇へと消えたボイジャーに思いをはせ、全ては夢だとほろ苦く感じる頃、私はネットの世界で、なんか知らないが小説を披露している。
科学もオカルトもなにもかも…気がつけば、世界は少しずつ変わっていた。
昭和の時代、悪の組織と10番惑星を発見するはずの物語は…私の記憶のバグになり、
理科の参考書に夢を語ったチチウスとボーデの法則は、今ではレトロ科学のアーカイブへと静かに仕舞われてしまった。
星に翻弄された私は、思いも新たにネットの異世界ファンタジーを目指そうとした。
そして、ある日、ドキュメンタリー番組で、星占いに翻弄された、ある歴史的な有名人に出会う。
ゲッペルス…
彼は、ホロスコープを手に私と感想をくれた読者を翻弄することになる。
Siriが読みやすい文章にしました




