冥王の迷宮 32
ほぼ、世間様が知らない私の小説の世界を演じる友人…
そんなもの、芸能家族とかじゃなきゃ、体験できないと思ってたわ。
でも、21世紀の超絶技術で誤字脱字にミカン連発の私が世界に向けて作品を披露し、その上、イケメンの友人が…
サプラーーイズ(=⌒0⌒=)
で、キャラを真似る…そんなドキドキの瞬間を味わえるなんて!
確かに、世界は変わったと思う。
と、同時にそんな凄い事が本当にあるのかも不安に感じる。
現在、山臥は演じている…私の作品のメフィストを!
が、メフィストフェレスは私が作り出したキャラクターではなく、シェークスピアの時代から登場する鉄板の悪魔である。
もし、違っていたら…
私の作品じゃなかったら…
そう考えると恐怖が込み上げる。
私の作品の模倣でなければ、なんか、凄く似ている有名な作品が存在していると言う事で…
つまり、私、やってないのにパクリ疑惑をかけられる!つまり、小銭稼ぎすら難しくなるから、書き直しの必要が出てきちゃう(>_<。)
い、嫌だぁぁ…
変な動機とめまいがしてきた。
山臥は私を無言で見ていた。
その、絶妙な焦らしの間が、クイズ番組のMCのようで私の気持ちをイラつかせる。
山臥はそれを楽しむようにイタズラっぽく目をほそめてささやく。
「勿論、違いますよ。」
「えっ( ̄▽ ̄;)」
「私は出演していますから。」
わあぁぁっ(///○///)
頭が真っ白になる。
ここまで、なりきられたら、私、どうしたら良いんだろう?
なんか、ドッキリじゃないかと辺りを見渡した。
いや、無名の私にドッキリなんて仕掛ける人間はいるはずもない。
ドキドキする。
山臥、東京で役者とかしていたんだろうか…
なんか、ミューチューブで配信とか夢を語ったことがあったけど、テーマソングを歌ってほしいとか、酔っ払って言ったりもしたけれどっ(*''*)
あははん…脳が…脳が溶けて頭が回らないわ。
混乱しながらも、顔、真っ赤にしながらも、私は勇気を振り絞って聞いた。
「あなた…め」
と、口にしたところで私の唇はふさがれた…
山臥の長く美しい右の人差し指で!




