冥王の迷宮 27
「1989年が冥王星の近日点なら、グレゴリオ歴より日本の元号の方がピタリと来ないかい?」
山臥に面白そうに言われて愕然とした…
そう、1989年は平成元年になる…
そして、ヒトラーの生誕100周年でもあった…
平成の終わりが、特殊なもので、しかも、ヒトラーが自決した5月31日が平成の終わりで、西洋ではワルギブスに当たるので、なんか、それについて投稿した事を思い出す。
「そうだったね…そして、ヒトラー生誕100周年だったのよ…三国同盟揃い踏みね(T-T)」
なんか、偶然の面白味を感じた。
「そうかな?ヒトラーより、ここはルドルフ殿下の死…マイヤーリンク事件から200年の方がロマンチックだろ?」
「ロマンチック…」
ロマンチックでマイヤーリンク事件なんて、田舎のオッサンが発想するのだろうか?
なんか、山臥に疑惑を感じる。
まさか、そ知らぬ顔で私の記事を読んでくれていたり…するかしら(*''*)
「『うたかたの恋』だろ?俺、オールド映画好きなんだ。」
山臥は楽しそうに女優の話をする。
「ふーん。」
なんだ、と、ちょっとガッカリしながらホッとする。
ああ…もう少し見た目がよくなる様な評価とかがついた、誤字脱字の無い完結作品あれば…もっと読んでほしいところだけれど、現実は厳しい。
「なんだ、反応わるいな…『うたかたの恋』は人気のコンテンツなんだぞ。皇太子のルドルフ殿下が恋のために命を落とすんだ。」
山臥のセリフに彼はロマンチックな人間だと思った。その爪の先ほどのロマンチックが私に無いのが残念だ。
「諸説あるらしいわよ?あの頃は、政治の状況が不安定で…前年の1888年、ドイツ皇帝のヴィルヘルム1世が崩御されたり、混乱していたみたいだもん…」
と、ここで、ドイツ帝国の最後の皇帝ヴィルヘルム2世の即位とほぼ、同じ時にヒトラーが命を授かったのか…と、不気味な気持ちになる。
「だろうな。まあ、考えれば、こんなものはどうにでも、こじつけられるんだよ。」
山臥は生レモンサワーを注文しながら面倒くさそうに言った。
「まあ、ね。」
と、言いながら、不気味な気持ちが膨らむのを感じた。
冥王星を調べる。
この頃、冥王星は双子座に宮を移動していた。
正確には、1885年頃。
ヴィルヘルム1世の体調が悪くなる頃である。




