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冥王の迷宮 23

その時、私は決して共有できない感覚を共有できる人物と出会った。


宝石のように輝く初恋の光を…殆ど、夢叶わずに消えてしまう儚い恋を…共感できる人物を…


占い師と友達になるような事は無かった。

世紀末は、占い関係の詐欺師が沢山いると報道されていた。

証拠が無いから、詐欺師はテレビの受け売りだけれど、ある日、駅前で手相を見てくれたら占い師は、私に指摘された部分を慌てて本で確認して「本当だ!」と、言った。マジ胡散臭い。

占い師なんて、自称するだけでなれるから(あくまでアマチュア。職業となると面倒くさい)何か本当かなんて分からない。


ただ、昔占って貰った辻占い師に11月に「今から1ヶ月以内に素敵な男性に出会える。」と、言われて会えなかったのは確かだ。

感心するのは、付け加えた台詞である。

「ただし、自ら探したり、意識してはいけない。」

と、言うものだ。が、そんなの無理に決まってる。

だから、出会えたら占いは当たると言えるし、出会え無くとも、貴女が意識したから運気が消えた。とか、適当に言えば良いわけだ。


普通、本当に相手にそんな素敵な出会いがあるのが分かっていたら、本人を意識させないように黙っている。友人やアマチュアの友人への占いなら…


まあ、商業の占いの場合、エンターテイメント性も必要にはなるんだろうから、そこは11月のクリスマス準備期間に、恋を意識できるように導くのも、また、間違いと言うわけでもないのかもしれない。


まあ、ともかく…こんな気持ち…共感できる人物がいる事も、それが、少女時代、忌み嫌った敵である生身の男子である事に混乱した。


と、同時に、納得もする。

少女の初恋は…主に男子に向けられる…

恋愛相談に占いを使うような事例は特に。


私は、同性の少女占い師として、告白される少年の気持ちを仮想で体験したに過ぎない。


が、目の前の、シーザーサラダをワインで楽しむ男は、彼女たちにマジで告白された経験があるのだ。


なんか、魔法使いの婆さんになって、お(とぎ)の森で王子にあったような気分だわ(-"-;)


頭が混乱する…こんなシュチュエーション、出会おうったって出会えるもんじゃない。

ついでに、おとぎ話の魔女の気持ちを体験するような事なんて、そうそうない。

天王星と月の食なんてどうでもよくなる程のミラクルに現在、遭遇している気がした。


ああ、今なら、おとぎの魔女の気持ちを文章に出来そうな気がした。


深い森…森に一人で住む老婆。

ある日、王子が森に迷って魔女のもとへとやって来る…

彼はユニコーンに乗り、恋心の精霊に守られたシュッとしたイケメン…


魔女は…胡散臭そうに王子に似たなんかキザなユニコーンを見つめる。

ユニコーンは、本来、男にはなつかない動物だからだ。

そして、魔女はキラキラの恋の誠実を振り撒きながら笑顔で挨拶する王子の胸元に春画がないかを透視する…


セクシー姉さんを狙った男子を思い出した。

少女の私が頬を膨らませて私に忠告する。


《男子なんて、皆、敵なんだから!》




「って、ねぇ、他の席の娘にはなしかけないのっ。」

隣の女子にドレッシングの話を始めた山臥に気がついて慌てて止めた。

すると、山臥はヤレヤレとあきれた風に私を正面から見据えて、そうして、こう言った。


「じゃあ、俺を飽きさせないで欲しいね。」


世紀末のトレンディドラマのイケメン俳優を意識したような…なんか、コミカルで恥ずかしく、いたたまれなくなるような…そんな一言だった。

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