冥王の迷宮 20
まあ、なんだ、とにかく天王星の発見は皆を混乱に陥れた。
そんな時、皆、とにかく現状を調べたに違いない。
そして、現れた天王星について調べる。
天文学も占星術もこの時点でやる事は同じだ。
観測と軌道計算。
こうして考えればどちらも、数学的世界構築派の教徒に見えてくる。
調和する数式を信じて、世界を表現する…
占星術が占いだからって、いきなり、怪しげなビジョンなんて見たりはしないのだ。
12才のバレンタインで混乱する私は、学校の生徒の親の相性を調べた。
まずは、分かる所から足掛かりをつけるのは、小学生だろうが、占星術師だろうが同じである。
天王星の軌道を計算し、過去の出来事を探して行く。占い師は人の歴史にそれを見て、
学者達は、宇宙に、太陽系の一部としての天王星を見る。
そして、机上の数式に新たな星を探し始める。
今の私は…2022年の皆既月食の記事を調べた。
皆既月食時に惑星の食がおこるのは、極めてまれな出来事なのだそうだ。
次に日本でおきるのは、300数年後に土星食と言う記事がネットでたくさん検索された。
前回は、400年以上昔、織田信長が生きていた時代だそうで…土星食だ。
天王星は発見されてないから、計算で探すしかないんだろうけれど、なんだか、凄く珍しいのは分かった。
確かに、皆既月食の惑星食はとても珍しく日本で観測出来たのは400年以上前の話である。
そして、様々な記事を見ている先に、1930年の文字を見つけた。
1930年…その年も皆既月食があった…
日本では部分食ではあったらしいが…
そのすぐ横に…天王星が輝いている!
ゾクリとした。
1930年は冥王星が発見された年である。
偶然?
そう、物凄く希な偶然…
数十年から数百年…ランダムにしかおこらない皆既月食の惑星食…この時は惑星食、とまではいかなかったらしいが…
偶然と言えば、冥王星の発見もまた、偶然…いや、奇跡に近い感じで見つかったらしい。
冥王星を発見したのはクライド・トンボーである。
が、そこにはプロローグがある。
彼が所属するローウェル天文台を創設したパーシバル・ローウェルが
『惑星X探そうぜ!』
と、提言したのだ。
見えない何かを探す。
この時代の科学もまた、オカルトのような部分があったんだと思う。
見えないけれどそれは存在し、世界に影響を与える…
今回は重力だった。
海王星が発見されたのは、天王星軌道が何かの重力の影響を受けている…
そこを突き詰めて見つけたのが海王星である。
そして、その海王星の軌道も、何かの重力の影響を受けているようだった。
「惑星Xは存在するっ!」
なんか、最近、動画サイトでよく見かけるけど、それじゃない。
ローウェルの探求は冥王星に繋がる物語である。
ローウェルは天文台を建て、独自に軌道を計算し、そして、当時、最新の技術を使って空の観測をした。
でも、1916年…パーシバル・ローウェルは亡くなってしまう。
そして、その意思を継いだのがトンボーだった。
ローウェルの死後、様々な問題にめげずに天文台を再開し、そうして、ローウェルの予言した軌道にソレを見つけるのだ。
惑星X…後の冥王星を




