冥王の迷宮 14
チチウス・ボーデの法則…
私は、数学の参考書のトピックスで知った。
多分、現在の参考書には無いと思う。
この法則には様々な疑問がわいてきたから。
学生時代、参考書のトピックスを読みながら、お馬鹿な頭をフル回転して理解不能だった私に、21世紀の現在、改めて細かい説明を披露して恥ずかしい事になっても嫌なので、それを考えるのはやめよう。
チチウス・ボーデの法則、私の記憶を大雑把に説明するなら、惑星の距離には法則があって、計算で導き出せる。
そして、惑星は10個ある。
みたいなものだった。
それが本当にボーデが何処まで言ったのかは、今となっては謎の部分がある。
まあ、ともかく、天王星はボーデの法則に当てはまっていた。
そこで、いろんな人がチチウス・ボーデの法則で惑星を探し始めた。ちなみにチチウスさんとボーデさんは別人である。
ボーデやアカデミーの偉い人がどう考えていたかは知らないが、一般大衆には、この出来事は様々な尾ひれがついていったのは想像できる。
1846年海王星が発見されると、それはある意味ムーブメントになったのだと思う。
wikipediaにある情報では、海王星はチチウス・ボーデの法則からちょっと外れているらしいが、ボイジャーが土星から外の惑星の情報を地球に送る頃でも怪しげな情報は語られていたし、クレジットカードの契約事項の細かい文字のように、ちょっぴり海王星の距離がずれてる事なんて、一般大衆はみんな気にしていなかった、と、思う。
何しろ、この法則で冥王星を見つけちゃったんだから。
否、19世紀の情報が少なかった時代、人聞きの情報にロマンやら、夢やら、金儲けの尾ひれがついて広まって言ったのかもしれない。
エビデンスはない。
けれど、その頃、10代のブラバッキーは、私がボイジャーの情報に未来の夢を見たように、天王星や冥王星の発見について胸を踊らせたに違いない。
この時、人の意識は確実に変わっていったんだと思う。
目に見えなくても、存在する『何か』について。
ブラバッキーはオカルトへと人生の道を歩み、
理数系の人間は、数学で見えない世界の探求をした。
でも、現代人の我々は、怪しいと考える。
だって、惑星は永遠に同じ場所を公転しているとは限らない。
地球の軌道も、チョッピリづつ変わっている。
そして、惑星は、恒星の周りを回っているとは限らないし、21世紀に入ると恒星の束縛を受けずに漂う自由惑星と言うものが沢山発見される。
未来永劫変わらない軌道を計算なんて…出来るわけがない。
でも、この時、天文学者や数学者は予言者になった。
様々な情報から星の軌道を予測して、観測時期や場所を予測する…
数字に、位置に隠された法則を知らしめる…
ふと、ピタゴラスの宗教があることを思い出した。
紀元前の秘密結社なので真実なんて私には分かるわけがないが、宇宙は数字で全てを表せて、それは調和し流れている。
電車のダイヤのように、方程式を発見できれは、おのずと未来は予言でいる。
なんて、カッコいいフレーズで語られていた。
数学もまた、突き詰めれば宗教だと。
それでは、占星術師はどうだろう?
彼らは新たな惑星に何を見たのだろうか?




