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冥王の迷宮 10



「とーちゃんは長期暦なんて、覚えなくても良いと言ってました。」


古代マヤの少年ティカルが先生に反論していた。

理由は私が言ったピラミッドに降りるクルルカンで1年をリセットすれば大丈夫と言うものだった。


それについて、先生は少し悲しそうにひと息ついて話始めた。


「ティカル君、あなたのお兄さんはピラミッドの建築の為に出稼ぎに行かれてますね?」

「はい!兄ちゃんは超かっこいいです!」

ティカルは嬉しそうに笑う。

「年の瀬の帰省するは楽しみですね?」

「はい!かーちゃんが鳥料理を作るって張り切ってます!僕もとーちゃんと鳥をしとめにいく予定です。」

ティカルの話を優しげに先生は聞いて、それから、心配そうに言いました。

「ティカル君、春分の日で暦をリセットしていたら、遠くに離れたお兄様と1年以上先の約束は出来なくなるかもしれませんよ?」

「え?何でですか?」

来年からインカに奉公に決まったティカルは不安になる。見習いに言ったら、数年は帰れない。

先生は穏やかに説明する。

「一年で暦をリセットをしてしまったら、同じ日に会えないかもしれませんよね…」

「どうしてですか?」

「一年ごとに暦がリセットされたら、遠方の国の暦と同じとは限りませんから。」

先生の言葉にティカル少年はショックを受ける。


がぁぁ…んΣ( ̄□ ̄)!



はっ(°∇°;)


いかん、夢見てた…


あぶない、あぶない…


ため息をついてインスタントコーヒーをいれる。


酔っぱらって寝ていた…

今日はうちに誰もいなくて小説日和なのだ。

先を進めなくては!


コーヒーをがぶ飲みした。そして、怪しい夢を思い出す。


ああ、そうだ。暦は1年を表すけれど、人生はもっと長いのだ。


日本には、還暦と言うのがあるし、マヤ暦にも52年で一周するカレンダーラウンドと言うものがある。


私は、一年でカレンダーを買い換えるけれど、会社とか、宗教、政治なんかの人達は、様々な長期暦を必要としているのだろう。


とはいえ、私にしても年金の受給とか、生涯に近い予定を考えないこともない。


そこまでは、理解できた。でも、百年単位の暦の必要性は分からなかった…


ああ…雑に生きてたわ(T-T)


知りえた情報をまとめてみる。


カレンダーの生い立ち


農家とか、冬支度の計画のために1年を知る必要がある。

数年単位の計画をたてる必要が出てくる。

結婚や出産、家畜の成長の目安など

生涯設計の目安を考える必要が出てくる。

王、皇帝の隠居時期や還暦など



で、使っているうちになんか、おかしくなってくる。

例えるなら、海の日

21日固定から、7月の第三月曜にした途端、日にちが動く、動く…


21日固定の時は、海開き後、夏休みが長くなるなどのレジャー関係のイベントを組みやすかったが、第三月曜にした途端、良い感じの日付に休みにならないジレンマに陥る。


あったよなぁ…


フリマに夢中だった昔の記憶がよみがえる。

21日の時は、良い感じにイベントがあったけれど、海開き前に三連休とかになって、泣かされたことがあったわ…


具体的に思い出すと、やはり、暦は大事なもので、何か、休日を変える前には、よくよく考える必要があるんだと思った。


私の反省はこれくらいにして、現状の暦に問題を抱えた有名人がいる。


ユリウス・カエサルである。


彼の悩みは、もう少し面倒だった。

暦がなんか、ズレて来ていた。

ローマの観光の目玉には様々に秋分や春分を利用したイベントの仕掛けのある建物やモニュメントがある。

これは、皇帝の権威をあげるものでもあった。

だから、日にちが微妙に合わないのは、なんか、ちょっと、格好がつかない。

そこで、当時、天体観測の最前線を走っていたエジプトの女王クレオパトラと恋愛関係になり、そんなこんなで暦を作り直す。


公転周期の誤差を埋める閏年を4年に1度入れ込んで。

ついでに、自分の名前を7月に入れ込んじゃう。

もう、これで後世まで彼の名前は忘れられないものになる…


『1999年7の月…』

ふと、ノストラダムスの予言詩を思い出した。


暦を改変し、7月に名前を残したシーザー


少し気持ちが動く…

でも、考えてはいけない。今は、暦の話をまとめなきゃ。


そう、カエサルは、閏年を4年に1度いれた。

それは現在でも使われ、オリンピックや大統領選などの目安になっている。


そう、ここまでは理解していた。私だって。

で、ここから先の話は、先生も親も教えてはくれなかった…

と、書くと、カッコいいけど、聞いても多分、少女の私には理解は出来なかったろう。


4年に1度の閏年をいれて、全ては解決したと思われたのだ。

まさか、それでも合わない小さな誤差が、ホラー映画のエンディングのように密かに積もり、ノストラダムスの…15世紀に問題になるなんて、誰も考えもしなかったのだから。

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