冥王の迷宮 5
グレゴリウス13世が合わなくなってきた歴の改変を試みる頃、その会議で意見を聞かれたコペルニクスは、もう少し情報を集めるべきだと言ったらしい。
この頃、皆が知りたかったのは、地球が回ってるかどうかではなく、
正しく月日を表示するカレンダーだったのだ。
私が子供の頃、そんな話はしなかった。
コペルニクスは、私には地動説を唱えた偉い人であっても、当時の困っている人の改暦の件ではあまり活躍していないようだった。
この時代、改暦の定義を完成させ、書類を作成し、各機関に根回しした無名の事務方の人物が一番偉かったんじゃないだろうか(´-`).。oO
そんな事を染々考える。
と、同時に、この時期の異端審問と天体観測について新たな考えが浮かんだ。
カルト…流行ったんじゃなかろうか…
歴が合わないのは、神様が普遍ではないから…
滅びの時が近い…
そんな話をふれ回る人間がいたとしたら…
ペストが流行り、教会への信頼が薄らいでる、そんなときに、やって来るはずの明日が来ない可能性が唱えられたとしたら…
ふと、20世紀末の色々を思い出した。
1999年人類が滅亡する…
そして、その先を考えらずに、様々な事がおこった。
ノストラダムスの予言…
彼は空に何を見たんだろう?
ふと、ノストラダムスを思い出した。
彼は占星術にもたけて夜空を見つめて未来のビジョンを見ていると、私の読んだ予言本の解説には書いてあった。
でも、それは星ではなく、太陽と閏年についてだったら…
ゾクリとした。
我々は、無意識に明日は当たり前に来ると信じている。
春の次は夏が来て、秋が冬が来る…
それは高級時計のように精密で正確なものだと信じていた。
でも、それは違う。
この美しい計算されたような世界は、一瞬の奇跡の瞬間でしかない。
太陽は刻々と膨張し、月は1年に数センチ離れて行く…
1年はめぐるけれど、同じ1年が来るわけではない。




