冥王の迷宮
こうなってくると、なんだか地動説に興味がわいてきた。
ガリレオ…そんなに凄い人だっけ?
私はガリレオを調べはじめた。
彼はユリウス歴1564年に生まれた人物で、地動説と言うより、何かの物理法則の証明を、聖書やら偉い人の意見ではなく、実験で誰にも公正に納得できるよう説明する…つまり、現代科学の考え方のテンプレを広めた事を評価されているようだった。
地動説で異端審問にかけられるエピソードが有名だけれど内容はあまり記憶がない。
まあ、それはそうだ。
ガリレオのエピソードが広まったのは、どうもナポレオンが関係しているようなのだ。
ナポレオン…自分の有利になるように歴史を改変、もしくは誇張しようとしていたフシのある人物だ。
有名どころではジャンヌダルク。この人のおかげでフランス史を行ったり来たりさせられた。
当時、イギリスなんて国はない。と、言うか、戦国時代の日本のようなもので、言語や血筋も混ざりあっていた。イングランドはフランス領のノルマン人が開いた土地で、当時の公用語はフランス語だったらしい。だから、ジャンヌが『フランスのために』なんて言うわけもないし、同じフランス領のノルマン人の家系の人間に天使ミカエルがイギリスを倒せ、なんて言うわけがないのだ。
これは、地中海のコルシカ島出身の歴史に疎いか、どうでもいいと考えたナポレオンがイギリスに対する敵対心を煽るために使った、と、言われている。
が、西洋人も平気でこの設定で映画とかを作っているから、そこの所はよく調べるべきだとも思う。
はじめに止まった連載を苦々しく思い出した。
これが後に、私が歴史物を書くにあたって大混乱にした。
ナポレオンはジャンヌダルクにフランスを連呼させ、そして、イギリスと戦うんだと叫ばせた。
それは、丁度、女性の地位の向上をはかろうとする人達の目にも止まり、500年間無名の少女は、一気に世界中から、聖少女としてスターダムにのせられることになった。
確かに、私も憧れたわ…
そして、授業でも習った。
それは国語の授業だったので、叙情的な尾ひれがつき、イギリス人を悪人に奉り上げながら、憐れな少女を物悲しくうたった…
が、当時、イギリスなんて国はありませんからっ…ほんと、何度でも言いたいわ。
あの小さな島国は、当時、白薔薇の王と紅薔薇の王が戦う内乱状態で、イングランド王はフランス王族とも親戚なんだもん。
英語なんて方言なんだよね(T-T)
もう、この歳になって、ネットで赤っ恥のエタ芸人になってしまった原因を思い出し、ちょっと、ナポレオンにイラッとくる。
それにしても、アンタ、ガリレオまで、アンタが流行らせたんかい(>_<。)
1798年ナポレオンはローマを侵略し教皇庁に保存された書類を奪う。
で、ガリレオの裁判記録が使えそうだと知ると、その記録をフランスに送らせる。
ナポレオンは、ガリレオの物語で教会の民衆への影響力を弱めたかったのかもしれない。
ナポレオンの思惑はわからないが時代は近代へと変わろうとしていて…
私もまた、20世紀末でガリレオと科学に良いように騙された一人だと思うと、ちょっと、腹立たしい。
ナポレオンが天下統一を果たすため大衆の意識を変革するには、まず、教会の影響力を押さえる必要があったんだと思う。
科学はそこでも活躍した。ガリレオは持ち上げられた。
それでも、地球は回っている。
教会を前にして、そう叫ぶガリレオは格好良く、教会の教えは前時代の古くさいもののように思わせた。
アポロは月に飛んだ…
時を同じくしてイエス様や教会の奇跡は大衆の意識ではファンタジーに分類されてしまったのかもしれない。
サンタクロース症候群…山臥の思い付きが、なんか、凄いことに思えるんだからあきれてしまう。




