表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/258

番外 教えておくれよブラバッキー14



『地動説も天動説も私は興味はないね。』


ホームズがワトソンにそんなセリフを言っていた。

つまり、地動説が当たり前に浸透するのは20世紀に入ってからだ。


ここで、ふと、21世紀の現在でも地球が丸いことを受け入れていない人がいる…そんな話を思い出した。

私も、ガリレオの呪縛を解き放たないと…



21世紀になって、まさか、自分が地動説を批判する側になるなんて!

と、皮肉に感じるけれど、それは違う。

問題は地動説ではない。

間違った天動説の知識を正すのだ。



ネットを開いた。

『ダンテの宇宙概念図』

で検索するとワラワラと『神曲(しんきょく)』についての解説が現れる。


本で見た図はダンテが描いた分けじゃないのか…


私の見たあの図は、『神曲』を見た人が解説用に作ったのかも知れなかった。

図を見る。

地球を中心に沢山の円がある。

と、言っても10層なんだけれど。


ふと、謎の第9惑星を探す話を思い出した。

惑星の数が9個にしたいのは…ダンテの影響もあるんかな?

なんて、ぼんやりと考えた。


地動説の歴史やいきさつを考えるのは、それほど難しくはない。

が、天動説の歴史やいきさつを考えると頭が混乱するのだ。


惑星と地球の間には各階級の天使が守ってる…

そう、宇宙は神の領域なのだ。

調べれば、宗教とオカルトの要素が増える。


が、少女時代、私がみた本や漫画では、そんな要素は省かれて、昔の人は宇宙は宇宙と考えていた。


たまに、天使が飛んでるときも、天使の話もあるけれど、シリアスな物語では死を前にするか、不幸のどん底に落ちなきゃ、天使なんて現れない…


でも、それは違う。

神や天使はもっと、学者に寄り添い、農夫の祈りの時には空で密かに労働者を見守っていたはずだ。


そして、キリスト教は天文学は苦手なんだ。


なぜなら、満点の星空を…星座を異教の神の英雄から、聖人に置き換えることが二千年経過した現在でもなし得ていないから。


これ、適当に星を繋いで話をつけて普及したら良いって訳ではない。

文字を読まない世代が、キッチリ記憶し、親から子へと伝播(でんぱ)しなければ、下手なラノベのようなもので数年後には廃れてしまうのだ。


ふと、自分と重ねて寂しくなる。


人に、物語を伝えて好きになって、ついでに、覚えてもらうのは…大変なんだよな…


ため息が出てきた。

と、同時に、満点の星空に…文字の持たなかった歴史に隠れた人々の記憶を見た気がした。


宣教師が頑張っても…広められないギリシア…フェニキア、バビロニアの人達の頭の記憶を消し去ることは出来なかったのだ。


木の皮に書き記したマヤの貴重な文書は焼き滅ぼされたけれど…誰も満点の星空を塗り替えることなんて出来なかったのだわ…



なんか、胸がすくような気持ちになり、あっさりとそんな星の文化を棄ててギリシア人の宇宙に染まった日本人の自分にがっかりする。


カシオペアは和名は山形

オリオンの和名は(つづみ)

蠍座のアンタレスは酒酔い星…


あと、なんだっけ?

スバルと北斗七星、そうくれば南斗もあるんだよな…

あとは知らないや。


少し、酔いが回る。

日本人は何でも紙に書いて残していた。

鎖国していたから、記録が焼けることはなかった…

世界大戦が始まるまでは…


ふと、空襲が壮大な焚書(ふんしょ)の様な気がして怖くなる。


本が焼かれたら…もう、我々の記憶は空には無いのだ。


と、考えて見るタブレットに、そんな暴力的なやり方をしなくても綺麗に情報は削除出来ると気がついた。


テレビの再生から映画、日記まで、現在ではネットを使って行われている。

サーバーが機能しなくなれば…CDすら買わなくなった現在、すべての記録が失われる。


うすら寒い気持ちになりながら、部屋を見渡すと山に積まれた本が見える。


私が死んだら、処分に困る色々を眺めると、全てが一瞬で消えてしまうデジタル時代が便利にも見える…

悩ましい時代である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ