番外 教えておくれよブラバッキー8
「オムライスごち。」
山臥の笑顔が眩しい…
私達は国道のファミレスにいた。
図書館で別れた我々は、田舎のあるあるで、偶然にスーパーで再会し、ファミレスで夕食をとることになった。
まあ、私が上手く口説かれたと言うところか、何だか仕組まれたように、偶然にも山臥は2つ頼むと一個無料のオムライスの半額割引券を持っていたのだ。
山臥は半農なので、正確な無職ではないが職安の帰りと言われると、私がお金を出す方向で話が流れた。
まあ、実質は自分の分だけなので別に良い。
それに、小説の先も書きたかった。そのためのアイディアが欲しかった。
正直、お金にはならないけれど、完結して威風堂々退会したかった。
昭和の伝説の歌手のように、きっちり仕事を終わらせて、観客を見ることなく颯爽と去る。
それがかっこいいと思える完結を!
それは剛への私なりの弔いでもある。
私が死んだとき、完結して、評価をもらい、そして、あの世で再会する奴の魂の恨めしそうな顔を見ながら、
『ご馳走さま(^-^)モーニングも…ランチもしてきたわ。味噌おでんも食べたよ〜楽しかったわ。』
と、言うその時の事を思うと頑張ろうと思う。
と、同時に、夢半ばで死んでしまう悪夢にうなされることもある。
完結をしたかった。
完結したからって、何もないかもしれないけれど生きてるうちに完結はしておきたいのだ。
それに、丁度、夜に外に出られる時に山臥に会うなんてそうは無い。
何か、剛が導いてくれてるような、神秘的な気持ちもした。まあ、そうゆうのは大概、勘違いなんだけど…勘違いでも、秋のキノコのクリームオムレツは、騙されるだけの価値はあった。
「で、さっきの話なんだけどね。」
デザートが運ばれてきて、山臥がビールを頼みそうなところを止めた辺りで小説の話題をふる。
「ああ、金星人に騙されたって話だろ?」
「金星人に、ではないわよ。そんな話をした人間に、よ。全く、なんか、それから、何も手につかなくなったのよ。
皆嘘だって、なんか、今頃になって悟ったのよ。」
記憶が…大好きな昭和アイドルの曲と共に頭の中を流れてゆく。
信じていたらきっと、夢は叶う…
白鳥だって、水の下では努力してるのぅ〜
美しいあの歌詞が切なく胸を締め付ける。
こんな終わり方をするくらいなら、あの時、すっぱり嘘だって知りたかったわ。
「まあ、まあ、そう興奮しないで。
つまり、君は昔の思い出を覆したいのだろ?」
と、山臥に問われて混乱した。
「覆す?どちらかと言うと、崩壊された気がするわ…」
私は、デザートのミニアイスを口にする。
そう、なんか、壮大に破壊された気持ちなのだ。
不思議なのは、どうして、今の今まで、宇宙人が小娘に宇宙船の作り方を伝授するなんて設定を疑わなかったのか?と、言うことだ。
「なんかさ、良くわからないんだけど、私、毎回、夏の怪奇スペシャルで宇宙人の話を見ていたけど、宇宙人とテレパシーで交信できるってなんで思ったんだろう?
しかも、UFOなんて、設計図もひけない人間が1回聞いたくらいじゃ、理解できないと思うのよ。」
そう、人間で日本人で地元民の剛ですら、意志の疎通が難しかったのに…
「君は元からUFOも金星人も、信じてはいなかったから、じゃないかな?」
山臥は、なんか、刑事ドラマの謎解き編のCM前のような余韻をのこしてコーヒーを取りに行く。
1人残された私は、ぼんやりと考えた。
確かに、私は、白人風味のセクシーな金星人は信じてなかった。
金星に探査衛星がその姿を教えてくれたから。
金星はセクシーな人型宇宙人が肌をあらわに愛を語るには、大気の成分が危険すぎた。
1960年代までは、探査衛星の競争では、ソ連が少し先を行ってた気がする。
その為なのか、どうなのか、90年代までは情報が混乱していて、セクシーな金星人と交信していた人が愛について伝導していた気がする。
まあ、昔の記憶なので不確かなんだけど、そんな事を考えながら、この時、急に、衛星を飛ばす意味を知った気がした。
結局、宇宙の探査をしても税金がかかるだけで利益にならないし、どの国もそんな予算がなくなってやめていった。
結局、地球以外の星に植民するのは無理だし、レアメタルなどを手にするにも赤字になることが分かったからだ。
そんなものを知ったからって、なんだと言うのだ?
そんな風に扱われた。
でも、いま、私は、1つだけ言える。
あの時、探査機のベネラやマリナーが金星を探査しなかったら、我々は、今でも、金髪の金星人やいか型の宇宙人と戦争についてデマを流されて騙されたかもしれない。
知ると言うのは、人に認知させるのは大事な事なのだ。
これはフィクションです。




