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1922 22


昔、ある夜の事。私は深夜に目を覚ました。

午前2時…丑三つ時とも言われるその時間、日本では幽霊が出ると言われている。


布団の中で目を覚まして…急に恐怖にかられた。

何かが…得体の知れない何かがやって来る!本能が悲鳴をあげた。

心臓はバクバクと高鳴り、そして、家にはピシパシと家鳴りが鳴り始める。


それは、やがて、廊下をするように歩く音に代わり、二階に寝ている私のもとへと来るように、階段をゆっくりと上がってくる。

一段…なんだろう?

二段…何か、忘れている?

三段…そうだ!昨日、お父さんの命日じゃんか!!


その事に気がついて、もう、その何モノかは、お父さんの霊だと私の中では決定した。


上がってくる…

小説に出てくるような、感動的な気持ちにはならなかった。

上がってくる!

恐怖に突き動かされて、上半身を起こし、ふすまの前で止まった気配に叫んだ。

「墓参りに明日行くからっ、もう、来ないで頂戴っ(>_<。)」



親不孝な娘である。

が、人間、そうなってみなきゃ、わからない事もある。

怖いものは怖い。

それが、昼前かわいがったぬいぐるみだろうと、父親の霊だろうと、なかろうと、寝ぼけていようと怖いもんは怖いし、叫ばずにはいられないのだ。


気配は…私の声に反応するように戻って行く…

ここで、ふと、思春期な父との攻防戦を思い出した。

例え、父の霊だとしても…

深夜に娘の部屋に入るのは、気が引けたのかもしれない。


冷や汗をぬぐいながら、トンチンカンなそんな事を思った。




霊がいるかはわからない。

が、科学的にいないと証明されようと、小説家の頭のなかには作り出したキャラがいる。

大概は、忘れてしまうけれど…記憶の奥深くから、何かの拍子に登場し、こんな…丑三つ時の寝ぼけた状態の時に攻撃されることがある。


アンドレは巡査だった。

夏ホラーのチョイ役の彼は、完結作品として記憶の図書館に仕舞われた存在だった。


たかが、一万字程度の短編の主人公…

でも、短い期間とは言え、全力で彼の人生を考えていた。

1888年、新婚の彼を襲った事件。これが切り裂きジャックの犯罪だった。


これは、近代犯罪史にのこる、最初の劇場型性犯罪と言う人もいるし、

スコットランドヤードの最大の汚点と言う人もいた。


この未解決事件の汚名をすすぐ事は、叶わないが、21世紀の現代でも…様々な人物が、この凶悪犯の正体を探っている。


私も…行き掛かり上、探してみた。

犯人を決めつけて、物語として。


解決はしなかったが、良い感じのホラーには仕上がり、満足と共に完結ボタンを押した作品だった…



そして、2024年、ここに来て、一周まわって奴がまた、意識の深淵からゆっくりと私に挨拶にくる(>_<。)

先輩の…戦地に消えた同僚の無念の想いを…解決したい…


小説のキャラは…恐くは無いが、文句を言っても消えてはくれない。

特に、劇的な人生を無念で終わらせたキャラクターは(T-T)


何か、怪しげな魔術を行う面々が…サロンを開いた。

当時、上層部は彼を疑いもしなかった。


サミュエル・マザーズ…マグレガー・メイザースなどと名乗り、金持ちに怪しげな妖術や儀式を見せて生活する胡散臭い人物だ。

かれを調べることは叶わなかった。

動機が見つからない事と、検視官で『黄金の夜明け団』の創設者ウエスコットに守られていたから。



アンドレは私に語りかける。

彼を調べ直したいと。

時が来たと。


ここに来て、世界を地獄に落とす戦争を起こす…そんな人物を作り出そうとする…秘密結社のモデルが登場したのだから。


神智学協会…卍をエンブレムに入れ込むこの協会が、色んなところに影響をもたらせていたからだ。

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