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1922年20


私は推理小説を考えた。

推理小説…真犯人を探す物語なのだが、書く方は犯人を作ることから始める。

歴史的な人物を扱う場合は、罪をなすりつけてでっち上げる…卑怯きわまりない行為をするのが推理小説作家なんだと、少し、罪悪感を感じながら話を考えた。


マグレガー・メイザースを切り裂きジャックの犯人にする…


その為には、まず、動機が必要になる。

人はそう簡単に無関係な人間を殺害しようなんて考えない。

特に、人が注目する立場の人間なら。


動機は儀式の為と仮定してみた。

そこで、占星術を引っ張り出すことにした。


で、ここで気がついた。

ジャックの犯行は8月から9月の話で、秋分が近いと言うこと、そこで真逆の春分を想像した。

春…4月のワードにヒトラーの誕生日を思い出した。

牡羊座なら…盛れると思ったが、ヒトラーは牡牛座だった。

ただ、平民の私生児にしては、詳しい時間でホロスコープが作られている事と牡牛座の太陽の位置が、牡羊座と牡牛座の丁度境界線なんて出来すぎだと思った。だから、この辺りは創作なら無視しても良い気がした。


半年後に生まれるヒトラーを何かの怪しい儀式で関連付けようと考えた。


締め切りに追われた苦肉の策が…

いま、また、混乱のどん底に私をたたき落とす(>_<。)




「そんな辛そうな顔をしないでくださいよ。」

本の精霊は慰めてくれた。

「辛いわよ〜なんなの?終わらないわ…一応、ちゃんと話は、まとめてから書いてるのに…」

私は深いため息をつく。


そう、本当に…

あれは笑い話で終る予定のエピソード。


メイザースの儀式だの、ヒトラーのホロスコープだの、

そんなにぴったりとは一致しなかったのだから。


四苦八苦した思い出と笑い話で終る短いエピソードのはずがっ、

「まあ、これでも飲んでリラックスしましょう。」

本の精霊は私に赤い飲み物が入ったグラスを渡した。

「スパークリングワイン?」

私の質問に精霊は頷く。

「はい、そして、ノンアルなので、グッといきましょう!」

精霊は楽しそうに笑う。が、私は笑えない。

「グッと…そんな気分じゃないわよ〜あんたのせいで、私は大混乱してるんだから。」

私の叫びを精霊は薄ら笑いでかわす。

「まあまあ、まずは飲みましょう。」

アフロヘアーとパンタロンのレトロにイカした精霊は陽気に私のグラスに勝手に乾杯をする。


が、私はそんな気分にはなれなかった。


彼の…依り代の本の冒頭にかかれた事。

ブリル協会とハウスホーファーが私の頭を混乱に陥れたのだった。

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