1922 17
秘密結社ブリル協会の存在から、ハウスホーファーが登場。
これが、新たな不気味の沼に私を突き落とすことになろうとは!
カール・ハウスホーファー
軍人で学者、主に地理学者である。
たまに、彼を模したと思われるラノベキャラを見かける…地味に有名な人物だ。
この人が、1917年、もしくは1918年にブリル協会を創設したと、多くの人がネットで語る。
が、違うと言う人もいる。秘密結社の場合、この辺りの情報は、7割くらいの正解率で軽く流すのが一番だ。
ネットの無い時代、情報は一方方向に流れていて、本が売れそうな、面白そうな話がまことしやかに広がるものだからだ。
ハウスホーファー。
彼は、妻がユダヤ人。それでいて、ナチスの重要な役職にいた…なんとも複雑な人間関係の人だ。
1919年、ルドルフ・ヘスを教え子として知り合うところから、ドイツの地獄が始まったとも言えるのかもしれない…
地獄のはじまり…
ああ、ここで1919年!そう、『トミノの地獄』の発表された年と、奇しくも一致するのだ。
頭が混乱しないわけがない(>_<)
そう、この話を始めるときの最終は…
西条八十と言う人物と、その恩師の吉江喬松のヨーロッパ留学生、ファティマの聖母の物語を結論としてまとめるはずだった。
当初、私は、1919年、そう、西条八十の『砂金』の出版の少し前に亡くなった、ファティマの少年、フランシスコ・マルコの死と共に書かれた…のではないか、と、話を盛る予定だった。
これには、4月に亡くなるフランシスコと、5月に出版される『砂金』の間隔が、短いので、凄く無理っぽいとは思ったが、
トミノとファティマの3人の男女構成、
恩師、吉江の旅の行き先、
ノストラダムスと詩人、予言者の意味も持つ、詩人と言う者のエピソードで、ロマンチックに飾り立てさえすれば、それなりに良い感じにまとまる話だと、思っていた。
が、調べれば調べるほど、余計なエピソードが追加されて、書いても書いても…終わりが見えない…
地獄の未完作品に成長中なのだ。
そして、ここに来て、なぜ、ファティマの聖母の声をきいた、3人の…、ルチア、フランシスコ、ジャシンタの中で、フランシスコが始めに神に召されたのか…
この理由が見えてきた。
1919年…4月4日にフランシスコは11歳で流行り病で亡くなる。
それは、とても不幸な事ではあるが、後の世界情勢をみると、複雑な気持ちになる。
そう、始めに話したように…1919年2月、ルドルフ・ヘスは長い戦闘の日々を終え、ミューヘン大学に入学をする。
そこで、運命の出会い、
カール・ハウスホーファーと知り合うのだ。
ハウスホーファーとの出会いが、後のヒトラーの第三帝国の礎になったと言われている。
1918年、ドイツの敗北と共に終結したヨーロッパ、特に、東欧はこれにより混乱に陥ることになる。
ルドルフ・ヘスがミューヘン大学に入学したその頃、政治的パワーバランスを崩した東欧は混乱、ロシアとポーランドが領土をめぐり戦うことになるのだ。
この時、聖母が指摘した次の法王となるアッキレ・ラッティ…後のピウス11世がワルシャワ大使としてそこにいた(T-T)
なんか…出来すぎの物語…RPGのシナリオを追いかけてるような気持ちになる。
ああっ…面倒くさい。
が、確かに、1919年2月、この時、世界は分岐を踏んだのだ。
ポーランド・ソビエト戦争と言う、大きな事件と、終戦の混乱の中、財産を没収された貧しい学生とミューヘン大学の先生が知り合う…こんな小さなエピソードから。
1919年11歳のフランシスコは、この時点で病で亡くならなくても…果たして、いつまで生きていられたのかは分からない。
この3年後、1922年法王の崩御と時を同じくするように世界は動き始めるのだから。
第二次世界大戦という、戦禍に…世界はのまれ、フランシスコもまた、兵士として戦うことになると思われる。
フランシスコの魂に…八十の詩が、悲しく重なって見えた。
世界の贖罪を願われた小さなルチアは修道女として神に祈る。
贖罪の鞭をその身に打つような…長い孤独なルチアの人生を想い、追いかけるように亡くなった妹を想い…
彼の魂は…本当に天国で平穏にしていられたのだろうか?




