1922年 14
面倒くさいことになった…
私はY氏の本を手に混乱した。
この本は…ナチスのUFO開発について書かれている本で古本屋で手にした。
私には…と、言うか、誰でも好きな商品に呼ばれるような感覚に襲われることがあると思うけれど、私の場合は古本なのだ。
特に、世紀末関係の古本は…心の声すら聞こえる気がするときがある。
現在、手にしている本は高飛車で、フレンドリーに私をナンパしてきた。
『なあ、退屈しているんだろ?すごい世界を見せてやるよ!古そうに見えても俺は…俺にはまだ、隠し玉があるんだぜ?さあ、俺を手に取りなよ!!』
そうして手にしたその本は…あまり読むこともなく棚に収まっていた。
私は、あまりUFOに興味がなかったし、そんな話を始める前に他の話に手をとられて忘れていたのだ。
それを思い出話をする為に取り出した。
昔、探して放置した…ゲッペルスとホロスコープの謎を調べるために…
あれから3年は過ぎていた…もう、この本は…これで処分しよう。そんな風に思いながら、深い段ボールの奥底から、古漬けでも取り出すように出してきた本。
まさか、この本が…エタの沼へと私を引きづりこむなんて…
思いもしなかった(T-T)
1917年の話を書いていたのだ…22年は補足のはずだった…
でも、補足じゃすまなくなるなんて!
「まあさ、気楽にいこうぜ!」
突然、なんかアフロの長身の細身の男が現れて絡んできた。
この本の精霊である。
「気楽って…もう、私、どうして良いのかわからないよ…。始めの設定から、ずいぶん話が盛られちゃって終わらないもの。」
ため息をつく。
本の精霊まで登場して…これから、長い1922年を旅するなんて…疲れてしまう。




