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1922年10

チョコレートは旨かった。

恋と言うより濃厚ミルクの味がした。

噛んで、この味がしたら…まあ、飲み込んでしまうのは人情だ。

メフィストの澄ました顔は気に入らないが、そんなことより、何より、1922年にこれ以上、何があると言うのだろう?


「まあ、旨かったわ。濃いミルクの味がしたわ。まあ、そんな事はどうでもいいのよっ。1922年、スターリンとムッソリーニ以外に、凄い出来事って、まだあるのっ(>_<。)」

私の叫びをベルフェゴールは笑って聞いていた。

「ふふっ。あるわよ〜あんなに探していたのに、もう忘れたの?鳥頭ちゃん!」

「と、鳥頭って!!スターリンとムッソリーニだけで、もう、お腹一杯だよ。」

文句を言う私に、メフィストが静かにホットのグラスを私とベルフェゴールに差し出した。

「なに、これ?」

私が聞くと、メフィストは薄い整った唇を開いた。

「オリジナルカクテルです。『ホットアレキサンダー』」

「ホットのアレキサンダー?」

私が驚くと、メフィストは優しげに視線を私に落として説明を始める。

「このカクテルは、クレーム・ド・カカオが使われている、チョコレート・カクテルです。バレイタインなので、かの有名な色事師カサノブァを偲びまして作りました。」

「えーっ、恋の媚薬、まだ引きずってるのっ?」

私が文句を言う。ついでに、この飲物は飲んではいけない気がしてくる。

「ふふっ。カカオは本当に恋心をくすぐってくれるみたいよ。そして、1つのグラスが世界を変えることもあるわ。」

ベルフェゴールは、そう言って、丸く真珠色に輝くなにかを私の飲物に放りこんだ。

えっ…(°∇°;)

瞬間、絶対飲まない!と、心が悲鳴をあげる。

どんな顔をしたのだろうか…私の顔を見て、渋い顔になったベルフェゴールは、そのグラスをとると自ら飲み干した。

「ひどいわ。怪しいものじゃないわよ。ただの真珠を()した、砂糖菓子…もうっ。まだ、わからないの?グラスに真珠をいれて飲んだと言ったら、クレオパトラでしょ?」

「クレオパトラ?アレクサンダー?え、ええっ。」

混乱する私にベルフェゴールはため息をつく。

「もう、1922年、ツタンカーメンの王墓が発掘されたんじゃない!」

ベルフェゴールは責めるけど、それがどうしたと言うのだろう?

「ツタンカーメン…ツタンカーメンがなんだと言うのよっ、ムッソリーニもスターリンもそんなん気にしてないでしょ?」

私は叫び、叫びながら、ヒトラーとネフィルティティの胸像の話を思い出していた。

騙されて持ち出されたネフィルティティの胸像をエジプト政府は現在でも返還を要請していると聞いたことがある。

じゃ、なくて、ツタンカーメンまで登場したら、私がキャパオーバーしてしまう。


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