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1922年9

気がつくと、舞台は変わっていた。私はシルクの近代的なワンピースに真珠の長いネックレスをしている。

ロココの部屋は、アールヌーボーなプライベートラウンジに。

そうして、私の前には足の部分にギリシア風味の羽の金装飾が施されたシャンパングラスが置いてある。

「ミモザよ。」

ベルフェゴールがそう言って私にグラスを進める。

躊躇していると、バーテンダーにキャラ変したメフィストが、私に囁いた。

「悪魔の加護がありますから、酔っぱらったりしませんよ。」


だったら、ノンアルコールでいいじゃん!


と、叫びたくなったが、やめた。

それにしても…ローマ法王の話を悪魔とすると言うのも、なんだか決まりが悪い。

覚悟を決めてグラスを手にすると、どこからともなくモダンジャズの音色がする。


「これ、アレンジされてるけど、『聖者の行進』だよね…悪魔に囲まれて…聖者の行進聞くなんて、なんか複雑だわ。」

私のボヤきにメフィストは慰める。

「ナイトを4つ。差し上げますよ。」

そう言ってカラフルなチェスのナイトを型どったチョコを置く。

「素敵。4つのナイト。イチゴに白ワイン、ブルーベリーに…黒は何味?」

ベルフェゴールは、興味深そうにメフィストに聞いた。

「恋の味でございます。」

シレッとキザな台詞をはくメフィストにこっちが赤面するが、ベルフェゴールは慣れているのかスルーして黒のチョコを私に渡す。

「ねえ、食べてみて。」

「はあ?」

恋の味なんて、メフィストが言うような怪しげな食い物を…私に食べろ、と、そういってますか?と、叫びたくなる。

「すいません。我々、恋愛と言うものは良く分かりませんので。是非、人である貴女のご意見を伺いたいのです。」

メフィストは、ご丁寧なお願いをするけど、騙されないわ。

「すいません。私は、このチョコレートの製造過程と言うものを良く分かりませんので。食べられません!」

メフィストの言葉を真似してやった。奴はきれいな顔で皮肉な苦笑を漏らした。

「そうね…マルガレーテをに薬を盛る奴の菓子は、私も、口にしたくわないわね。」

ここに来て、ベルフェゴールの見た目が少し、成長していることに気がついた。

Cカップの上品な成人女性で、アールヌーボーの時代らしく、繊細な女性の体のラインを強調したマーメイドラインのドレス。エレガントにアダルトだ。

そこに、60年代カラー映画のように寄り添う美青年(メフィスト)

メフィストは、ベルフェゴールを見て、軽く右眉をあげる。

「マルガレーテ?もしかして、『ファウスト』でしょうか?あれはフィクションですし、薬ではなく、アクセサリーで釣ったのですよ。」

メフィスト…塩対応も優雅(イケメン)で、なんかムカつく。

「釣るとか…最低。」

つい、口をついて出てきた言葉に、ベルフェゴールが、私に抱きつきながら同意する。

「だ、よね?メフィスト最低ー。」


同意されるのも、なんか、嫌だけど、面倒くさい。私は話題を変える事にした。

「とにかく…1922年は、ピオ11世の話は終わりよね、さあ、次よ。やっと、やっとぉ…本筋に戻れるわっ(>_<。)」

私が叫ぶと、ベルフェゴールは、不満そうに私の口にチョコを放り込んで、こう言った。

「嫌ね、まだよ。もう。1922年と言ったら、凄いイベントあったはずよ。」


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