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1922年6

ゲルマン人…何となく知ってるようで、なにも知らなかった。

私の読んでいた漫画や小説では、金髪、長身のイケメン、イケ(じょ)の事だと書いてあった…

まあ、うっかりものの私の少女時代の記憶なので、もしかしたら、作者はしっかり説明したと抗議をされるかもしれないが…


ゲルマン人…なんか、人種ではなく、ゲルマン語を話す民族の事らしい。

日本と違い、大陸の好戦的な民族の事だから、他民族との結婚などもあって、肉体的な特徴で分けるのは難しいのかもしれない。


「まあ、さ、紀元800年辺りもさ、北からやって来た民族に制圧されていたわけでしょ?

この恐怖が、カトリックのバイブルに『黙示録』を入れた動機じゃないかと考えるのよ。」


そう、キリスト教も仏教並みに複雑に宗派がある。

本場のインドの坊さんと日本の坊さんを並べて、同じ仏教と言われても、何となくピンと来ないようなものだ。

時代や、地域によって、教義は少しずつカスタマイズされてゆく。

プロテスタントとカトリック。

東方教会とカトリックも微妙に考え方が違うのだ。

20世紀にもてはやされた『黙示録』もまた、新訳聖書にあって、旧約聖書にはないものだ。


「でも、ゲルマンって、ドイツ…北欧の民族でロシアじゃないわよ。」

ベルフェゴールは、維持悪く私に聞いてくる。

「でも、北から驚異はやって来る…と言うイメージを植え付けたのは、この大移動からだと思うのよ。

この頃、大陸は民族大移動していて、ゲルマンの大移動も、フン族がゲルマンの土地に移動してきて、それが動機みたいだもの。」

私は深くため息をついた。

本当に…ややっこしい(T-T)

でも、この出来事を押さえないと、ピオ11世の心情には近づけないのだ。

800年…そこから、約千年が経過した1700年後半、フランス革命が勃発。

カール大帝の千年王国が崩れて行くのだ。

フランスはカールの作った王国であり、それは歴代王に受け継がれたシャルル(カールのフランス語読み)と言う名に見てとれる。


そのフランス王を…神聖ローマの王女を…

民衆はギロチンにかけて否定をしたのだから。


カール大帝は、ローマ皇帝の称号を受ける代わりに、バチカンを法王の領土と認めた。

カールの千年王国の崩壊は、バチカンの驚異でもあったに違いない。


良くも悪くも新しい時代はやって来る。

19世紀に入り、イタリアを統一する動きがある。

『亭主元気で留守がいい』なんて言葉が昔はやったけど、東欧に単身赴任状態の皇帝(ていしゅ)にあたる神聖ローマ皇帝との気ままなイタリア半島の関係もまた混乱する。


成り上がりのナポレオンがやって来たり、

カール大帝の相続者として、ヨーロッパの王様がイタリアを統一して統治しようとする動きが始まるからだ。


こうなると、バチカンもイタリア国王と揉めることになる。


千年前にカール大帝を認めたレオ3世。

しかし、19世紀に法王に就任したレオ13世は、イタリアを認める事はなかった。


マラキの予言の102人目『天空の光』の異名(いみょう)を持つ法王レオ13世。

数有る法王の名前から、レオを…カール大帝をローマ皇帝にした法王の名前をついだのは、意味があるのか、無いのか…


どちらにしても、この法王も時代の分岐点で、権力者と対峙する事になる。

ただ、レオ13世はイタリア王を認める事はなかったけれど…


「ながながと…どうでも良いことにこだわるわね…。終わらないわよ。」

ベルフェゴールは、自分の爪をメフィストに磨かせながらぼやく。

「仕方ないじゃない。これ、意外と大事なんだもん。私だって…もっと簡単だって思ってたわよ。」

私は叫んだ。


だって、仕方ない。

法王の交代が、歴史の大事件と重なる話をするなら、ピオ11世の前…ペネディクト14世までいれないわけにいかない。

なにしろ…1914年。

第一次世界大戦の開戦と同じく就任するのだから。

「難しく考えすぎよ。知識自慢は読者を逃がすわよ。」

ベルフェゴールは、最近はやりの肉厚な派手派手ピンクのネイルアートをうっとりと眺め、メフィストに足の爪も(ほど)すように命令する。


メフィストは無言でベルフェゴールの前に膝まづき、なんか、豪華な足置(オッドマン)を用意し、丁寧に手入れされた長い指で、上品にベルフェゴールのヒールを脱がせると、スカートに手をいれる!


( ̄□ ̄;)!!えっ…


私が立ち上がらんばかりに混乱するのも無視して、メフィストは、鹿のようにほっそりとした少女のようなベルフェゴールの足から絹の靴下を慎重に脱がせる…


ドキドキドキ…(///ー///)


なんか…膝上10センチ範囲の足が見えたくらいなのに…いい歳して、私、何をのぼせてるんだろう?


色々と恥ずかしくなりながら、私は、メフィストがベルフェゴールの靴下を完全に脱がせ、なんか、上等のマッサージオイルの入ったクリスタルボトルを眺めていた。


何だろう…逆行を浴びながら、絡む2人が…エロいと思う、この気持ちはっ…

私は、初めてカラーの少女恋愛アニメで、主人公に膝まづく王子を見たときを思い出していた。


あの時の、キュンキュンするようなトキメキとは違う、エロさを感じながら、人類の崩壊の前に、自作の崩壊を心配するべきなのではないか?と、不安になってきた。


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